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バプティステ・ドゥバンシェットさん - 世界の飢餓をなくすために自転車に乗った人-

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日本ではスーパーに入ったら新鮮な果物や野菜が並んでいます。絵のような鮮やかな色、傷がひとつもない完璧な品物。余ったものは美味しさの保証期限にすぎない賞味期限が過ぎたらつい捨ててしまいます。

現代では、まだ食べられる食品や残飯を含めて、日本全国で1年間に2189万トンもの食品廃棄物が出ています。日本は、世界で一番食べ物を捨てている国だといわれています。

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Photo Credit: La Faim du Monde 2014

「常に新鮮できれいなものを手に入れたい」という消費者の期待に応えるため、どの店も夜になると余ったものを捨てざるを得ません。世界中に8億4200万人(8人に1人)が飢餓に苦しんでいるにもかかわらず、です。

この不条理に気付いたフランスのバプティステ・ドゥバンシェットさんは旅に出ることにしました。自転車でパリからワルシャワまで、ルクセンブルク、アムステルダム、プラハ、ベルリンを通って約3000キロを走りました。

旅中にCouch Surfingのようなサービスを使って、食物を一切買わず、レストランやお店から捨てられた、あるいは捨てられるはずの食べ物しか食べませんでした。

何故、そんな苦しい旅を選んだのでしょうか? 自転車で旅をした、バプティステさんにお話をうかがいました。

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Photo Credit: La Faim du Monde 2014(バプティステ・ドゥバンシェットさんは一番右)

La Faim du Mondeとは?

「世界の飢餓2014年」(La Faim du Monde 2014)の目的は食品廃棄問題を浮き彫りにすることです。

「無駄遣いを減らすために、ゴミ箱の中を漁るのは正しいやり方ではない。そもそもその食物がゴミ箱に入るべきではなかった。しかし、食品廃棄によって何億人もの人々が飢餓で苦しみ、環境は脅かされ、人々の労働力と何十億ユーロも無駄になっていることを世界に発信するために、この旅出るより他の方法がなかった」とバプティステさんは述べています。

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Photo Credit: Marlous van der Sloot

4000キロの旅--空腹との出会い--

─ 「世界の飢餓2014年」の旅はパリからワルシャワまでの旅ですが、旅のルートはどのように決めましたか? なぜ最終的な目的地としてワルシャワを選びましたか?

最初はパリからモスクワまで3000キロを走ろうと思いました。しかし、2014年はヨーロッパ反食品廃棄物年だとわかったとき、3000キロの範囲でヨーロッパを旅することにしました。結局パリからワルシャワまで4000キロを走りましたけど。

この旅で経済力の低い国を訪れたいと思いました。豊かな国と比べて、そうではない国が食品を廃棄しないか、何が違うかを見たかったのです。

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Photo Credit: La Faim du Monde 2014

─ 旅をしている間に最低な瞬間はありましたか?「もう限界!」と諦めかけたことがありますか?

旅の最低な時はチェコにいたときでした。4日間食べ物を見つからなくて、固くなったパンを少ししか食べられなかったのです。
それでも諦めようとは一度も思いませんでした。私の身体がまだ耐えられることをわかっていたし、そして世界中で「食べるのをやめる」という選択肢すら持たない人は何億人いるかということをずっと考えていました。

飢餓とはどういうものなのかを理解するためにも、この旅に出たわけです。

─ 逆に最高なエピーソドは何ですか?

学校で私のプロジェクトを紹介したときは、先生たちも生徒たちもとても応援してくれてあたたかかったです。そして、旅している間にも素敵な人に出会って最高でした。

─ 生徒たちからどのような反応がありましたか?

生徒たちは皆あっけにとられたと言いました。私のプロジェクトのおかげで開眼したとか、すごく刺激を受けたとかと言ってくれた生徒もいました。

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Photo Credit: La Faim du Monde 2014 (バプティステ・ドゥバンシェットさんは右から二人目)

消費者の考え方こそ変わらないと!

─ 日本人の友人とバプティステさんのプロジェクトについて話したときに「日本の人気の店は売れなくなった品物を貧乏人などにあげるよりも捨てたほうが利益になる」という意見もありました。コストがかかるし、貧乏人にあげたら店の名を汚してしまうリスクがあるからです。

ヨーロッパを旅している間にバプティステさんも品物を断られたことがあるようですが、その理由は何だと思いますか? そして考え方を変えるために具体的に何ができると思いますか?

スーパーマーケットなどを運営する人は一般的にビジネスマンであり、彼らの目的はお金を儲けることです。食品を貧乏人とかに上げない理由は、お金にならないからだと思います。

本当に変わるべきなのは消費者の考え方なのではないかと思います。消費者がいつも非常に新鮮な果物と野菜しか求めていなくて、見た目が良くないものは買いません。捨てられているのは消費者が残したものです。

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Photo Credit: La Faim du Monde 2014

─ 将来、ヨーロッパ以外の他の国でも同じ旅をしてみたいと思いますか?

他の国の状況はよくわかりません。そして、今のところでは食品廃棄問題を暴露するだけではなくて、その廃棄を減らすための解決を見つけたいと思います。

ところが、9月にはまた旅に出るかもしれません。けど、今度は4000キロもないと思います。4000キロは本当に長いですよ......。

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Photo Credit: La Faim du Monde 2014

バプティステさんの旅を知ってから、自宅のキッチンに行って、改めてゴミ箱を見ました。買いすぎて食べきれなかった肉、買った覚えさえないお菓子、賞味期限が過ぎたばかりの卵......。私のゴミ箱は食べ物でいっぱいになっていることに気付きました。

私はバプティステさんのように空腹に耐えながら4000キロを走ることは絶対にできません。しかし、彼の旅を思い出しながらスーパーまでの100メートルを歩くだけでも何か変わってくる気がします。意識が変われば行動が変わる、そして行動が変われば新しい習慣を身につけられるはずです。バプティステさんがこのメッセージを伝えるためにそんな苦しい旅に立ったのではないでしょうか?

[バプティステ・ドゥバンシェット:1988年生まれ。18歳のとき大学に進学しブールジュからラ・ロシェルに移動。大学時代様々な国を旅行し、中国、コロンビア、タヒチなどで研修する。2012年に持続可能開発の修士課程を終了。将来、食品廃棄の問題や世界飢餓の問題と関わりながら活動したいと述べている。彼のプロジェクトや旅についてもっと知りたい方はこちら「La Faim du Monde 2014」。]

参考:バプティステさんの活動のムービー

ライター:Leti

http://blog.compathy.net
▲編集元:TRiPORT

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