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本審査スタート!被災地の海から日本初の「ASC認証」誕生へ

2015年10月29日 22時23分 JST | 更新 2016年10月28日 18時12分 JST

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2011年3月の東日本大震災で被災した、宮城県志津川町の海で、日本では初の例となる「ASC認証」の取得に向けた審査が行なわれます。ASC認証は、環境と社会に配慮した「責任ある養殖業」を認証する国際的な認証で、水産業と両立した海の環境保全につながる取り組みとして、世界各地で急速に拡大しています。今回、この認証を受けるのは、宮城県漁業協同組合志津川支所の戸倉事務所が行なっているカキ養殖。2015年11月12日と13日の両日、認証の本審査が行なわれ、早ければ2016年の初めに認証の取得が実現する見込みです。

「ただの復興ではない」志津川の新たな挑戦


以前からワカメ、カキ、ホタテなどの養殖が盛んだった、宮城県志津川湾。

しかし、その養殖施設は、2011年の東日本大震災で全損し、地域の産業は大きな打撃を受けました。

志津川の漁業をどうするのか。復興に向けたその道を探る中、宮城県漁協志津川支所戸倉出張所の皆さんは、新しい未来に向けた一歩を踏み出す決断を下しました。

名産品だったカキの養殖イカダの数を1/3に削減。生産数を減らす一方で「質の改善」を目指したのです。

これまでの過密な養殖のあり方を見直し、環境への負荷を減らした、新しい水産業の復興。

それは震災以来、WWFも支援してきたこの志津川の挑戦は、ただ「状況を震災前に戻す」ものではありませんでした。

海の環境を守りながら持続可能な形で養殖業を行なってゆく、その先駆となる取り組みの誕生を目指したものだったのです。

「暮らしと自然の復興」に向けた一歩


その実現に向けた一歩として、宮城県漁協志津川支所戸倉出張所では、まだ国内に例のないASC(養殖管理協議会)による国際認証の取得に乗り出しました。

ASC認証は、自然環境や地域社会に配慮した厳格な基準を設け、養殖場の管理や運営を認証することで、持続可能な養殖業を推進する、国際的な認証制度です。

近年、世界各地では養殖による水産業が急激に拡大していますが、これらは同時に、周辺の環境破壊や汚染、人権や労働問題を引き起こす原因にもなってきました。

そこで、適切な養殖業を認証し、そこから生産された水産物にエコラベルを付けて流通させるため、WWFなどが中心となり、ASCを設立。

その認証を通じて、生産現場から食卓までのトレーサビリティを確保するとともに、消費者が自ら、そうした水産物を選ぶことができる、社会的な仕組みを提供したのです。

責任ある養殖業を実践し、自然環境の保全と地域の人々の暮らしを両立させ、それを世界が認める。

ASCの認証の取得は、その確かな証であり、日本の養殖業がいまだ挑んだことのない、新しい挑戦でした。

「被災地の海から始まる新しい水産の未来」


志津川湾のカキ養殖がASC認証の本審査が行なわれるのは、2015年11月12日と13日。

早ければ2016年の1月以降に、認証が実現する見込みです。

今回認証が取得されれば、国内初のASC認証養殖業が、被災地の海から誕生することになるでしょう。

そして、その認証の実現は、この志津川湾で始まった試みが、一つの震災復興にとどまらない、世界の養殖業が抱える問題の解決をみちびく「持続可能な漁業」の優れた取り組みであることを、確かに示すものとなります。

本審査の開始にあたり、WWFジャパン自然保護室水産担当の前川聡は、次のように述べています。

「世界的にみると、水産物に対する需要の拡大に伴い、養殖業は今後も成長を続けていくと予想されています。

国内でも商品への差別化やオリンピッ ク対応などを通じて、ASC認証に対する需要はますます増大していくと思われます。

国内初のこの取り組みに当たっては、生産者側の準備態勢だけではなく、流通体制の整備から社会全体の持続可能な水産物に対するニーズを高めるなど、さまざまな課題がありました。

戸倉のチャレンジをきっかけに、 ASC認証の意義や必要性が日本でも広まることを期待しています」。

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