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Traveler's Express 「天満雄一さん - 旅に理由はいらない。呼吸するが如く、自分のリズムで旅をする - 」

2014年05月29日 00時23分 JST | 更新 2014年07月26日 18時12分 JST

旅のご縁、というのは不思議なもので、一期一会であったり細く長く続いたり、かと思えば突然の再会で思い出話に花が咲いたり・・・。どこでどう交わるか分からないけれど、交わす話題は地球のあちこちへ飛び回る。まるで近所の世間話をするように。

今回は、筆者がエチオピアに滞在中に出会った、「てんさん」という旅人。このてんさん、かなりの手練で何処の何を取り上げても必ず打ち返してくれる旅玄人。その知識の幅は旅に留まることを知らない。

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(スリランカの現地の警察カバディ―チームと。てんさんは真ん中の帽子の方。)

"ちょっとそこまで"と言う感覚で渡る海外

―わたしがてんさんと初めてお会いした時点で、既にいろんなところへ旅をされていましたが、現在までで何カ国くらい廻ったんですか?

きったないリュック背負って、いわゆるバックパッカー旅の格好で行ったところも、自分で飛行機やホテルのチケットとか取って行った旅行も含めると、80くらいかな?

―行く国っていうのは、どうやって決めているんですか?

俺が学生の時は、国際医学生連盟っていう、いろんな国の公衆衛生とか国際保健を扱うWHOみたいな団体に入ってて。日本ではそんなに有名ではないんだけど、医療を勉強してる学生が参加して、自分たちでプロジェクトを考えて、現地で遂行する。それに参加してると、海外のいろんなところで会議があるから、行く場所がそれで決まる。たとえばチュニジアで会議があるってなったら、ついでにイタリア縦断しよう、っていう感じ。

―なるほど、事前にいろいろ調べてその国に行くことが目的ではないんですね。

うん。これがあるから絶対行きたいっていう気持ちではあんまり動いてなかった。先に大体の場所が決まって、じゃあその周り行ってみよって。去年の旅も、とりあえず中国の彼女のところに行って、その場のノリでトルコ辺りまで行ったら寒くなってきて、じゃあ南だと思ってアフリカ行った。時間があったら、どこでもいいな。

―その場の気持次第で行き先が決まるんですね。

あれやね、行き当たりばったり。笑 一応、初めて行く国なら、絶対行きたいとこは大体決めておくんやけど、それ以外は旅先で聞いた話とか、そこに住んでる人の話を聞いて何処に行くか決める。例えば、日本のテレビですげーいいって言ってたけど、現地の人が「あんなとこ行く奴なんかおるか!?」って言ってたら「あ、じゃあ別に行かなくていいや」って。

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(1000mの断崖絶壁 end of the world スリランカ)

大自然に導かれる旅路

―日本人と現地の人で評価が分かれた場所はありますか?

例えば、現地の人とではないけど、ウユニ塩湖なんか、今日本人だらけなんよ。ヨーロッパのバックパッカーたちが狙って行くのは、マチュピチュのインカトレッキングやから、日本人がウユニへ行くシーズンと、逆転してるんよ。雨季のウユニ塩湖は今、日本でめっちゃ人気だけど、逆シーズンでも良いところあるの、全然知られてないんだよなあ。

―てんさんは、動物とか、自然が好きだから、そういうの詳しいですよね!

そうやねん。自然派やから。旅中は、自然に重きをおいてる。

―どこが一番印象的ですか? 選ぶの大変そうですが・・・

そうやなあ。キリマンジャロは泣きかけたな。お金セーブしたら登山日数が少なくなって5日間で登山しなきゃならない。そうすると体がついていけなくて、高山病にかかりやすいんよ。そしたら、見事に罹って、最終日は吐きながら泣きながら登った。笑

あと、タジキスタンのタミール高原。世界の屋根って言われてる場所で、6、7千メートル級の山が周り囲んでて、ただ、そこは許可証がないと入れない。ずっと入りたくて3日間くらい粘ってたら、なんとか取れて。観光客とかいなくて本当に景色よかった。景気で言ったら、砂漠もすごい好き。砂漠って場所によって見た目が全然違う。サハラ砂漠、ナミビアのナディフ砂漠、ゴビ砂漠・・・夜むっちゃ寒いんよ。昼はあったかくて、砂漠によっては温泉湧いたりして、おもしろい。あとアフリカのサファリはやっぱ感動したかな。

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(タジキスタン タミール高原にて)

圧倒的な野生動物たち

―エチオピアで一緒にサファリ行きましたけど、動物全っ然見られないし、閑散としてましたよね。笑 あれってサファリって言っていいんですか??

