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第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)に向けて

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田川 慶(たがわ けい - 筆者右)


東京都出身。大学で開発経済学を専攻後、日本の民間銀行で3年間勤務。青年海外協力隊村落開発普及員としてニジェールへ2年間赴任。アメリカのコロンビア国際関係・公共政策大学院で国際関係学修士号を取得。2004年よりブルンジ、コンゴ民主共和国、コートジボワールで計9年間国連平和維持活動に従事、13年より現職

国連事務局アフリカ特別顧問室(OSAA)のプログラムオフィサー田川慶さんは、8月27・28日にナイロビで開かれるアフリカ開発会議(TICAD VI)を共催する国連事務局の一員として準備に追われています。田川プログラムオフィサーは、アフリカ4か国で村落開発や平和維持などの活動に従事するなどアフリカ開発のエキスパート。アフリカと日本、そして国際機関が顔を合わせる会議が実りの大きいものになるよう取り組む、田川プログラムオフィサーからの寄稿をお届けします。

国連事務局アフリカ特別顧問室(OSAA)田川慶さん

~アフリカの平和と開発に弾みをつける会合を目指して~

TICAD開催に向けて

今年の8月27・28日にケニアの首都ナイロビで第6回アフリカ開発会議(The Sixth Tokyo International Conference on African Development, TICAD VI)が開催されます。私は会議の共催者の一つである国連事務局アフリカ特別顧問室(OSAA)のプログラムオフィサーとして、現在TICAD VIの開催準備に携わっています。

OSAAは、事務局に唯一ある地域専門(アフリカ)のオフィスです。マジェド・アブデルアズィーズ国連事務次長・アフリカ担当特別顧問の下、国連をはじめ様々な政府、国際機関、NGOなどにより開催される国際会議で、アフリカの平和と安全および社会経済開発が優先議題になるようアドボカシーを行ったり政策提言をしたりしています。

TICAD VIに向け、2016年2月に開催国のケニア政府の招待で共催者準備会合に出席し、3月にはTICAD上級実務者会合を東アフリカのジブチで共催しました。6月16・17日には西アフリカのガンビアで閣僚級会合が開かれ、各会合での議題の選択やプログラムの構成、成果文書の作成などを日本政府主導の下、OSAA、国連開発計画(UNDP)、アフリカ連合委員会(AUC)と世界銀行(WB)が共同で進めました。TICAD VIの共催者にはそれぞれの立場、視点があり多面的ですが、アフリカの平和と開発という目標に向け一丸となって取り組んでいます。

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TICAD VI成功に向け、AUや日本政府と共に閣僚級会合に出席したアブデルアズィーズ国連事務次長・アフリカ担当特別顧問(左) (筆者提供)

TICAD VIは、23年間の歴史の中で初めてアフリカ大陸で首脳級会合が行なわれます。そのためアフリカの国々はもちろん、国際的にも関心が非常に高まっています。今年2016年は、昨年国連総会で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の取り組み初年にあたる重要な年です。

アフリカ連合(AU)で採択された今後50年にわたるアフリカの長期開発目標「アジェンダ2063」とその「第1部10年実施計画」(Agenda 2063 and its First Ten Year Implementation Plan)、さらには日本の仙台で開催された第3回国連防災世界会議、パリで開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)などの大切な議題や枠組みもスタートしたばかりです。

国連で働く日本人として、この重要な時期に日本の主導で国際社会の中でも重要かつ緊急性の高いアフリカの平和と開発を推進するための大規模な首脳級の会合を行うことは、大変意味のあることだと感じています。私も微力ながら会議の成功に貢献できるよう、日々努めています。

アフリカとの関わり

私が初めてアフリカで働いたのは、1999年に青年海外協力隊員として赴任した西アフリカのニジェールでした。協力隊員としての2年間は、電気や水道など社会基盤が全くと言って良いほど整っていない村に住み、砂漠化が進む地域で村の女性に調理時の薪の使用量が少なくて済む「改良かまど」の普及活動を行ったり、村の指導者に緑化推進の啓発活動をしたりしていました。

この2年間でアフリカの農村に住む人々の生活水準やその苦労を目の当たりにし、協力隊活動後はアフリカの開発に関わる仕事がしたいと強く思うようになりました。

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コートジボワールのサンペドロ地方で民族融和に関する啓発活動を行った(2008年7月、筆者提供)


その後アメリカの国際関係の大学院で政治経済開発を学び、修了後、希望がかなって2004年に国連平和維持活動のブルンジミッションへ民政官として派遣されました。その後9年間、ブルンジ、コンゴ民主共和国、そしてコートジボワールにて民政官や政務官として働きました。

