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東アジア地域途上国の経済成長は2015年も堅調

2015年04月14日 15時06分 JST

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原油安が財政改革の機会に

東アジア・大洋州地域の経済成長は、原油安と先進国で続く景気回復の恩恵を受けはするものの、今年はわずかに減速するだろう、と4月13日に発表された世界銀行の「東アジア・大洋州地域 半期経済報告」は指摘する。

東アジア途上国の経済成長率は、2015年と2016年には、2014年の6.9%をやや下回る6.7%になると見込まれる。中国の成長率は、2014年の7.4%から、今後2年間に約7%まで減速すると予測される。中国を除いた東アジア途上国の今年の成長率は、好調な消費者心理と原油安を背景に東南アジアの大国の堅調な内需が続くこともあり、0.5%ポイント上昇して5.1%となるであろう。ただし、モンゴルなど一次産品の輸出を中心とするいくつかの小規模国の成長率は、より小幅な伸びとなるであろう。

「成長がやや減速するとは言え、東アジアは、なお世界全体の成長の3分の1を占めている。これは、他の途上地域全体の成長の2倍に相当する。原油安は域内の多くの国に、又とない機会をもたらすだろう。内需を拡大するばかりでなく、政策担当者にとっては、歳入を増やし、公的支出をインフラ整備など生産的な使途へと転換させる財政改革を推進することが出来る。こうした改革は、東アジアの競争力を高め、同地域が世界全体の経済成長の原動力であり続けるのに役立つだろう。」と、世界銀行のアクセル・ヴァン・トロッツェンバーグ副総裁(東アジア・大洋州地域総局)は述べた。

世界的な原油安は今後も続くと見られ、カンボジア、ラオス、フィリピン、タイ、太平洋島嶼国を中心に、東アジア地域の多くの途上国が恩恵を享受するだろう。他方、マレーシアやパプアニューギニアなどの燃料純輸出国は、成長が鈍り、歳入も減少するだろう。インドネシアの経済成長へのはっきりとした影響は、同国の石炭と天然ガスの輸出量の下落度合いによるとみられる。

世界経済が直面する種々の逆風要因は、世界経済と強く結び付いた東アジア各国にとって引き続きリスクとなる。例えば、高所得国の回復には遅れとばらつきが見られる。また、ユーロ圏と日本で景気が後退すれば、世界貿易が弱体化するだろう。米国が利上げに踏み切りドル高になれば、先進国の金融政策の方向性はバラバラになり、借入コストの急上昇、ボラティリティの拡大、東アジアへの資本フロー減少を引き起こしかねない。さらに、米ドルが対主要通貨で上昇を続ければ、カンボジアや東ティモールなど経済のドル化が著しい国に打撃を与えかねない。

「金融危機後、世界経済の回復が一様には進まなかった中でも成長を続けてきた東アジア・大洋州地域だが、同地域には、短期的にも長期的にも、数多くのリスクが解消されずに残っている。こうしたリスクへの対処で鍵を握るのは財政政策だ。原油安を受け、石油輸入国と輸出国はいずれも、エネルギー価格を見直し、より持続可能で衡平な財政政策を導入する事が望ましいだろう。」と、世界銀行のスディール・シェッティ東アジア・大洋州地域総局チーフ・エコノミストは述べている。

東アジア地域では、急速に進む高齢化により、保険などの社会保障制度が既に影響を受け始めているが、域内の大国の大半は、歳入拡大と歳出再編を図ることで、より多くの資金を社会保障に向けられると共に、インフラ投資の不足分を埋める事が出来る、と同報告は指摘する。主要な燃料輸出国とモンゴルには、財政再建が求められる。

特に原油安は、各国政府にとって、燃料補助金を削減し、エネルギー税を引き上げる好機となる、と同報告は指摘する。域内の大半の国々で、燃料補助金と関連する税支出が、公共財政を圧迫し、経常収支を悪化させてきた。インドネシアやマレーシアなど一部の国は、最近になって燃料補助金削減に踏み出したが、原油価格が再び上昇を始めても、この動きを持続・拡大していく必要があると、同チーフ・エコノミストは述べた。

中国は、投資主導型から消費主導型の成長モデルへシフトするに当たり、最大の課題は長期的に持続可能な成長を確保する改革の実施である。成長を促進する政策を実施し、再編の取組みを支えていかなければならない、と同報告は指摘する。

報告書は、域内各国は、中期的には、物的インフラを拡大・刷新すると共に、国民が高等教育や保健医療を利用しやすくする必要があり、長期的には、継続的な生産性拡大、医療コストの抑制、社会保障のための資金基盤拡大に向けた方策を見出していく必要がある、と指摘している。

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