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「生きるってことは肩書きじゃない」 日本のレズビアンシーンのリーダーが語る、女性が女性を好きで当たり前の世界

2014年07月29日 21時54分 JST | 更新 2014年09月27日 18時12分 JST
ウートピ

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日本初の女性限定クラブイベント。そして、新宿二丁目で愛され続ける開放的なバー。同じく「GOLD FINGER」と名付けられたこの2つを世に送り、日本のレズビアンシーンを25年間リードしてきたCHIGA(チガ)さんにお話を伺いました。BBCほか世界中のメディアから取材が相次ぐGOLD FINGERですが、その成功に至るまでの物語とは?

■「ボヤっとノンケ」になりやすい社会

――CHIGAさんは1991年に、日本初のWOMEN ONLY≪女性限定≫クラブイベントを創始した方ですが、どういう想いでイベントを始められたのですか?

CHIGAさん(以下CHIGA):女が女とキスしても、当たり前だって場を創りたかったの。特に「レズビアン向けのものをつくろう」と思ったわけじゃなくて。

「ボヤっとノンケ」になりやすい社会なんだよね。つまり、ボヤっとしてるとなんとなく自分はノンケ(異性を恋愛対象とする者)かなって気になっちゃう。

でも、もっと自分の感覚を大事にしてほしい。たとえば「男と女が当たり前~、結婚するのが当たり前~」みたいなことに「だよね~」って流されてるより、「違うんじゃない?」って感覚がもしあればさ、それを大事にしてほしいんだよ。少なくともそれって、流されずに考えてるってことだから。

......って、別に「みんなレズビアンになんなさい!」っていうんじゃないんだけど(笑)。チョイスがあったほうが健全、って話ね。

――なるほど。具体的に、そうお考えになるきっかけになった経験はありましたか?

CHIGA:なんだろうなぁ。もともと、女が女を好きであっても自然だって考えてるんだよね。小3くらいで、初恋の話とか始まるでしょ? 私はもうそのころ、ノートに趣味で「好きな女の子ランキング」とかつけてたからね(笑)。

――(笑)。周りの大人はどう反応していたんでしょう?

■人を好きになることは、悪いことじゃない

CHIGA:色々あったけど、なかでも忘れられない一言があってさ。高2の時、別の学校の女子と交換日記してたことがあったの。それが親にバレて、その子とふたりで家出したんだ。バイトして、店の余りもんで食いつないで。そんな中でも学校は好きだから、行ってた。

そしたら、ある日先生に、「家帰ってないよね?」って言われちゃってさ。やっべー、と思って。続いて先生は、今でも忘れないんだけどね、こう言ったの。

「人を好きになることは、悪いことじゃない。でも、家に帰らないことは悪いことなんじゃない?」

その一言で、帰る決心をしたよね。

――それはそれは。周りの理解にも恵まれていたんですね。

CHIGA:いや、まあ、そういうことばっかりでもないけどね。

■レズビアンバーのない30年前、オナベバーで「夢砕かれた」

CHIGA:同じく高校生の時、雑誌でオナベバーの情報を見つけたのね。当時ネットなんかないから、書いてある電話番号に公衆電話からかけて、オナベバーのホストに迎えに来てもらったの。

まあ、高校生だからさ、「何飲む?」「コーラで」なんて言って(笑)。あとなんか一品頼めっていうから、揚げワンタンかなんか頼んだのかな。で、色々話とかして。私的にはあんまりヒットしなかったんだけど、まあ「こういう場所もあるんだなー」って思いながらね。

で、帰るときに、お会計がさ......なんと、1万2,000いくらだったの! コーラと揚げワンタンで1万2,000円(笑)。当時、高校生だよ!?

