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奥ゆかしいラテン系国 グアテマラで「スパニッシモ」を立ち上げた有村拓朗さん

2014年11月17日 00時22分 JST | 更新 2015年01月13日 19時12分 JST

日本は他の国とは違った文化を持ち、海外の人から見ると「日本は素敵だ」と言われた経験がある人は多いのではないでしょうか? 確かに安全で、インフラも整っていて、生活に困ることはないですが、海外に一歩出れば、「日本の当たり前」は通用しません。

今回話を伺った有村さんは、世界一周中にグアテマラでオンラインスペイン語会話のサービス「スパニッシモ」を立ち上げた方で、「日本の当たり前」が通用しない世界に「起業」という形で挑戦されています。10ヶ月のバックパッカー生活、その後2年間に渡りグアテマラで活動を続け、現地の方と接する中で感じる有村さんにとっての旅の面白さにについてお話を伺ってきました。

日本とは違う当たり前が転がっている世界

― 幼少期をアメリカで過ごされたり留学で海外へ行かれたりと、海外に対して抵抗感はなかったと思いますが、旅に出ることとはまた違った感覚だと思うのですが、どういった思いで世界一周へと踏み切られましたか?

今までの旅行は家族が一緒で、守られていた感覚があったので、ボロボロだけど体にしっくりと馴染んだデカいバックパックを背負って心の赴くままに旅をするっていうのはどこか憧れを持っていました。でも大学のときは旅よりもビジネスをする!って意気込んでそっち方面ばかりにのめりこんでました。

社会人2年目になり、シェアハウスの住人達と飲み明かす中で、「これから自分はどうしていきたいんやろう」という思いが再燃しました。自分の命を燃やしてやれることはどうやったら見つかるのか自問自答をする中で、もっと世界を見たいという気持ちと、日本と海外での生活を比較することで自分のやりたいことが見つかるかもしれないと思いました。

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(幼少期に住んでいたアメリカでの光景)

日本で当たり前のようにできている「暮らし」は海外では当たり前ではない。日本での暮らし方をモノサシとして持っているから、それと比較したら、何か見つかるかもしれないって思ったんです。今となってはこの世界一周が、起業する動機を見つける可能性を高めるための動きになっていたと思います。

仕事を辞めて、世界一周に踏み切ったとき、ワクワク感と不安感は常にありましたが、大切にしたのは、「会社、属してるコミュニティ、友達、恋人、月々の給与などを一旦気にしない、って思ったときに自分は何がしたいのか」ということに正直になろうって決めたことです。これが一番だったと思います。

― 最近は休学したり、仕事を辞めて旅や留学などをする人が増えて、有村さんのようなモデルもそのうちのひとつだと思います。

そうですね。僕らの親世代とかに比べると、圧倒的に今の時代は「自分のしたいこと」が実現しやすい世の中だと思います。昔よりも「はみ出す」ことを応援できる風潮も少しずつできてると思うし。今の時代に生まれてラッキーだと思ってます。

言語はツールで、ローカルを知るための手段

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(グアテマラでホームステイをしていたときの、ステイ先のおばあちゃんと。)

― では仕事を辞めて始めた世界一周の最初の国をメキシコにした理由はあるのでしょうか?

中南米の国々って名前は知っていても他はほとんど何も知らない。その感じが面白いなぁって思いました。あとはどうせ旅に行くなら、もうひとつ言語を覚えたいなぁっていうのもありました。調べてみるとスペイン語は世界22もの国で話されているし、それらの国々は今後の経済的な発展もありそうなメキシコ以南の中南米がビジネスをする上でももしかしたら有益かもしれないと思いました。

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(5日間150kmのトレッキングに挑戦した、グアテマラのミラドール遺跡にて。)

― 旅の目的に「ビジネスのアイディアを見つける」というのがあったかと思いますが、旅を通じて、どういうものを見たいということはありましたか?

