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2015年の世界経済は改善の見込み、しかし様々な要因が下振れリスクに

2015年01月14日 23時22分 JST | 更新 2015年01月14日 23時22分 JST

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2015年は、原油安、米国経済の回復、継続する世界的な低金利、一部の新興大国における国内不安要因の緩和などにより、途上国の成長率は上昇するだろう、と世界銀行は本日発表した主要報告書「世界経済見通し(GEP)」で指摘しました。

半年に一度発表される同報告書は、2014年に推定2.6%の成長を記録した世界経済が、今年は3%、2016年は3.3%、2017年は3.2%と推移するだろうと予測しています[1]。2014年に4.4%であった途上国の成長率は、2015年に4.8%とわずかながら上昇し、2016年には5.3%、2017年には5.4%と堅調に伸びる見込みとしています。

今後の見通しとしては、依然として下振れリスクを懸念させる4つの要因、(1)世界貿易が引き続き脆弱、(2)主要国が異なるタイミングで金利を引き上げることで金融市場のボラティリティが高まる可能性、(3)原油安が産油国の財政をどこまで圧迫するか、(4)ユーロ圏と日本における景気低迷やデフレの長期化の危険性、が挙げられています。

高所得国全体の成長率は、(2014年の1.8%から)2015年は2.2%、2016~17年は約2.3%と緩やかに伸びる見通しです。米国の成長率は、(昨年の2.4%から)今年は3.2%に加速後、2016年と2017年はそれぞれ3.0%と2.4%に落ち着くと予想されます。ユーロ圏では、過度な低インフレが長期化する恐れがあります。ユーロ圏の成長率は、2015年に1.1%にとどまり(2014年は0.8%)、その後2016~17年に1.6%に上昇する見込みです。日本の成長率は、2015年に1.2%(2014年は0.2%)、2016年は1.6%となると予測されています。

貿易フローは2015年も脆弱なままとみられます。世界貿易は、世界金融危機以降、大幅に鈍化し、2013年、2014年ともに年間平均成長率が危機以前の7%を大きく下回る4%未満にとどまりました。

一次産品価格は2015年も引き続き低迷するとみられます。同報告書が指摘するように、2014年下期に生じた原油価格の極端な急落は、石油を輸入する途上国でインフレ圧力を大幅に軽減し、経常・財政収支の改善に役立つ可能性があります。

原油安の恩恵を享受する大型中所得国としては、インドが挙げられます。インドの成長率は、(2014年の5.6%から)今年は6.4%に加速し、2016~17年には7%に上昇する見込みです。ブラジル、インドネシア、南アフリカ、トルコでは、原油安が、インフレ抑止と、これらの国で脆弱性の元凶となってきた経常赤字の削減に役立つでしょう。

一方、原油安が続いた場合、石油輸出国の経済活動を鈍化させるでしょう。例えば、ロシア経済は、2015年に2.9%のマイナス成長が予測されており、2016年に0.1%とかろうじてプラス成長に転ずる見通しです。

中所得国とは対照的に、低所得国では2014年、公共投資増大、サービス・セクターの大幅拡大、高水準の収穫量、多額の資本流入を背景に経済活動が堅調でした。低所得国では、原油価格をはじめとする一次産品価格の低迷が低所得国の輸出の際に足かせとなるものの、2015~17年も6%と依然として堅調な成長を維持すると期待されています。

■各地の概要

東アジア・大洋州地域:  2014年の域内成長率は、一部の高所得国の回復に伴う輸出拡大が緊縮政策と政治的緊張によって相殺されたため、6.9%に下落しました。中期的な成長見通しは、2015年に6.7%へとさらに減速しますが、その後2016~17年は、中国の穏やかな減速が域内の他の国の加速によって相殺されることから、堅調な推移になるとみられます。

ヨーロッパ・中央アジア地域: ユーロ圏の回復低迷とロシアの景気停滞が逆風となり、域内途上国の2014年の成長率は予想を下回る2.4%に減速しました。地域全体の成長率は、2015年に3%、2016年に3.6%、2017年に4%に回復する見込みですが、国によってかなりのばらつきが見られるでしょう。

ラテンアメリカ・カリブ海地域:  2014年の成長率は0.8%まで大きく低下しましたが、国によって展開にはばらつきがあります。2015~17年の域内GDP成長率は、高所得国の継続的回復と堅調な資本フローを背景に輸出が拡大したことから、平均約2.6%に上昇するとみられています。

中東・北アフリカ地域: 石油輸入国の2014年の成長率は概ね横ばいであったのに対し、石油輸出国は2013年に縮小後、わずかに回復しました。財政不均衡および対外収支の不均衡が依然として顕著に見られます。成長率は2017年に3.5%へと緩やかに上昇すると予想されています(2014年は1.2%)。

南アジア地域: 域内成長率は、2013年に4.9%という10年ぶりの低水準を記録しましたが、2014年は5.5%まで好転したと見られます。域内成長率は、2017年に6.8%まで押し上げられると予測されます。

サブサハラ・アフリカ地域: 2014年の域内成長率は、南アフリカなど域内のいくつかの経済大国における景気減速を反映して、4.5%とわずかな上昇にとどまりました。2015年は、主に一次産品価格下落により、(先の予想を下回る)4.6%で推移すると予測されますが、インフラ投資、農業生産拡大、活況なサービス業界をバネに、徐々に上昇して2017年には5.1%となるとみられます。

[1] 2010年の購買力平価を基準にすると、世界成長率は2015年に3.6%、2016年と2017年は4.0%と予測。

より詳しい分析はこちらからご覧いただけます。