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シリーズ「今日、そして明日のいのちを救うために ― 世界人道サミット5月開催」(3)

2016年01月28日 23時31分 JST | 更新 2017年01月27日 19時12分 JST

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世界人道サミット
(2016年5月23 - 24日 トルコ、イスタンブール)

シリーズ第3回は、国連児童基金(UNICEF)東アジア・太平洋地域事務所緊急支援専門官の根本巳欧さんです。21世紀、人道ニーズが複雑化している背景には、紛争や災害に苦しむ何億人もの子どもたちの存在があります。被災地における速やかな学校復興の重要性など、大人とは異なる、子どもたちのニーズ。被災地のすべての人が人道支援の対象となるよう、根本さんは、子どもたちの小さいながらも確かな叫び声に耳を傾けることに尽力されています。

子どもたち自身も含めた多様なアクターと緊密に連携を取ることで、脆弱な立場におかれている子どもたちのリスクを考慮した開発支援を目指すUNICEFの役割について寄稿していただきました。 

第3回 国連児童基金(UNICEF)東アジア・太平洋地域事務所 緊急支援専門官
根本巳欧さん

世界人道サミットに向けたUNICEFの取り組み

―子どものために、子どもとともに取り組む人道支援―

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根本巳欧(ねもと みおう)緊急支援専門官

神奈川県出身。東京大学法学部卒業。米国シラキュース大学・マックスウェル・スクール大学院で公共行政管理学、国際関係論の修士号取得。民間企業、日本ユニセフ協会を経て2004年にUNICEFへ。東京事務所、シエラレオネ、モザンビーク、パレスチナの各UNICEF事務所を経 て、2013年から現職。

なぜ子どもなのか?

2016年元旦、日本では当たり前のように目にすることができる、お正月を家族と一緒に過ごす子どもたちの光景。しかし、世界全体を見渡すと、生まれ育った街の、住み慣れた家で、家族とともに、新年を迎えることができた子どもたちは、それほど多くはありません。

2015年末現在、世界では、2億3千万人以上の子どもが、紛争下に暮らしていると推定されます。これは、世界の子どものおよそ10人に1人。シリアをはじめとする難民や国内避難民のおよそ半分は、18歳未満の子どもであると言われています。さらに、この先数十年で、毎年2億人もの子どもたちが、自然災害の影響を受けるという予測も。特に、日本を含むアジア・太平洋地域は、気候変動に伴う自然災害の影響を最も多く受けると考えられています。

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2015年、太平洋の小国バヌアツは、大型サイクロン・パムによって大きな被害を受け、筆者も緊急支援に携わった。写真はバヌアツの首都ポートビラで被災した自宅跡を見つめる3歳のレイチェル。

© UNICEF/UNI181131/Crumb

これは、単に数の問題だけではありません。子どもには、大人とは違ったニーズ、視点、そして、紛争や災害に対する適応能力があります。たとえば、紛争や災害の直後、安全できれいな水が手に入らないことで、子どもはしばしば下痢に苦しみます。私がかつて働いた紛争後のシエラレオネでは、免疫抵抗力が弱いため、幼い子どもたちの多くが、この簡単に治療できるはずの下痢により命を落としていました。

一方、学校を一刻も早く再開することは、子どもたちにとって一番の心のケアになります。友達と一緒に教室で勉強し、校庭で遊ぶことの重要さは、昨年3月、大型サイクロンに襲われたバヌアツでの緊急支援の際にも実証されました。

「世界人道サミット」と子ども

今、こうした人道危機の真っ只中に置かれている子どもたち。今年5月に開催される世界人道サミットは、各国政府、市民社会、そしてUNICEFをはじめとする国際機関が、世界中で紛争や災害下に暮らす子どもたちの抱える課題に、真摯に向き合い、話し合い、長期的な解決策を探りあう、絶好の機会となりえます。

UNICEFの目標は、声なき子どもの声を聞くこと。そして、どんな子どもたちも置き去りにせず、必要な支援を届けること。公平性に基づくこの基本方針は、2015年3月の仙台で開催された第3回国連防災世界会議で採択された成果文書、および、9月に国連総会で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」とも共通するものです。

日本政府を含む各国政府が採択したSDGsは、何億人もの紛争や災害に苦しむ子どもたち抜きにして達成することはできません。実際、世界で5歳の誕生日を迎える前に命を落とす子どもたちの半分は、脆弱国家と呼ばれる紛争下の国々に暮らしています。さらに、こうした国の多くでは、実に20%以上の子どもたちが慢性栄養不良に苦しんでいるのです。

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シエラレオネの政府病院で2か月のアダマちゃんの栄養状態を測定している様子。

© UNICEF/UNI108685/Asselin

SDGsの達成は、いかに効果的、かつ、効率的な人道支援を行い、こうした子どもたちに確実に支援の手を届けられるかにかかっています。世界人道サミットで話し合われる新しい人道支援のアプローチには、子どものための、子どもとともに取り組む人道支援という視点が反映されなくてはなりません。

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2008年にモザンビーク中央部で発生した洪水に対応するためいち早く被災地に入り、家族と共に避難所に避難してきた男の子に話しかける筆者。

© UNICEF Mozambique

子どもの本当のニーズに合わせた人道支援

では、具体的にどのようなアプローチが必要なのでしょうか。UNICEFは、子どものために働く国際NGOと協力し、世界人道サミットに向けて、子どもたちにどんな夢と、希望と、期待があるのか探るため、フィリピンやアフガニスタン、南スーダンなどで、子どもたちとの対話を行いました。そこで聞かれたのは、子どもたち自身が防災について学びたい、紛争解決の担い手になりたい、さらに、同じ状況下で苦しむ友だちを助けたいという、率直な思いでした。

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自然災害に直面した時に、どのように避難し、安全を確保するかについてポスターを作成する黒海沿岸のジョージアの子どもたち。© UNICEF/UNI117022/Bell

こうした子どもたちの声、そして、本当のニーズに応えるため、UNICEFは世界人道サミットに向けて、次の4つのコミットメントを改革の柱に据えるよう、国際社会に呼びかけています。

まず、人道支援と開発支援のギャップを埋めること。短期的な人道支援と長期的な開発支援に二分された現在の資金調達の仕組みを、より柔軟にすることで、教育や保健、衛生分野などにおける、子どものための息の長い支援計画の実行を可能にします。

そして、意義ある子どもの参加を促進すること。若者が防災や紛争解決、復興の取り組みに貢献できるよう、彼ら彼女らの声に耳を傾けることが重要です。

さらに、人道支援計画策定のプロセスに、脆弱な立場におかれている子どもたちのニーズに応えているかどうかをチェックする仕組みを導入すること。

最後に、子どもを中心に据えた防災、紛争予防、そして、リスクを考慮した開発支援を行うこと。仙台の国連防災世界会議でも強調されたように、これは将来を担う子どもたちに対しての、大人たちの義務でもあります。

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友達とすべり台で遊ぶインドの女の子。いかなる時も、子どもたちが安心して成長できる環境を作っていくことが、私たちに課された義務である。

© UNICEF/UNI139887/Singh

子どもたちは、私たちの未来です。その未来のために必要な投資とは何か。「世界人道サミット」に向けて、日本の皆さま一人ひとりと一緒に考えていきたいと思います。

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