とにかくその国で何が起こっているのか。その「現場」を見ることに注力しました。観光地を巡るだけでなく、その国で問題になっている現場を見続けることでその国の社会的、政治的、経済的背景が少しずつ見えてくると思いました。スペイン語は拙かったけど、3ヶ月間勉強した甲斐があって、ローカルに入った旅をすることができました。

観光ももちろんしましたよ。日本人が数人ほどしか訪れたことない近年発掘されたばかりのグアテマラのマヤ遺跡を見るために5日間150キロのトレッキングをしたり、ホンジュラスで念願のダイビングライセンスをとったり。メインではなかったけど、ごく普通に観光もしました。

人との触れ合いが一番面白い

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(メキシコにて、現地の人たちとともにお酒を交わす様子)

― グアテマラで勉強されて、スペイン語を理解できるようになって現場を見ることで、おもしろいなぁと感じたことを教えてください。

中南米の人たちの人懐っこいところですかね。あと、とにかく陽気。屋台でスペイン語で注文したら「なんでお前、スペイン語話せんねん!」と言われ、グアテマラで勉強していると言うと「そうなんや! ホッホーそれは面白い。まぁ一緒にビール飲もうや!」という流れになったりする。日常で起こる、こういう人のふれあいが一番面白かったりするんです。

― 同感です。私も言葉が通じれば......という場面は多々あったので、羨ましいです。グアテマラの人たちって、他のメキシコやラテンアメリカの国の人達とはまた違った雰囲気でしたか?

うーん。ラテン人の中でも一番奥ゆかしい一面を持っている人が多いと思います。

― なんだか日本人と雰囲気が似てそうですね。

そうそう。グアテマラも日本も火山国で、地殻の隆起で山が多かったり、温泉があったりする。グアテマラは森林が豊富で、日本も森林が国土面積の7割を超えるくらい多い。日本の裏側にあるのに、地形的にも似ている。自然形体が似ていると生活様式が近くなって、そうすると雰囲気も近くなるのかなぁなんて思います。

そして彼らは意外に恥ずかしがり屋だったりするんですよ! もちろん挨拶でほっぺに軽くキスしたりするということは、グアテマラでもどこのラテンアメリカでもするけど、僕が挨拶されて思うのは、一番キスがソフトだと思いました(笑)。そういった国独自の複雑な雰囲気を見ることも面白いんですよね。

― グアテマラの人たちって、陽気でラテンなイメージだったんで、驚きました!

旅を通じて、中米のローカルを知る、体験する

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(ボリビアのウユニ塩湖にて。)

― 旅中にスパニッシモを起業され、いつか事業が落ち着いてきたらまた旅を再開させたいという気持ちはありますでしょうか? もし行くならば、次はどういった形の旅をしようと考えていますか?

気持ちは常にありますけど、この事業をしっかりと根付かせてからですね。2、3年くらいして、事業が落ち着いてきたら、少しだけ休み作って南米へ行きたいなぁと考えています。次の旅で圧倒的に違うのは、スペイン語を話すことができるから、よりローカルに入った旅ができるということ!

― やはり行くとしたらスペイン語圏なのですね。言語がわかるほうが現地の人も心から接してきてくれそうですね。

そうですよね。グアテマラで事業始めたと言っても、同じスペイン語圏の南米のことは未知数。さらに中米のラテンアメリカの人たちでも、国によって全然キャラクターは違う。実際に今までの旅で、多くの国のイメージが変わったし、僕の価値観なんて、日本で育った僕のひとつのモノサシに過ぎないっていうのもわかったし、逆に日本に昔あったものが今はなくて、こっちの国にはあるという発見もありました。例えばグアテマラは家族間や近所感のコミュニティが強くて、なんだか映画『ALWAYS 三丁目の夕日』を未だに地で行ってるような世界。聞いた話なので確かではないですが、中南米には「うつ病」が存在しないみたいです。

今日本は、ネットやデバイスで簡単にいつでも人と繋がることができる反面、物理的な関わりが薄れ、うつ病や孤独死が存在して、社会問題になっています。例えば中米のコミュニティの作り方や人との付き合い方は、もしかするとそれらの問題に対する良い勉強材料になるかもしれません。経済的にはまだ豊かではないけど、心の寄り所があるということから学ぶべきことはあると思いますし。まだまだ知らないことはいっぱいあるけど、うまく日本に還元していきながら中南米との架け橋になれたらいいな、って思います。

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有村拓朗 (Takuro Arimura)
1985年生まれ。大学卒業後、リクルートに入社。社会人3年目で仕事を退職し、世界一周をメキシコから開始。グアテマラで3ヶ月間のスペイン語留学を経て、数ヶ月旅をした後、一旦旅を中断し、オンラインでのスペイン語会話サービス、「スパニッシモ」をリリース。現在はグアテマラを拠点に事業を展開させている

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ライター:Natsumi Daizen

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