国連平和維持活動(PKO)は主に内戦が起こった国々で、政府と反政府勢力などが停戦後に締結する平和条約の下、新たに国を再建する手助けを行います。平和維持活動勤務の間は、それぞれの国で内戦後初めての大統領選挙実施のサポートや選挙監視をしたり、内戦でばらばらになった民族間の融和を進めたりしました。

また小学校や診療所の改築など、小規模の社会経済復興プロジェクトへの融資や内戦中に衰退した地方政府のキャパシティビルディングなどに奔走しました。協力隊では貧困を削減するための社会経済開発の重要さを、そして国連平和維持活動ではその社会開発の基盤となる平和と安全の大切さを痛感しました。

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コートジボワールの収入向上プロジェクトの受益者たち (2008年8月、筆者提供)

日本からの貢献も

現在勤務するOSAAでは、アフリカの社会経済開発や平和と安全の推進の重要性への世界各国の人々の認識を高め支持を増やすため、アフリカの重要議題について専門家会議を開いたり国連事務局長の名の下に出版されるアフリカの平和と開発に関する報告書の作成をしたりしています。さらにオフィスを率いるアブデルアズィーズ国連事務次長・アフリカ担当特別顧問が出席する会議の資料や発言要旨の作成なども行っています。

TICADは、OSAAが推進する「アフリカの平和と開発」を中心議題とする国際会議であり、その共催者としての仕事は当オフィスの数ある仕事の中でも重要な位置を占めています。また、個人的にもこれまでアフリカ各国でお世話になってきたアフリカの人々の平和で豊かな生活を実現するため、間接的にではありますが貢献できることを大変嬉しく思っています。

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南アフリカダーバンで開催した紛争によって生じる移民に関する上級専門家会議 (2015年11月、筆者提供)

TICAD VIは、2013年にTICAD Vで採択された横浜宣言および2013-17年までの横浜行動計画の引き続きの実施を確認する一方、2013年以降生じてきた新たなアフリカの課題を話し合います。

例えば、資源輸出に頼るアフリカ経済の多角化と産業化、エボラ出血熱の流行と強靭な保健システムの構築、あるいは暴力的過激主義の拡大と社会の安定などを日本、アフリカ、そして関係国や関係機関の首脳級レベルで話し合い、アフリカの平和と社会経済開発を促進することを目的としています。

また昨年採択された国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」とアフリカの地域開発の「アジェンダ2063」は、どちらもアフリカの平和と開発を推進する上で重要であり相互に補完・推進する関係にあります。日本やその他の支援パートナーが、TICADを通じ、どのように効率的な開発イニシアティブを支援していくかが重要です。

さらにアフリカ各国への個別支援だけではなく、アフリカ連合(AU)やアフリカ地域経済共同体(RECs)が推進する地域プロジェクトへの支援強化も必要です。TICADは以前から市民社会の声を積極的に取り入れており、さらに最近注目を集める官民共同プロジェクトや民間セクター主導の開発も重要な議題となります。特に日本の民間企業はその高い技術レベル、職業観と倫理を持ち合わせており、アフリカ経済開発に貢献する役割も期待されています。

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前回TICAD Vでの集合写真。会議発足から20周年だった(2013年) UN Photo/Rick Bajornas

私は2013年にOSAAに赴任したばかりだったので、前回のTICAD Vのプロセスにはほとんど貢献することが出来ませんでした。一方で、TICAD V終了後のフォローアップの会議とTICAD VIの準備には携わってきています。

TICAD関連の仕事では、14年にカメルーンでの閣僚級会合に事務次長の補佐として出張した時のことが強く印象に残っています。それまでアフリカ現地での勤務が長かったので、ニューヨークの国連本部の仕事に慣れるまでに時間がかかっていました。TICAD閣僚級会合を共催するアブデルアズィーズ事務次長をサポートするため、初めて事務次長と2人きりで仕事をした時は、そのプレッシャーや自分の未熟さを痛感したことを思い出します。

幸い、機関を超えた多くの共催者の先輩方のサポートで会議は成功裏に終わりましたが、TICAD関連の出張の時はいつもこの時の経験を思い出します。この先もTICADの仕事を含め、アフリカの平和と開発の推進に色々な立場で貢献していきたいと願っています。

*この文章は筆者の私見であり、国連事務局やアフリカ特別顧問室の意見を反映したものではありません。