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株式会社FoundingBase代表・佐々木喬志さん「地域のためでなく、人のための教育を」地方創生×教育で間違えてはいけないこととは

2017年06月19日 15時13分 JST | 更新 2017年06月19日 15時13分 JST

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ーー50年後にも残る地域とはどんな地域なのか、そのために何がいま必要とされているのか。

「地方創生」が叫ばれるいま、様々な自治体が人口増加やU/Iターンのために、独自の手を打っています。創業4年目になる(株)FoundingBaseも、6つの自治体と協働し、地域の課題に取り組んでいます。共同代表の佐々木喬志さんに、その思いを聞きました。

実は、佐々木さんと筆者の出会いは、7、8年前に遡ります。高校一年生当時に出会ったときには、人材系の会社を起業中でした。あるイベントでの議論で意気投合し、その後AO入試の受験時にも力になっていただいた人生の先輩。佐々木さんが今、地方を飛び回っている理由とは?

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佐々木喬志さん株式会社FoundingBase 共同代表取締役社長・左。人材系企業の起業を経て、2012年に地域に若者を送り込む「FoundingBaseプログラム」の前身となるプロジェクトをスタート。2014年に法人化し、現在は8名の社員、40名以上のメンバーたちと共に、6つの自治体と協働しながら魅力ある人づくりと地域づくりに取り組む。

地域というフィールドで「未来を発明する若者」を育てる。

ーーファウンディングベースを立ち上げたきっかけを教えてください。

僕はもともと人材系の会社を先輩と立ち上げて、就職、転職のサポートをしていました。企業から口を揃えて「不確実性に対して周囲を巻き込み、成果に繋がる行動ができる、そんな変化を起こすことのできる人材がほしい」と言われた。そんな人材はなかなかいない。ここに現実と人材要件に大きなギャップを感じていました。それに、人口減少社会の中でいわゆる「Aランク」の人をかっぱらうやり方には限界があるし、僕はBとかCランクに分類されている人材が自ら学び、自ら鍛錬する場をつくりたかった。

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そもそも僕は、「転職」という人の大きな決断を後押しする仕事を通じて、誰かが挑戦したいって思ったとき、いつでもチャレンジできる社会をつくりたかったんだよね。

そう考えた時、「地域」にはすごくポテンシャルがあると思った。地域は多面的に構成される小さな社会だからこそ何でもやれるし、人が生きる上で必要なことは全てある。かつ、人との距離が近いからこそ自分の行為がダイレクトに反応してくる。その環境の中で、何でもやっていいよって言われたら、自分が人生で何を体現したいのかを考えるには最高の環境になるんじゃないかと思ったのがきっかけかな。

ーーなるほど!地方の課題解決ではなく、地域というフィールドで人を育てることが先にあったんですね。

まちに魅力があるからこそ、担い手が育つ。

ーーファンディグベースはどんな未来を目指しているんですか?

一言でいうならば「未来を発明する若者たちを育む」ということかな。一人ひとりの未来や地域の未来、様々なレイヤーの未来がある中で、それらを自分らしくつくっていける人を育む生態系をつくりたい。「なぜわたしはここに生きて、これから何をして生きてゆくのか」という問いは、主体性というか、すべての人に必要なことのはずだなと。

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ーー 一貫して「ヒト」なんですね。

気をつけないといけないのは、地域創生の文脈で教育が語られるとき、「どうやって地域の担い手をいかに育てるのか」と地域のための教育と考えること。残りたいと思えないことが問題なのに、なんとか残らせようとするのは大人のエゴというか、強い違和感を感じます。地域にのこってワクワクしながら生きていくイメージがないから、出て行ってしまうじゃないかと。

つまり「残りたくなる魅力的なまちをつくる」こと、若者の未来を受け入れられる土壌をつくることが重要なので、教育だけではなく、地域を構成する多様な分野に渡って産業振興しています。

ここには「地域に残ると豊かな生活はできない」という切実で現実的な問題もあります。そこで島根県津和野町では、農家の出荷販路を構造から変えようとしていて。年収300万円稼ぐことができるようになれば、島根県内の他の地域と比べても若干高くなる。誰かのためだけでなく、自分の生活のために地域で生きるという選択肢を選ぶことができるようになったらいいよね。

移住する若者たち自身こそ、覚悟を決めて挑んでいる。

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ーー地域活性化・地方創生には、取り組めば取り組むほど、生き残る/残れないという差を広げていくジレンマがあると思うのですが、どう捉えていますか?

すごく難しい課題だよね。パイの奪い合いという側面はたしかにあって、どこかの地域が生き残るということは、どこかの地域が沈んでいく可能性をはらんでいる。議論を重ねた上で、僕らが出した答えは、「本気の自治体に本気で向き合う」こと。

だからファンディングベースは、一切営業をしない。本気で変わりたいという自治体と、同じ目線で取り組みたいと思っています。

ーーすごい・・・。

それは移住して取り組む若者たちも、すごい覚悟をもって、人生かけて来てるのに失礼だからね。「よろしく」って丸投げにするのではなく、本気で取り組む覚悟のある行政の方々と仕事をさせてもらっています。そうでないと若者が人生を浪費したり、時に潰してしまうこともあるし、それはまちにとっても無駄な投資になるから。

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ーーその「攻め」の姿勢、時々疲れたりしませんか?

