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もし明日あなたがセックスワーカーになったら? 労働環境、相談所など、知っておきたいいくつかのこと

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12月6日、「改正生活保護法」と「生活困窮者自立支援法」という法案が可決した。大雑把にまとめれば、今までとくらべて生活保護を申請し保護を受けることのハードルは高くなり(改正生活保護法)、「生活保護を受ける前に頑張って働け」と言われるようになる(生活困窮者自立支援法)。

特に女性は6割近くが非正規雇用であり、非正規雇用全体の7割を占めている。シングルファザーの5倍いるとされているシングルマザーの収入は、シングルファザーの約半分しかない。世帯全体の収入で見ても、シングルファザーの年間平均収入が455万円なのに対し、シングルマザーは291万円となっている。

生活保護の運用が更に厳しくなり、雇用がどんどん不安定になっている現代において、もしあなたがどうしてもお金を稼がなくてはいけなくなったとしたら...? そんなとき、現実的な選択肢になるかもしれない「セックスワーク」について知っておくことは大切なことだ。

■「セックスワーク」とは?

セックスワークとは、直訳すると「性労働」、つまり性的な行為やサービスを売る産業で働くことだ。これには、いわゆる「風俗」、アダルトビデオなどへの出演、ストリップなどのパフォーマンス、性的交流を目的としたチャットや動画配信なども含まれる。風俗にも、いわゆる「本番」(性器挿入)を含むかどうか、店舗型か出張型かなどのサービス内容の違いに加え、SMプレイやコスプレなど嗜好に合わせた様々な種類があり、更にニューハーフによるサービスに特化したものや、男性客を男性が接客するものもある。

■労働者としての権利が認められない「セックスワーク」

実は「セックスワーク」という言葉が生まれた背景には、セックスワークをしている人(セックスワーカー)たちによる社会運動の歴史がある。そもそもセックスワークは、「ワーク(労働)」として世間に認められているとはいえない状況だ。行政や警察を含む反対派の人たちは、セックスワークを人身売買や性的搾取などの犯罪の現場であると考えている。そういった他者からの目線に対して、私たちがやっているのは「労働」である!という主張を反映した言葉として「セックスワーク」「セックスワーカー」という言葉が使われるようになったのだ。

労働として認められていないということは、セックスワーカーが労働者としての権利を奪われていることも意味する。ワーカーは多くの場合「自営業」扱いのため、週に何十時間働こうが、月に何十日働こうが、何年継続して働こうが、雇用保険にも厚生年金にも健康保険にも入ることができない。履歴書に書くこともできないので、将来の転職にも不安がある。また、世に言われているような高収入なケースはほとんど無いのが実情だ。

セックスワークの現場では料金に相当するサービス以上の行為を求められることがある。暴力的な客もいて、身の危険を感じることもある。労働者ではないため、労災(労働災害)も適用されない。偏見の目を避けるため、警察や病院に行くことを躊躇するワーカーも多い。

■安全に安心して働けるセックスワークのために

先日12月17日は「セックスワーカーへの暴力反対!国際デー」だった。ワシントン州シアトルで1982年から1998年のあいだにセックスワーカーを含む70名以上の女性が殺害されたことを受け、追悼の意味を込めて2003年に始まった。

セックスワーカーの社会運動は、セックスワーカーが安全に、安心して働けるようになること、労働者として当然の権利を得ること、問題があれば労働組合などを通して改善を要求できるようになることなどを社会に訴えてきた。

■日本の「セックスワーカー」はどこに相談するべき?

実は日本にも、セックスワーカーによるセックスワーカーのための運動は存在する。1995年にはSWEETLY (スィートリー) という団体が、99年には SWASH (スウォッシュ)という団体が発足している。どちらも関西地方を活動の拠点としており、毎月ワーカー同士の交流の場を設けたり、当事者の電話相談を行ったり、セックスワーカーや支援者向けの冊子をネットで公開したりしている。また、 『風俗嬢のためのSTD(性感染症)とからだの情報サイト - Girls Health Lab (ガールズ・ヘルス・ラボ)』というウェブサイトも発足した。

セックスワークなんて考えたこともないという読者もたくさんいるだろう。しかし、セックスワーカーもまた「働いて生計を立てている」人であることは多くの読者と同じだ。もしかしたら身近にいる知人もそうかもしれない。彼女たちの働く実状や支援について知ることは、セックスワーカーになるかもしれない私たち、そして既にセックスワークをしている人たちが皆、より安全・安心に仕事をしていくための第一歩となるだろう。

(文=マサキチトセ)

画像引用元:http://www.december17.org/

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(この記事は、12月22日のウートピ「もし明日あなたがセックスワーカーになったら? 労働環境、相談所など、知っておきたいいくつかのこと」から転載しました)