まあ、サファリもいろいろあるからね。車降りて、歩いて動物を見に行くウォーキングサファリもあるし。でもケニアのマサイマラみたいに、人に慣れすぎてる感じは、ちょっとな・・・。動物はたくさん見れるけど、人間が近づいてもライオンが腹出して寝てるの見ると、これって自然なんかなって思う。

サファリで言うたら一番すごかったのはやっぱ、ゴリラ! ゴリラやばかったわ。ウガンダのゴリラトレッキングなんやけど、獣道すらないからレンジャーが草を切り分けて進むんよ。俺の横のおばちゃん、ゴリラに小突かれたからな。俺その瞬間死ぬと思った。笑

―え! そんな小突かれるくらい近づいて大丈夫なんですか?

基本的には5mくらい距離をとらないといけないっていうルールになってんねん。向こうが近づいてくるときは、その限りではないみたいやけど。その時は向こう(ゴリラ)から近づいて来て、こんこんって。「放っておいてくれ」って。

―・・・人間みたい。

まあね、人間にも毎日見られとうから、慣れとうやろうけど。もちろん餌はあげないけど、向こうも恐れてない。俺は人に慣れすぎてるのより、警戒している方が自然のままの姿だと思うから好き。ただゴリラは、人には慣れてるけど見られること自体レアやし、あまりの近さが衝撃やったなあ。

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(馬に乗って散歩。キルギスタン)

未知の世界、トラブルはつきもの

―ゴリラとの急接近もそうですけど、80カ国近く回っていると危ないことも多いと思います。

そうやね。ペルーでマチュピチュに行く途中、ストライキがあって。ストライカーたちが警察とバトルしてた。バスがその中を強行突破しようとしたんだけど、突然運転手が「Close the carten!」って叫んで。なんや?って思ってたら、もう投石の嵐。こぶし大の石がぼんぼん入ってきた。なんとかその群れの中を抜けると、車内が流血騒ぎで。バスとかぼっこぼこになってた。ストライキ自体は、ペルー政府がお金がなくて、チリにマチュピチュとか文化遺産の権利を売り渡そうとして、観光業に携わってる人達が怒ってたみたいなんやけど。あれも死にかけたな。

―その国の情勢って行く前も行ったあとも、どう変わるかなんて、わかんないですもんね。

そうやね。去年もイスラエルおった時、ミサイル飛んできたしね。首都のテルアビブにおった時、急に警報が鳴って、みんな逃げて。ベルむっちゃ鳴ってるけど、何が起こってるのかも分からんし、建物の中に入ったり床に伏せるやつもいた。俺だけぽつんとなって、どうすりゃいいの?っていうことはあった。戦争を身近で感じる感じ。ただ、日本はイスラエルって言うと、きな臭いイメージしかないけど、ヨーロッパの人達からしたら、リゾートで行く国やからね。イメージが全然ちがう。まあ海外に関わらず、命の危機は度々あんねんけど、生き延びてる。

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(空の旅、パラグライダー トルコ)

気の赴くままに、行きたい時に行きたい場所へ

―どんな怖いことに遭っても、旅で得た経験は生ものだから、圧倒的ですよね。百聞は一見に如かずと言うか。

うん、まあ俺は、単に旅好きなんやと思う。色々考えて、この旅で自分を変えようとか探そうとか、全くない。中学生くらいの、インターネットなかった時代に自分で電話帳使って、ユースホステルに電話して自転車で四国回ったりしたしてたし。海外だけやなくて、日本国内も、おもしろそうやなと思ったとこに行くかな。

―旅に意味を求めないというか、逆に行かずにはいられないってことですか?

そやね。べつにおっきな何かを求めてるわけではない。旅自体も、あんまり何年も長い間旅しようとは思わへんかも。

―時々、どこかへ行くのがいい。

そうそう。趣味ってそういうもんじゃない? あくまでベースではない、仕事じゃないから。音楽を趣味って言っても、それを四六時中やってるってなったら、趣味じゃなくて仕事だと思うから。俺のにとって旅は、あくまで趣味やね。旅に行くことは、一大決心とかじゃない。生きてる間に行こうかな、っていう感じ。

―次行くなら、何処がいいですか?

バヌアツに行きたい。南太平洋の島。火山があってさ、すごい近くまで寄れるんよ。海も綺麗で。島も好きなんよ。島って、独自の文化とか自然があるからね。日本も島国やし、日本の中にある島もいいな。まあでも、ほかにも行ってないところや行きたいとこいろいろあるし。明日は明日の風が吹くスタイルで、行きたいところに行きたい時に行くわ。

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(スリランカの世界遺産シーギリヤロックの頂上)

[天満祐一: 1981年5月26日生まれ。中学の時から電話帳と紙の地図片手に自転車や電車を乗り継いで、各地へ旅に出る。自然と動物が好き。現在は日本のご飯と魚がおいしい場所で、医者として働いている。]

■Yasuko Kimura「母と2人でトルコ旅ちょっとだけアブダビ

■Shohei Watanabe「イスラエル エルサレム ベツレヘム分離壁

■Reiko Matsumoto「緑の国 スリランカ

ライター:立花実咲

http://blog.compathy.net/

▲編集元:TRiPORT

バヌアツ 画像集