本気で変えたいと思っているからね。性格も、もちろんありそうだけど(笑) だから行政の職員の人たちにも、「この政策で一体何ができるんですか?」としっかりと疑問に思ったことは聞いていく。こちらも人生を賭けている以上、妥協はできない。本気で地域を変えるために、仕事をしています。

非行に走った高校時代。最後に決めるのは自分。

ーー佐々木さん自身、どんな高校時代を過ごしていたんですか?

うん・・・。ぜんぜん大きな声で話せるような話じゃないよね(笑) 小・中学校時代までは成績もよくて、友達に勉強を教えていました。でも高校は、ずっと学年ビリ付近。夕方に野球部の練習が終わったら、スタジオでバンド練習して友達の家に泊まって、翌朝学校へ行って授業中寝てた。いつも同じ友達とつるんで、ここでは言えないことばっかりして、どうやって女の子をナンパしようかばっか考えてたよ。

高校2年生のときに、母親が「離婚するから先に一人で暮らしていて」というので、一軒家に一人暮らしすることになった。部活も辞めて、バンドだけの生活。もうそこからは堕落に、堕落を重ねた生活ですよ。

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ーーそれはキツイですね・・・。

ほんとにそうだね。だから非行に走ったんだと思う。行き場のない怒りがあったんだと思うよね。

でも僕は、友達とか友達の親に救われた。ノリツグってやつが、「お前何やってんの? お前はそんな生き方をする奴じゃない。」って言ってくれて。そこから本気で大学を目指すことにしました。予備校は大変だったね(笑)

ーー今も仲いいんですか?

みんな途中で高校を辞めちゃって、美容師になったり、失踪したり、連絡を取っている友達もいれば、そうじゃない友達もいる。正直もったいないな、と今でも思うよ。手を差し伸べてくれる人がいたら全然違う生き方をしていたというのはあると思う。背中を押してくれる存在は必要だと思う。

ただ同時にそういうポテンシャルは認めても、最後、やるかどうか決めるのは自分だと思うな。

まちは、合理的で強くなりすぎた僕を変えた。

ーー5年間の地域での取り組みの中、変わったなあと思うことはありますか?

合理的な選択をすることが、物事を進めるには必ずしも合理的でないということかな。前職ではKPIを設定して、そこへ向かって高速でPDCAサイクルを回して行動してた。ゲームとしてはすごく面白かったんだけどね。

でも地域の人とつながって一緒に仕事をするためには、地域では合理的なことだけじゃなく定性的な、もっと言ってしまえば感情的な側面こそ、物事を回していく。

最初は失敗して、メンバーが出禁になったりしたんだよね(笑)教育委員会を出禁になって、高校を出禁になって、教育の取り組みをすると決めているやつなのに身動きが取れない。彼は彼なりにめちゃめちゃ頑張って、KPIに置いていた数を超えるまちの人に会いにいって、ヒアリングして、それをデータでまとめて、分厚い資料をつくって、ガツンと教育委員会のトップに提案した。もちろん、何もわかってないヤツが、ふざけんなと。(笑)

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ーーわわわ。

今は、会社としてもKPIをそもそも設定していません。その代わり、徹底的にメンバーが何をしたいのかというところにフォーカスしています。

きっと合理的に選択しつづけていた僕は、強くなりすぎてたのだと思うよね。やさしさがないというか「いやいや頑張れるでしょ」と思っていた。それが人を疲弊させていることに気づけたかな。

ーー今後、ファンディングベースの展開を教えてください。津和野町も、今年で5年目だと思いますが今後どう関わっていくんですか。

津和野に関わりはじめた時には想像できなかったフェーズになってきてるよね。今は、行政も僕らも自立できるコミュニティをつくっていきたいと思っています。いつまでも行政から受託を続けていてはこちらも持続的ではないから、できる範囲で公共サービスの民営化をしていきたい。

ーー民営化しながら、共生していくということですか。すごく覚悟のある動きですね・・・。

どこまでできるか、まだ分からないけどね。町の事業には、お金が回る領域と、まさに教育など回りにくい領域がある。回りにくい領域を一緒に守っていくために、全体的な構造からお金が回り続ける仕組みをつくっていきたいね。

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聴き手・石黒和己(いしぐろわこ):1994年愛知県生まれ、23歳。NPO法人青春基地代表理事。中高はシュタイナー学園で過ごし、慶應義塾大学総合政策学部を卒業、東京大学教育研究科修士過程。NPO法人青春基地では「想定外の未来をつくる」をコンセプトに、高校でのプロジェクト型学習の授業や、10代向けのウェブメディア「青春基地」を通じて、高校生たちの好奇心を触発中。

■ 現在、クラウドファンディングに挑戦中です!

NPO法人青春基地では、今年4月から二つの公立高校でプロジェクト型学習のカリキュラムづくりと運営をさせていただけることになりました。

本プロジェクトのために、現在クラウドファンディングに挑戦中です。一人一人が自分自身の可能性を信じ、自由に好奇心を発揮できる機会を広げるために、どうぞ応援をよろしくお願いいたします!

高校の授業でメディアづくり!アクションの楽しさを生徒に伝える!

>> https://readyfor.jp/projects/seishun-kichi/

※締め切り:6月19日(月)午後11:00まで!