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子宮頸がんワクチンの痛みの副反応は心理、社会的要因が原因の意味

2014年04月18日 18時23分 JST | 更新 2014年04月18日 18時23分 JST

子宮頸がんワクチンについては、前にもまとめて書いたんだけど

子宮頸がんワクチンをめぐるあれこれ(その1)

子宮頸がんワクチンをめぐるあれこれ(その2)

子宮頸がんワクチンをめぐるあれこれ(その3)

子宮頸がんワクチンをめぐるあれこれ(その4)

厚生労働省の専門部会が、2月20日、痛みの副反応は心理的、社会的な要因が原因と結論づけた。おそらく、これで次回の会議で接種勧奨の再開ということになるんじゃないかな。

痛みは心理、社会的要因が原因 子宮頸がんワクチン

ニュースやネット情報を見ると、この結論に疑いを持つ人たちの話のほうが目立つ感じなんだけど、まあ、オレの認識では専門部会の「神経の障害や薬剤の中毒、免疫反応の可能性は低い」という結論が妥当だと思う。

この話と独立に、WHOも、多発性硬化症などの自己免疫疾患や神経疾患、血栓症などの副反応について、、子宮頸がんワクチンの安全性を再確認している

メディアってのはどうも、WHOや政府機関などが発表する,非常に多くの専門家たちの監視の目に耐える意見を低めに評価して、あまり出自の明確でない人たちの異論を大きく伝えがちな所がある。だけど、オレとしては、どっちを信じるかといえば、どう考えても前者で,それがものの道理だと思う。

ただし、この「痛みは心理、社会的要因が原因」という言葉から、患者が訴えている苦痛のことを、なんだ気のせいなんだ、みたいに思う人がいるとしたら、それは大きな間違いだ。痛みを訴える患者の苦痛は、間違いなく現実の物と考えなくちゃいけない。

痛みが生じるメカニズムというのはなかなか一筋縄ではいかなくて、何かのきっかけで痛みを感じ始めると、そこに痛みがあると脳が認識し、それによって筋肉の緊張などが起きてさらに痛みが増し、その痛みを脳が認識して……というようなループが起きてしまうことがある。

子宮頸がんワクチンは、それ以外の予防接種とは違って、筋肉注射という、痛みの強い接種法を使わなければいけない。

そのため、子宮頸がんワクチン接種を受けた中のごく少数の人に、経験のない初めての痛みに驚いて、そこから上記のような痛みのループができてしまう事はあり得る。

この場合も、早い段階で、精神医学的な治療アプローチなどをあわせて行えば、それほど長引かずに痛みが治まっていく可能性は高いのだけれど、原因不明の痛みということで、それとは違ったあまり効果的でない努力を色々重ねるうちに、脳が作る痛みのループが神経回路的に定着してしまって、こうなると収まるのに長い時間がかかることもある。

そうやって定着してしまった痛みは、決して、気のせいとかではなく、患者本人にとって実際に存在する苦痛なんだよね。

そういう事が起きうることを前提として、厚生労働省の専門部会は、接種前に「想像以上に痛い注射である」ことを事前に十分説明するという注意点をまとめている。

あと、子宮頸がんワクチンは全ての子宮頸がんウイルスを予防できるわけではなく、ワクチンを打っても定期検診は必要だって事から、定期検診だけはしっかり受けてワクチンは打たないというやり方が良いんじゃないかという人もいる。

もちろん、定期検診で早期癌を発見できれば、深刻な事はほとんど起きないうちに治療は可能だ。だけど、がんに罹っても治せることと、そもそも罹らない可能性を高められることを、天秤に掛けるのはおかしなことだ。

早期発見早期治療を行えたとしても、その治療によるある程度の身体ダメージがないわけじゃないし、短期間でも入院による不自由もある。そういう損失を受ける可能性を考えるなら、オレとしては、やっぱりワクチンを接種しておいたほうが、より安全側の選択だと思うんだよね。

(2013年2月28日「くねくね科学探検日記」より転載)