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Traveler's Express「岡昌之さん - 好奇心の赴くまま、息子と世界を泳ぐ旅 -」

2014年07月14日 00時42分 JST | 更新 2014年09月12日 18時12分 JST

「男は背中で語るもの」―――。そうは言っても、語るのが体裁のいいことばかりなら、子どもも飽き飽きしてしまいます。休日に寝転がってばかりいるお父さん。その背中を、子どもはじっと見ています。

今回は、息子のたいかん君と数多くの国を旅するパパ、岡さんにお話を伺いました。日本では、家族旅行で海外へ行くのは決してポピュラーだとは言えません。日本と海外のライフスタイルの違い、それに基づいた家族同士の関わり合いの違いが「日本のお父さん」という軸から見えてきました。

息子と旅をする醍醐味

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(Masayuki Oka「パラオ 2012」より)

─ 岡さんは息子さんの、たいかん君と一緒に旅をされていますが、昔からそうなのですか? それとも父子で旅をしようと思い至った経緯はあるのでしょうか。

もともと家族旅行はしていて、グアムやハワイなど、日本人がたくさん行く所にも行きました。妻が仕事で忙しいので、僕と息子で一週間くらい行ったのがきっかけです。

― お子さんと旅をする醍醐味って何ですか。

子どもは感情表現がストレートだから、いろんな所へ連れて行くと素直な反応が見られるのが嬉しいです。それに、子どもって同じくらいの歳の子とすぐ遊び始めることが多くて、現地の人や他の旅行客同士で仲良くなるきっかけにもなります。

― 今まで回ったところで、たいかん君が特に気に入った所などありますか。

基本的に楽しそうにしています。ただ、テーマパークとか人工的な場所はあまり好きではなくて、泳いだり走り回る方が良いようです。あと、綺麗な金髪の女性が好きですね。

― 子どもができると、旅に行かなくなってしまう人は多いと思います。

そうですよね、なかなか難しいと思います。日本では休みをとることすら大変ですから。他の国の人たちは、小さい子もおんぶして家族で旅行している人が多い。僕が今まで行った所も、日本人のお父さんってあまり見かけないですね。休みも取れないわけではないと思うんだけれど。

「できない事がカッコ悪い」?

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(Masayuki Oka「オーストラリア父子旅 メルボルン編①」より)

― どうしてなかなか足が向かないのでしょうか。

日本の男性は内弁慶というか、恥ずかしい体験をしたくないと考えている傾向があるのかと思います。海外で、子どもや奥さんに、英語を喋れない姿を見られたくない。特に年齢が上がると、よりその傾向が強い気がします。先進国で、なんだかんだ経済的に裕福なのに、これだけ海外に行かない国も相当珍しいと思います。

― 日本のお父さんたちが、家族と一緒に旅に行くのがスタンダードになる日は来るのでしょうか。

すぐには変わらないと思います。でも、2週間くらいまとまった休みをとって、家族とのんびり海外で過ごしてほしいですね。ヨーロッパやアジアから来た観光客が、現地のレストランやホテルで出会って一緒にご飯を食べたり、パーティをしているのを見ていると、日本人はまずそういう所にいないんです。いろんな国や職業の人が集まる場所にいるのに、交流しないのもったいないなっていつも思うんですけどね。

中国の人とか東南アジアの国の人たちは、そういう場を活かすのが上手い。旅行先でも絶対何かプラスになるものを得て帰って行くんです。日本のお父さんたちは、話にならないくらい出不精で奥手だし、コミュニケーションが下手。好奇心も行動力も、アジアの中でも最低クラスかもしれません。他の国の、ある意味での図々しさというか、逞しさが日本にはない。

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(Masayuki Oka「ホームステイ@ケロウナ 2013」より)

― 家族同士での交流となると、年齢層も混ざっていろんな人と知り合えそうです。

そうですね。日本人って日本人同士で固まるし、その塊も同じ世代間で更に固まっているんです。自分と接点がないひととのコミュニケーションが苦手だと思います。ひとつの共通点があるとコロッと変わる。アニメとか分かりやすいですよね。でも、殆どの日本人は、共通点がないと会話ができない。

子どもは、国籍とか関係なく興味のあるものに近づいていきますし、その積極性と好奇心を日本のおとなは見習うべきだと思います。知らない人も世代もごちゃごちゃになって交流することって、今では日本では少ないですから。その人の素性や肩書きを気にしてしまうし。

