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個体数の増加を確認!ブータンで進むトラの保護活動

2015年08月22日 14時38分 JST | 更新 2016年08月20日 18時12分 JST

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2015年7月29日、ブータン政府は自国内に生息する野生のトラの調査結果を発表しました。推定されたその頭数は103頭。過去の暫定的な調査結果で推定されていた75頭を上回る数字となりました。これは、推定個体数が世界全体で3,200頭といわれる野生のトラの保護活動においては、大きな朗報です。しかし一方で、東南アジア各国では、トラやそのすみかとなる森の減少が進んでおり、十分な調査も行なわれていないなど、現場には多くの課題が残されています。

ブータンからの朗報

「世界の屋根」と呼ばれるヒマラヤ山脈の東部、その南麓に広がる小国ブータンは、国土の3割近くを自然保護区に指定している、世界的にも珍しい環境保全の先進国です。

その自然は、標高7,000メートル以上のヒマラヤの稜線から、標高150メートルの亜熱帯の森まで、きわめて多様な景観に恵まれ、多くの野生生物のすみかとなっています。

主に南部の亜熱帯林を中心としたブータン国内に生息するトラも、その自然の豊かさを象徴する野生動物の一種。

これまでにも、保護区の設立やその管理、パトロールといった取り組みを通じ、保護活動が行なわれてきました。

そして、2015年7月29日に、ブータンでトラの総合調査の結果が発表され、国内の推定個体数が103頭を数えたこと、さらに過去の調査による暫定的な推定値(75頭)を上回る数字になったことが明らかにされました。

この調査は、複雑な地形と、困難な気象要件の景観を擁したブータンでは、初めてとなる総合的な大規模調査でした。

同国での保護活動に長年携わり、その現場を支援してきたWWFブータンのデチェン・ドルジ事務局長は、この調査と、トラを増加に導いたここまでの保護活動の成功を、「ブータン王国政府によるリーダーシップとチームワークの成果」として、賛辞を贈り、その取り組みに携わった人びとを讃えました。

今も続く危機

野生のトラについては、2013年から2015年にかけて、ネパール、そして最大の生息国であるインドと、極東ロシアにおいて、それぞれ大規模な国内調査が行なわれ、推定個体数の増加が報告されてきました。

今回のブータンからの発表は、それに次ぐ、保護活動の成果と、トラの未来への希望を示すものです。

しかし、東南アジア全体を見渡した時、トラは依然、深刻な絶滅の危機にさらされています。

伝統薬の原料とされる骨を狙った密猟は今も後を絶たず、生息環境である森林などの破壊も続いています。

マレーシアでは、2010年に500頭と推定されていたトラの個体数が、現在は250頭まで半減していると推定されているほか、カンボジアやベトナム、ラオスでは、繁殖している個体群がいない可能性も指摘されています。

さらに、森林破壊が深刻なスマトラ島を擁したインドネシアや、タイ、ミャンマーといった国々では、今の所総合的な調査自体が行なわれておらず、最新の個体数の推定もなされていません。

その背景には、それぞれの国の社会的、経済的事情など、さまざまな要因がありますが、このままでは、トラの生息状況が把握されないまま、危機的な事態が進行してしまうことが懸念されます。

2022年の寅年に向けて

WWFは現在、こうしたトラの生息国に対し、その保護と、生息環境の保全を強く呼びかけています。

その活動の目標は、2010年の寅年から、次の寅年の2022年までに、世界の野生のトラの個体数を倍にすることです。

2010年に推定された、トラの個体数は約3,200頭。この数字を増やすためには、トラの現状を調査しつつ、有効な保全・保護のための手立てを講じていく必要があります。

日本が紙や木材、パーム油などの輸入を通じて、深く関係しているインドネシアのスマトラ島も、そうした活動の現場の一つ。

これらの製品や原料を調達するにあたり、島の熱帯林を破壊的な形で伐採し、そこに植林などを行なって、その生産が行なわれるケースが多く認められています。

WWFジャパンでは、環境に配慮した木材や紙、たとえば、FSC®(森林管理協議会)やRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の国際的な認証を受けた製品を、日本でも普及させることを通じて、現地の森や、そこに生きる野生動物を守る取り組みを行なっています。

トラは、アジアの生態系の頂点に立つ野生動物の1種です。

これを守ることは、アジアに残る自然の豊かさを、未来に引きつぐものに他なりません。

今回のブータンの例にも見られるとおり、保護活動は一部、その成果が認められるようになってきましたが、トラが絶滅の危機を脱するまでには、まだ多くの時間と努力が必要とされます。

WWFは引き続き、国際的なネットワークを活かした、活動を継続してゆきます。

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