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「シリアより素晴らしい国はない」今と昔と未来を考える(前編)

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アッサラームアライクム(アラビア語の挨拶。「あなたの上に平穏を」の意味)! TRiPORTライターのへむりです。

「難民」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか? 今ニュースでよく目にする「シリア難民」のイメージは、どのようなものでしょうか?

最近では「難民キャンプで生活している」「密航してヨーロッパに向かう」という内容のニュースや、「わざわざ受け入れてくれている国に文句を言う」「迷惑をかけている」という内容の記事を見かけました。

僕は青年海外協力隊として2年間、シリアの北部の町マンベジという町に住み、村人と共に生活していました。そしてシリアという国が大好きになったのです。これは僕が珍しいのではなく、シリアを訪れたことのある人は、大好きになることがほとんどなのです。

少し前、シリア難民の今を知るために、シリア難民が多く住むヨルダンを訪れました。

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Photo credit: Nakano Takayuki「ワクワクしない?ヨルダンで見つけたいかにも?!な風景達。

2010年頃のシリアは「平和」「豊か」「家族」


今のシリア難民の苦労を知るためには、騒乱前のシリアを理解していただくことがすごく大切だと思います。「いつも紛争ばかりしている国」や「貧困生活をしていた国民」が難民になったわけではないからです。

今でこそ「危険」のイメージが付きまとうシリアですが、僕が住んでいた2008年~2010年は(2005年に旅人として訪れたときも)、夜に出歩いても全く問題がありませんでした。シリアのどこかで殺人事件が起ころうものなら、それが大ニュースになるほどです。「シリアで犯罪が起こるなんて!?」と、日本人同士で驚いてしまうほどの平和っぷりでした。

1999年のデータですが、シリアの犯罪率は0.04%、殺人件数は0.95件/10万人です。日本(2002年)は、それぞれ2.3%、1.10件です(ICPO調査)。もちろん、このデータが完全に信頼できるものかどうかはわかりませんが、実際に暮らしていて、体感的にも「日本より安全」と感じました。

参照:犯罪率統計-ICPO調査

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Photo credit: Nakano Takayuki「シリア図鑑 古代都市アレッポ編 〜シリアの大阪(商業都市)。破壊される前に訪れた美しい世界遺産の町〜

食も豊かで、数十円あれば野菜が1kg買えます。どこにいても、会ったばかりの人たちがお茶やご飯をごちそうしてくれて、飢える心配をすることはありません。

「これなに?」とお店で尋ねると、「食べてみな」と差し出してくれます。あるとき雑貨屋に行ってから財布を忘れてしまったことに気がついたのですが、あとで持ってくると僕が言うと、「お金はいいから」と、僕と友人分のジュースを快く渡してくれました。

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Photo credit: Nakano Takayuki「シリア図鑑 お店編 〜中東シリアでお世話になったお店〜

僕がいた当時、まだ日本でもiPhoneが出たばかりで、スマホは普及していませんでしたが、都会のカフェでは無料でwi-fiを使わせてくれ、おいしいカプチーノを飲みながら、パソコンで作業できました。田舎であっても、衛星チャンネルの映るテレビや携帯電話を持っていない家庭はないほどで、応接室にはシャンデリアがあるのも普通でした。

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Photo credit: Nakano Takayuki「シリア図鑑 お店編 〜中東シリアでお世話になったお店〜

識字率も非常に高く、ほぼ全ての子ども達が学校へ通っています。僕が旅人してシリアに来たとき、アラビア語は話せなくて困っていると、小学生が英語で通訳してくれて、周りの大人達に僕のことを紹介してくれたこともあります。

かつてフランス統治下にあったときは、学校に行けないことも多かったと聞きますが、アサド大統領の父親がシリアの独立を勝ち取った後は教育を充実させていきました。なんと大学まで無料で通うことができるほどです。

また、15歳以上の女性で読み書きができない人がいた場合、政府のサポートで女性向けの無料の識字教室を、僻地の村でも開校することができます。

2008年にガソリンの価格が倍になり、他の商品も便乗値上げになったのですが、同時に公務員の給料を上げたり、配給券を配るなど、市民生活に困らないように政府は考慮していました。

とはいえ、国内で仕事は決して多くないため、ギリシャ・エジプト・サウジ・湾岸諸国に出稼ぎにいく男性も。シリアで働くより10倍の給料をもらえることもあり、数ヶ月働いて、また家族とともに暮らす、という人は特に田舎では少なくありません。

彼らにとって大切なものは、「家族との時間」。仕事を一緒にする身の僕としては困ることもあるのですが、心からの笑顔に満たされているシリアの人たちの愛に支えられている幸福な毎日を、僕もおすそわけしてもらっていました。

「平和」「豊か」「家族」という言葉がよく似合うシリアの日常。それを知っているからこそ、シリアの今の惨状が信じられない気持ちでいっぱいです。シリアに何が起こり、今、近隣諸国でシリア難民がどのように生きているのかは、後編でお伝えしていきます。

ライター:へむり。
Nakano Takayuki「シリア図鑑 古代都市アレッポ編 〜シリアの大阪(商業都市)。破壊される前に訪れた美しい世界遺産の町〜

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Nakano Takayuki シリア図鑑 古代都市アレッポ編 〜シリアの大阪(商業都市)。破壊される前に訪れた美しい世界遺産の町〜

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Nakano Takayuki「シリア図鑑 お店編 〜中東シリアでお世話になったお店〜

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▲編集元:TRiPORT

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