― 確かに世代をまたぐと、「お酒注がなきゃ」と気になったりします。

海外だと、全く気にしないですからね。パーティ中でも、ひとりで飲みたい人はずっと1人でいるし、他人のことも気にしない。オーストラリアのメルボルンにホームステイした時は、何時間もかけてやっと到着したのに、すぐ「今からパーティ行くぞ」って言われて親戚の家に連れて行かれました。歓迎してくれるけど、過剰に気を使わないからすごく居心地が良かったです。

フラットな人間関係

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(Masayuki Oka「オーストラリア父子旅 メルボルン編①」より)

― そのラフさはどこからくるんでしょうか。

日本だと、親戚や一族が集まるパーティや法事に、見ず知らずの人なんて連れて行かないですよね。

もう一軒のホームステイ先は、イラン系の移民の家族だったんですが、お母さんの2周忌で法事みたいなものがあって、それに連れて行かれました。そして「経典にあるこの詩を、日本語で詠唱してくれ」って頼まれました。自分が家に迎え入れた人は家族という考え方のようです。まさかイラン人の法事で、歌を歌わされるとは思わなかったですが。

― 法事でも、悲しみにふける場所ではないんですね。

その日は、なかなか会えない親族が集まる楽しい場所という雰囲気でした。「日本から来ているマサ(岡さん)と、その息子だ!」ってみんなに紹介されましたね。日本の法事で赤の他人が紛れ込むなんて、考えられないですけどね。

― 実際に様々な国の家族と一緒に生活をしてみて、日本の家族と海外のステイ先の家族で、ギャップはありましたか?

一番違うのは、海外のお父さんはよく働くなということです。家事を手伝うというか、普通のこととしてやっている感じでした。それから、親は子どもを子ども扱いしていないですね。2、3歳くらいの子どもなら、もう一人前の人として会話していますよ。

まずは親から、外へ目を向けてみる

― 今までのお話を伺う限りですと、岡さんは子育てに関して、日本は後進国だとお考えのようですが。

過剰に子供を保護していると思います。その割に、日本は決まりごとが多いんです。あれもダメ、これもダメ。海外なら、迷惑がかからないことなら誰も何も言わないし、子どもものびのびするから親も楽チンですよ。

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(Masayuki Oka「バンクーバー2013」より)

例えば、芸術的なモニュメントが公共の場に飾られていたら、出来た頃はオシャレな空間なのに、しばらくすると「入らないでください」とか「登らないでください」っていう注意書きがあちこちに貼られている。子連れとなると、一層大変ですよ、日本では「子育て=謝ること」になってしまっていますね。楽しいこともあるけれど、禁止事項が多すぎる。

― 確かに、好奇心が潰されてしまう環境が多いかもしれません。

「個性を伸ばそう」「自分らしさを持とう」って掛け声ばっかりで、実生活では自分らしくあろうとすると怒られる。学校で教えていることと、社会でやっていることが正反対だから、あんまりおもしろい人は出てこないですよね。

― ただ好奇心を持って外へ行って欲しいと思う親はいるかと思うのですが、皆が皆海外へ連れて行けるわけではないですよね。

海外に行けないとしても、普段から世界の話をしたり、コミュニケーションをとることはできると思います。まずは親自身が、そういうことに興味があるっていう姿勢を子供に見せないと。押し付けても嫌がるし「親が海外にどこにも行っていないのに、どうして?」って思うだろうし。子どもって親の真似をしますから、親がしていないことは子どもはしないし、親が変われば子どもはいくらでも変わると思いますね。

[岡昌之:1972年生まれ。主夫生活をしながらライター業も営む兼業主夫。2009年に息子のたいかんくんが誕生。以後、一年の4分の1は彼とともに海外を旅する。8月から、たいかんくんの進学と共にバリ島へ移住予定。岡さんのブログはこちら「子連れライター世界を歩く」]

■Masayuki Oka「パラオ 2012

■Masayuki Oka「バンクーバー2013

■Masayuki Oka「オーストラリア父子旅 メルボルン編①

■Masayuki Oka「韓国・済州島 2013

ライター:立花実咲

http://blog.compathy.net

▲編集元:TRiPORT