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【11月19日は「世界トイレの日」】世界の3人に1人がトイレのない生活を送っている

2015年11月13日 02時47分 JST | 更新 2016年11月10日 19時12分 JST

11月19日は「世界トイレの日」

皆さん、毎日必ず行っていることは何でしょうか。眠ること、食べること、呼吸することなど、いろいろ思い浮かぶことがあると思います。忘れずに出てきたでしょうか-「トイレに行くこと」も、私たちが毎日必ず行っていることのひとつです。

私たちは毎日必ずトイレを使っています。トイレは、安心して排泄するため、排泄したものが安全に処理されるため、そして衛生的で健康な生活を送るために欠かせないものです。しかし現在、世界では、人口の約3分の1にあたる23億人が、衛生的なトイレを使うことができません。野外排泄をするしかない人々も多くいます。そのような地域では、安心して排泄することもできません。頻繁に病気が流行し、健康的な生活を送ることもできません。

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マダガスカルの公共トイレ(WaterAid/ Anna Kari)

「世界トイレの日」。あまり聞き慣れない方も多いと思いますが、実際に存在している「日」です。2013年、国連によって「世界トイレの日」が正式に制定されました。トイレは生きるために欠かせない大切なものであることを知る日、そして世界の3人に1人がそのトイレのない生活をしているという事実に目を向ける日-これが「世界トイレの日」です。NGO「世界トイレ機関(WTO:World Toilet Organization)」が、2001年11月19日に設立され、それ以降、世界各地でその日にトイレに関するイベントが開催されてきたことから、この日が「世界トイレの日」に制定されました。

トイレがないということ

インドのウッタル・プラデシュ州にあるラーキマンディ・スラム。約3,500人が生活しています。ここで生活する人々は、線路脇の茂みをトイレとして使っています。そこにたどり着くためには線路を7本渡らなければならず、大変危険です。しかし、女性たちは、さらに深刻な危険にさらされながらトイレに行っています。このスラムに住む女性ラーダ・ヴェルマさんが、トイレがないことによって起きた辛い出来事について話してくれました。

「ここでは多くの人が線路脇の茂みをトイレとして使っています。その茂みは男性側と女性側で分かれています。臭いがひどいので、本当は行きたくないのですが、家の近くにはこまめに行けるトイレがありません。だから何度もトイレに行かなくて済むように、おなかがすいても食べないようにしています。今では1日1回のトイレで平気になりました。」

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トイレに行くために線路を渡るラーダ・ヴェルマさん(WaterAid/ Isabelle Neill)

「半年前、娘のニーシャがトイレのためにその茂みに行ったときのことです。男が隠れていて娘を襲いました。ニーシャがしゃがもうとしたとき、男が茂みに隠れているのに気がついたそうです。すぐに立ち上がって大声を出したところ、男が襲いかかってきました。男は酔っぱらっていたので、ニーシャが激しく抵抗し、何とか無事でした。私はそれを人から聞き、不安で怖くて、でも娘の無事を確認したい一心で、必死に線路脇まで走りました。」

家庭にトイレがなく野外排泄に行く女性たちは、人通りが少ない早朝や夕方に、人がいない場所に向かっていくため、襲われたり、暴行されたり、嫌がらせを受けたりする危険に直面しています。

問題は家庭のトイレだけではありません。開発途上国には、トイレがない学校も多くあります。学校にトイレがなければ、月経中の女子生徒たちは安心して学校に通うことができません。エチオピアのある学校での調査では、半数以上の女子生徒たちが、月経によって毎月1~4日、学校を休んでいました。学校にトイレがないことが原因で、学校を中退する女子生徒たちも少なくありません。

トイレで変わる未来

ラーダ・ヴェルマさんは、自分の娘が襲われたことをきっかけに、トイレの建設は困難だろうと言われていたラーキマンディ・スラムの中で最初のトイレを作ることを決意しました。さっそく、NGOが実施するトイレの設置に関するトレーニングを受けて、自宅にトイレを建設しました。

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完成したトイレの前で、ラーダ・ヴェルマさんと娘のニーシャさん(WaterAid/ Isabelle Neill )

「こんな不衛生な暮らしはもうまっぴらです。自宅にトイレを作り、今では周りの人にもトイレを作るよう勧めています。良い生活を送れる日がもうすぐ来ます。」

インドでは今、トイレのある生活を求めて行動を起こす女性たち、女子生徒たちが増えています。トイレの存在が、生活を変えるきっかけになることを知っているからです。

日本に住む私たちは、身の危険を感じることなく、夜中でも安心してトイレに行くことができます。トイレがあることがあたりまえで、トイレの大切さを忘れてしまいがちです。そのような私たちも年に1度、トイレについて考える日-それが「世界トイレの日」です。世界では、毎年「世界トイレの日」にさまざまなイベントが開催されています。インドでは昨年こんな大きなトイレが町に出現しました。

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ニューデリーに設置された大きなトイレ(WaterAid/ Areeb Hashmi)

途上国の水とトイレの問題に取り組むNGOウォーターエイドジャパンは、2015年11月14日、来年(2016年)以降の「世界トイレの日」を盛り上げていくためのイベント・アクションを皆さんと一緒に考えるワークショップ「トイレットアイデアソン」を開催します。1年に1度のこの大切な日の存在を広めるために、ぜひみなさんのアイデアを聞かせてください。

特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン

事務局長 

高橋 郁