「リーダーシップ」はそろそろ古い・・・? 21世紀型スキルを目指す教育のあり方について

内発的な動機によって学んでいるかどうかという点がアクティブラーニングにとっては、重要です。

知人から言われて衝撃を受けました。

Google検索で「リーダーシップ」を検索する人よりも、「アクティブラーニング」を検索する人の方が多いのです。下記のグラフ(今年9月7日段階のもの)をみても、一時期、アクティブラーニングがリーダーシップを上回っていることがわかります。

ところで、「アクティブラーニング」を書店で少しずつ見かけるようになってきましたが、この言葉はどういった言葉なのでしょうか。

アクティブラーニングを行うのは、誰か。

アクティブラーニングの反対の言葉に、パッシブラーニング(Passive Learning, PL,受け身の学習)という言葉があります。PL(※ Passive Learning)とは座学や知識詰め込み型の教育を指している言葉です。本人が習いたいと思っていないのに、「義務教育だから学ばないといけない」「親が通えと言っているから塾に行かないといけない」という状況が受け身の教育です。

それに対して、本人が自ら学びたいと思っていることを学ぼうとしている様をアクティブラーニングといいます。野球選手になりたい中学生が毎晩素振りをしている様子や、プログラマーになりたいと思った高校生がネットで独学している様はまさに、アクティブラーニングといえます。

どっちの方が、教育のいいあり方だと思いますか?

振り返って考えてみれば、日本ではとても窮屈な教育がこれまで行われていました。

21世紀に必要なスキルとは?

21世紀は、これまで以上に技術革新が進む時代と言われています。

IoT、VR、3Dプリンター、人工知能(AI)....。新しい技術はこれまで人間が行っていた職業を無人化し、人の職を奪うのではないかとも騒がれています。

そういった時代に必要になるのが、これまでの産業社会的な時代に必要とされていたスキルではなく、知的社会で必要とされると言われるスキル群です。今年の5月に世界経済フォーラムでプレゼンテーションされた「2015年に必要とされるスキルと、2020年に必要とされるスキル」をご覧になると、"Top 10 skills"という2020年に必要とされる10のスキルが紹介されています。

2015年、2020年それぞれの"Top skills"はこちらです。

【Top Skills in 2015】

1. Complex Problem Solving

2. Coordinating with Others

3. People Management

4. Critical Thinking

5. Negotiation

6. Quality Control

7. Service Orientation

8. Judgement and Decision Making

9. Active Listening

10. Creativity

【Top Skills in 2020】

1. Complex Problem Solving

2. Critical Thinking

3. Creativity

4. People Management

5. Coordinating with Others

6. Emotional Intelligence

7. Judgement and Decision Making

8. Service Orientation

9. Negotiation

10. Cognitive Flexibility

優先順位が上がっているものは、人工知能にはできない人間味のあるスキル(Critical Thinking, Creativity, Preople Managementなど)である一方で、機械にプログラムを仕込めばできること(Quality Controlなど)は順位を下げています。

21世紀に必要とされているスキルは、残念ながら簡単に身につくものではありません。

想像してみてください。あなたのよく知っている人のなかに「この人はなんてクリエイティブなんだ!」「この人は『人の使い方』が本当に上手い!!」という人がどれほどいることでしょう?

そういうスキルを身につけていないと人間は機械に勝てないと言われているんです。そういった学習難易度の高いスキルを身につけるためには、自ら学ぼうとする姿勢がとても重要になります。

そこで注目されたのが、アクティブラーニングです。

何がアクティブラーニングに必要なのか?

アクティブラーニングは、文部科学省の学習指導要領にも言葉が出てくるなどして、学校関係者を中心にとても注目されているホットワードだと思います。

私は大学のゼミで、アクティブラーニングについて学んで参りました。そこで教わったのは、学び手が何のために学ぶか、何を学ぶかを自主的に設定することの重要性です。

つまり、内発的な動機によって学んでいるかどうかという点が重要です。

自分から本気で野球選手になりたいと思って、素振りを始めた子どもは親に「毎日、素振り100回しなさい」と言われた子どもよりもきっと長続きするでしょうし、身の入った練習になります。

つらい練習であれば、時には投げ捨てたくなることもあります。しかし自分でやろうと決めたことであればより積極的に続けられるのです。

アクティブラーニングは、学び手の動機(気持ち、きっかけ)を非常に重視します。

しかし、これを教育現場で実践しようものなら、現場では大混乱が起きることでしょう。これまで学習指導要領を参考にして、運営されていた教育現場からみれば、「自分の頭で考えて子どもたちに学ぶ動機を与えて」と指令が来たのです。

それを解決しようという動きもでてきています。

書店の教育関連スペースには、それに関するノウハウを伝える書籍が並んでいます。

また、私も運営スタッフの一員として関わっているDMMラウンジという映像視聴型の講義や、アクティブラーニングの実践ノウハウを伝えるスクールで「内発の経営学アクティブラーニング塾」という講座をつくっています。

(私たちは、どのような質問、疑問にも答えるため、参加者の方が安心して相談できる環境をつくっています。実際に参加者の大学教員の方から、アクティブラーニングの授業設計案が提示され、学生の内発的動機が高まるようにアドバイスを送り、喜ばれました。学びやすい環境としておすすめできます。)

残念ながら、教育現場が抱えている課題をアクティブラーニングがすべて解決してくれるというわかりやすい話ではありません。現場では混乱が起きているケースもあることでしょう。

しかし、技術の発展により社会が変わり、必要される能力が変わるなかで、どのような教育があるべきなのかという議論は、未来の世代を輩出するための重要な議論です。これからも日本の教育について時折、記事を書かせていただければと思います。

(追記:現在、アメリカの教育、NPOのあり方を学びに短期留学に訪れています。その中でこの記事をぜひ書いておきたいと思い、書かせていただきました。)

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