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2020年に100万人超!訪日ムスリム旅行者をどう受け入れる?

2015年07月15日 23時35分 JST | 更新 2016年07月13日 18時12分 JST

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写真:PIXTA

イスラム市場に詳しい米調査会社DinarStandardによると、ムスリム(イスラム教徒)向け観光市場は今後急速に拡大する見込みです。航空、ホテル、レストランなど観光関連サービスのムスリム旅行者の支出(アウトバウンド)は2012年に1370億ドルでしたが、2018年には1810億ドルに達すると見込まれています。グローバルの旅行支出全体の12.5%に相当する割合です。

また、シンガポールでムスリム観光の調査やコンサルタント業務を手がける「CrescentRating」によると、来日ムスリム旅行者数は2013年時点で年間30万人でしたが、2020年までに年間100万人に達すると見込まれるようです。日本への旅行者全体の4%に相当する数といいます。

このような拡大トレンドを背景に、ムスリム旅行者を取り込むための施策を練っている企業も少なくないはず。しかし、ムスリム旅行者を取り込むためには、礼拝室を完備したりハラル認証の食材を使ったりする必要があり、一筋縄ではいかないでしょう。特に非イスラムである日本ではムスリムの習慣を知らないため、何をどのように対応すればよいのか分からないかもしれません。

ムスリム旅行者にやさしい旅行先ランキング 1位はシンガポール

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左上:©TRIPPING! 洗い場をハラル対応と非ハラル対応と分けているホーカー「ラオ・パサ」 左下&右:©ASEAN-Japan Centre  シンガポールに暮らすムスリムの人々

一方で非イスラムでありながら、ムスリム旅行者の獲得に成功している国があります。「シンガポール」です。

CrescentRatingが毎年発表している「ムスリム旅行者にやさしい旅行先ランキング」によると、シンガポールはイスラム協力機構(OIC)非加盟国の中で、ムスリム旅行者にやさしい国で1位となりました。ちなみに日本は17位。

シンガポールには少数ですがマレー系国民もいることから、昔から礼拝室やハラル食品への対応を行っており、このことがインドネシアや中東諸国のムスリム旅行者を呼び寄せる要因になっているようです。

シンガポールの人口は約500万人。そのうちムスリム人口は15%ほどです。シンガポールを旅行すると電車・バスや街なかでヒジャブ(スカーフ)をしたムスリム女性をよく目にします。現地人か旅行者かは分かりませんが、ムスリムが多いことを実感できます。筆者にはムスリムのインドネシア政府高官の友人がいます。彼は世界中を飛び回っていますが「シンガポールは食事や礼拝などで心配する必要がなく、他の国に比べ非常に過ごしやすい」と言っていたことからもランキングには納得感があります。

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著者撮影 チャイナタウンのKFCもハラル認証を取得している

シンガポールでは政府系の「MUIS」がハラル認証を与える唯一の機関です。MUISは厳格な独自の基準で評価をすることから、国際的にも定評があります。シンガポール国内にはMUISに認証された飲食店が2000店以上あるといわれています。

また、ムスリムに欠かせないモスクも国内に70カ所ほどあり、礼拝の場所探しで困ることは少ないといいます。街なか(中)を歩いているとモスクが多い印象を受けます。

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©ASEAN-Japan Centre シンガポールのサルタン・モスク

日本でもハラル認証を取得する動きが増えているようにみえます。千葉県の機内食提供会社「ティーエフケー」が2014年9月、日本の食品会社として初めてMUISからハラル認証を受けたほか、ANAがハラル認証の機内食ニーズの高まりとマレーシア・クアラルンプールへの就航に伴い、2015年7月からハラル認証を受けた機内食を充実させると発表するなどしています。こうしたことからもムスリム旅行者が増加しており、ハラル食品の需要が高まっていることが分かります。

シンガポールのチャンギ空港では各ターミナルにそれぞれ礼拝室を完備しているだけでなく、ハラル認証を受けたレストランを多数配置しています。このように国の玄関口である空港にムスリム旅行者に配慮した施設を配置していることも、旅行先としてシンガポールが選ばれる理由になっているのではないでしょうか。

シンガポール地元紙ストレーツ・タイムズがティーエフケーの話として伝えたところによると、海外旅行するムスリムの3分の2以上がハラル食品の有無を最大の懸念事項として挙げているといいます。

増加するムスリム旅行者を日本がうまく取り込むためには、シンガポールなどムスリム旅行者向けの取り組みを先進的に行っている国から多くを学ぶ必要がありそうです。

参考サイト

・ムスリム旅行者旅行先ランキング

(text : 細谷 元)

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