もう半ベソ状態で、バイトしたお金かき集めるんだけど、1000円くらい足りなくてさ。「すいません、この小銭がないと電車に乗れないんで、これだけは許してください」っつって、電車代だけ握りしめて、逃げるように帰ったよね。

これ、今から30年以上前の話ね。当時はレズビアンバーもなくて、オナベバーで。まあ最初に値段を確認しなかったのが悪かったんだけど、なんていうか、「夢砕かれた」って感じだったなぁ。そういう経験があって、今、(新宿)二丁目で明朗会計の店をやってるってことにもつながってるかな。

■「レズビアン」ではなく「ウィメン・オンリー(WOMEN ONLY)」

――そんなCHIGAさんの仕掛けるイベントやバーは、「レズビアン向け」ではなく「ウィメン・オンリー(WOMEN ONLY)」ということですが......。

CHIGA:そうね。レズビアンだからどうこう、ノンケだからどうこうとかっていうよりさ、もっとシンプルな話なんだよ。私のプロデュースする一夜を、「この感じ、好き!」って楽しんでくれる人が集まる。それだけ。(女性客限定でない日もあります。詳しくは公式サイトへ

あとは、「レズビアン」っていう言葉が、もうAVとかの一ジャンルとして確立してて、ある種のイメージがついてるから使わないっていうのもあるね。まぁそれはそれで、そういうのが好きな人でどうぞ、って感じ(笑)。

昔は事務所にハァハァ電話がかかってきたこともあったよ。「ねぇ君~、レズビアンなのぉ?」とか言って。もう、面白くって(笑)。確かに電話だと私は、そういうレズビアン好きの男が期待する女の声だろうけどさ、実物はこんなナリ(短髪にマニッシュなファッション)だからね(笑)。

――そういう輩に理解を求めるというか、レズビアンの権利擁護をするんだというようなお気持ちはおありですか。

CHIGA:いや。ただ単純に、セクシャリティー(個人の性のあり方)を理由に石を投げてくる奴がいるなら投げ返すけど。5倍にしてね(笑)。

■生きるってことは、肩書きじゃない

――女性限定イベントに興味はあるけれど行きかねている読者へ、メッセージをお願いします。

CHIGA:あのね、生きるってことは、肩書きじゃないんですよ。「自分がレズビアンかどうか」ってことより、「自分が何を感じ、何を求めてるか」。それを大事にしてほしい。

私がイベントやってきた約25年間でも、日本のレズビアンシーンは劇的に変わったの。ポジティブな意味で。レズビアンだということで悩む人達も、昔よりもっとポジティブな態度だと感じる。まあ、自分がそう思うのは、イベントやお店に出られるようなレズビアン(つまり、ある程度自分の中で整理がついている人)とだけ接しているからかもしれないけど。

とにかく、「LGBT」(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとった言葉。もともとアメリカでの当事者らによる権利運動のために生まれた表現だということもあり、肯定的なニュアンスがある)って言葉もできたし、この先東京のオリンピックでも、カミングアウトしてる選手が活躍するでしょ。もう、わくわくして寝てらんないくらい。未来に起こる変化もこの目で見たいから、いやー、長生きしたいね(笑)。

80年代ロンドンにいた時さ、さらっと、「君はボーイフレンドかガールフレンドいるの?」って聞かれたことがあるんだ。その辺のおっさんに、だよ。本当はそれくらい、当たり前のことなはずだよね。女性が女性を好きでもさ。

(牧村朝子)

●CHIGA(チガ)

女性限定クラブイベント「GOLD FINGER」トータルプロデューサー。新宿二丁目でバー「GOLD FINGER」を経営。1986年にロンドン遊学、当時のゲイ・カルチャーやクラブシーンを体感。帰国後の1991年に、日本初の女性による女性限定イベントをスタートした。

■WEBサイトはコチラ GOLD FINGER

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(この記事は、7月1日のウートピ「「生きるってことは肩書きじゃない」 日本のレズビアンシーンのリーダーが語る、女性が女性を好きで当たり前の世界」から転載しました)

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