「判定は考えていない。豪快なKOでアピールする」9月9日 アメリカ進出初戦に臨む井上尚弥

「自信はあります」

WBO世界S・フライ級王者、井上尚弥(24=大橋)が9月9日(日本時間10日)、アメリカのカリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターで同級7位のアントニオ・ニエベス(30=アメリカ)を相手に6度目の防衛戦に臨む。

井上にとってはアメリカで初の試合というだけでなく、世界に向けて存在感を示す重要なリングでもある。井上自身も「今度の試合が今後のボクシング人生の分かれ道になる」と自覚している。

その大事な一戦に向け最終調整に余念のない24歳の若武者にWOWOWが独占取材を行い、近況やニエベス戦のこと、その先の計画などを聞いた。

(C)NAOKI FUKUDA / WOWOW

■アマ、プロ通じて初の屋外試合

――今回の試合はいつもと違うと感じていますか。

「特別な気持ちはあります。アメリカのリングは雰囲気も違いますから。モチベーションは高いですね。でも、気持ちとしては昂るものがあるけれど、いつもどおりにやらないとオーバーワークになったり故障の原因になったりするので。ここまでは順調です。」

――昨年9月、アメリカでローマン・ゴンサレス(30=ニカラグア/帝拳)対カルロス・クアドラス(28=メキシコ)の試合を観戦していますね。

「身震いするような感覚でした。あの試合を見たことで、(アメリカでの試合の)イメージができたし、いまはワクワクしています。

アメリカは良い試合をした選手を称え、アンチの感覚がないんだと思います。でも、期待されていた選手が期待に沿わないとブーイングが起こりますからね。」

――スタブハブ・センターは屋外にリングが設置されます。

「アマチュア、プロを通じて屋外での試合は初めてですが、リングに上がってしまえば気にならないと思います。」

■「判定決着は絶対にない」

――挑戦者のニエベスの映像はチェックしましたか。

「見ました。左ジャブとワンツーを主体としたボクシングをする選手で、アマチュア上がりらしく基礎がしっかりしているという印象です。リーチ(174センチ)があるので、気にするとしたらその点ですね。自分もジャブを突いて試合を組み立てていくスタイルなので、距離の面で不利にならないようにしたいですね。角度を変えて攻めることをイメージしています。」

――スピードに関してはどうでしょうか。

「前半はスピードがあるけれど、後半になると落ちるという弱点は見えています。」

――そんな相手をどう攻めますか。

「いつもどおり自分の感覚ですね。いま想定しているのは、いつもどおりにジャブ、ワンツーをしっかり当てることです。自分のポジションが大事だと思います。リングに上がって向き合ってみないと分からないところがあるので、そこで考えようかなと。」

――気をつける点は?

「やっぱり右ストレートでしょうか。けっこう踏み込んでくるし、力強さもあるので。もちろん(パンチを)もらうつもりはないけれど、警戒するとしたらそこですね。」

――ニエベスはダウンした経験がないと伝えられます。

「(打たれ強さについて)そこまでは見えてこないけれど、アメリカでやるかぎり判定ではダメでしょう。その気持ちはあります。もちろん日本でもそのつもりで戦っていますが。」

――期待されていることは分かっていますね。

「今回の試合はその点にかぎるし、このアメリカでの試合がこれからの自分のボクシング人生の分かれ道だと自覚しています。」

――理想の勝ち方は?

「何ラウンドでもいいので倒したいですね。判定は絶対にない。お客さんが湧く試合をしたい。」

――チャンスがあれば1ラウンドKOも?

「しっかり距離を把握してから行くことになるし、自分は1ラウンドで倒すタイプではないので......。1ラウンドでは(手の内を)隠す選手がいるので、2ラウンド目にどう出てくるか。そこで変わらなければ自分の距離だと思います。」

――戦ううえで重要視しているところは、どんな点でしょうか。

「一番は、いかに自分の距離を把握できるか。自分の距離をつかめれば、それだけ早くパンチが当たりますから。当たり出したら自分のペースだなと。いかにスピードやパンチがあっても距離が悪いと当たりませんから。」

――そのあたりが進歩しているということでしょうか。

「そうですね。試合が始まって1ラウンドの数十秒でジャブを当てる距離をつくれるようになったので。」

■S・フライ級のライバルたちも競演

――同じ日、S・フライ級のシーサケット・ソールンビサイ(30=タイ)対ゴンサレスのWBCタイトルマッチもあります。この試合に関してはどう予想しますか。

「自分的には前回(3月の初戦はシーサケットが僅差の判定勝ち)もゴンサレスの負けはないなと思いました。今回はゴンサレスが頭をつかって戦うんじゃないですかね。ゴンサレス有利だと思います。」

――近い将来、ゴンサレスと戦う可能性もありますか。

「もちろん、やりたいのはやりたいけれど、ただ、自分がS・フライ級の体を維持するには限界があるので。でも、この時期にやれる、という保証があれば待ちます。」

――クアドラス対ファン・フランシスコ・エストラーダ(27=メキシコ)のWBC挑戦者決定戦もあります。

「トップ同士の良い試合になると思います。自分が防衛戦で戦った選手(ダビド・カルモナ=メキシコ)とクアドラスが3月に戦ったあとでのエストラーダ戦なので、(間接的に)自分がどの位置にいるのか計れる試合だと思います。」

――同じイベントでS・フライ級の3試合が行われるので、意識するところがあるのでは?

「誰が強いのか、そういうところが見えてくると思います。自信はあります。それだけの練習もしていますから。」

――今回の試合をきっかけにアメリカで戦う機会が増えそうですね。

「今回、うまくいってオファーがあれば、年間3試合のうち1回ぐらいはアメリカで戦いたいですね。」

――ニエベス戦に向けた意気込みを聞かせてください。

「いままで以上にモチベーションは高いし、勝ち方にもこだわっています。自分のボクシングを見せて、豪快なKOでアメリカのファンにアピールしたいですね。」

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