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厳しい漁業規制が求められる太平洋クロマグロ IATTC会合始まる

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東部太平洋のマグロ資源の管理について話し合う国際会合IATTC(全米熱帯マグロ類委員会)の第90回年次会合が、2016年6月27日、アメリカのカリフォルニア州ラホヤで始まります。この会合では特に、すでに96%の資源量が失われた太平洋クロマグロ(本まぐろ)の長期的な資源回復計画をめぐり、各国がどのような合意を交わすのかが注目されます。

2015年の会合で果たせなかった回復計画の合意は実現するのか。危機にある太平洋クロマグロの未来が、ラホヤでの会合の結末に委ねられています。WWFはこの会合に各国からスタッフを送り、マグロ類の保全と回復につながる提言を行なう予定です。


どうなる?資源量の96%が失われた太平洋クロマグロ



太海の生態系の頂点に立つ大型魚、マグロ。

今、世界各地の海で過剰な漁獲によるその資源枯渇が懸念されています。

とりわけ、太平洋クロマグロについては、その危機の度合いが高く、2014年には資源量の96%が失われたと推定されました。

2016年7月には、新たな資源評価結果が北太平洋マグロ類国際科学委員会(ISC)から発表される予定ですが、厳しい現状は変わらないとみられています。

このマグロ資源の持続可能な利用に向けた「適切な管理」が今、世界的に求められており、そのための国際的な合意や決定が注目されています。

IATTC(全米熱帯マグロ類委員会)は、マグロ類の漁獲生産に関わる国々が、そうした合意を交わす国際的な機関の一つで、太平洋東部のマグロ類の資源管理を管轄しています。

加盟しているのは、日本をはじめとする21の国と地域、そしてEUです。

このIATTCは、持続可能にマグロ資源を利用するためにはどれくらいマグロを獲ってよいのか、漁獲の制限や資源回復の水準を定める知見の拠り所として、特に設置した専門家による科学委員会(SAC)の指摘や勧告を取り入れています。

この科学委員会は2014年に、すでに太平洋クロマグロの産卵可能な親魚が、かつての4%しか残っていないこと、さらに漁獲されている総量の約90%が未成魚で占められており、資源回復がきわめて困難な状況であることを指摘。

IATTCではこれを受け、大幅な漁獲削減するという暫定的な資源回復方針に合意しました。

しかし、2015年にエクアドルのグアヤキルで開催された年次会合では、中長期的な視野で確実なレベルにまで資源を回復させることを目的とする資源回復計画の合意に失敗。

加盟各国は、太平洋クロマグロの資源保全という重要な決議を、先延ばしにする失態を演じました。

懸念されるメバチとキハダの資源



このクロマグロ以外にも、東太平洋のマグロ漁はさまざまな課題を抱えています。

とりわけ、メバチやキハダといったマグロ漁については、各国の過剰な漁獲能力が大きな問題になっています。

漁獲能力とは、たとえば漁船の数や巻き網の総操業回数など、マグロの漁獲量を大きく左右する漁業の要素のことです。

たとえば、東部太平洋におけるメバチとキハダの漁獲量は、およそ90%が巻き網漁によるものですが、2015年の時点で、この巻き網の量は、27万2,076立方メートルにのぼりました。

これは、科学者が推奨している適切な総容量である15万8,000立方メートルを、大幅に超過した数字です。

また、浮き漁礁などを設置してマグロを集める集魚装置(FADs)の設置数や、操業している漁船そのものも増加している可能性が指摘されており、このことも、東部太平洋におけるメバチやキハダの資源状況を不透明なものにしている点が懸念されています。

この問題について、WWFの国際漁業プログラム東部太平洋コーディネーターであるパブロ・ギレロは、次のように言っています。

「私たちはIATTCの加盟各国に対し、現在の漁船団の漁獲能力を凍結し、マグロ漁船の許可数を減らすことを求めています。これは、東部太平洋の海域でのマグロ漁業の将来を左右する、マグロ産業最大の関心事となるでしょう」。

太平洋クロマグロを救う厳しい漁獲規制を



太平洋全域の太平洋クロマグロ資源がひどい枯渇状態にあり、回復の兆しが見られない中、WWFは今回のラホヤでの会合の開始にあたり、IATTC加盟各国に対して次の点を強く求めています。

枯渇状態にある太平洋クロマグロの漁獲規制を維持すること 具体的には、合意されている2015年と2016年の漁期の漁獲可能な量(6,600トン)を維持すること また、この漁獲枠を各国が守ることが、資源回復につながっているか、注意深く調査すること 過剰な漁獲を終わらせ、枯渇状態にある資源状態を未来に残せるように、科学的根拠に基づき、確かな回復が見込める中長期的な資源回復計画に合意すること

特に最後の項目については、IATTCと共に、太平洋のマグロ類の資源管理を管轄する、中西部太平洋マグロ類保全委員会(WCPFC)ともども、長期的視野に立った漁獲規制のルールに基づき、厳しい太平洋クロマグロの資源回復計画を採択することを、WWFは求めています。

この厳しい管理措置の導入について、WWFの東太平洋海域のマグロ保全活動コーディネーターを務めるパブロ・ギレロは、次のように述べています。

「もし今の状況が続くなら、太平洋クロマグロの資源回復はさらに遅れることが懸念されます。現在漁獲されている太平洋クロマグロの大半は幼魚であり、一方で産卵が可能な親魚も急激に減少しています。大幅な幼魚の漁獲削減とともに、幼魚、親魚の双方の保全を目的とする、厳しい管理措置を導入することが、この重要な漁業の長期的な持続可能性を担保するための唯一の方法です」。

メバチ、キハダの厳しい現状


また、東部太平洋で問題になっているのは、クロマグロだけではありません。キハダとメバチの2種の熱帯マグロ類についても、この海域は厳しい状況にあります。

2016年4月時点で巻き網漁を操業する船の数は、過去3年間と比較して11%も増加。WWFはこれが、キハダやメバチの過剰な漁獲を招く要因になるとして、現状を危惧しています。

IATTCがこうした漁船増加の流れを止めるような施策を採択しない場合、WWFはIATTCの科学委員会の勧告に従い、定められた巻き網漁業の禁漁期を、62日から87日に延長するよう、加盟各国に合意を強く要望しています。

さらに、WWFは限界管理措置や漁獲制御ルールなどの管理措置についても、すべての熱帯マグロ類を対象とした漁獲に適用するよう求めました。

これは、それぞれの魚種について、漁業を管理する責任者が、限界を超えた漁獲が行なわれないよう、確実な規制を実現するため、早急な採択を要望するものです。

今回の会合では、こうした点の改善を求める、熱帯マグロ類の漁獲制御ルールに関する提案が、エクアドル政府から出されています。WWFはこのエクアドル提案を支持し、その採択を求めています。

IATTC会合には、日本を含む関係各国のWWFスタッフも公式のオブザーバーとして参加しており、上記の点を含めた提言活動を行なう予定です。

会議の様子と結果については、またあらためてご報告いたします。
参考情報:IATTC加盟国・地域(2016年6月現在)

ベリーズ、カナダ、中国、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、エルサルバドル、EU、フランス、グァテマラ、日本、キリバス、韓国、メキシコ、ニカラグア、パナマ、ペルー、台湾、アメリカ合衆国、バヌアツ、べネズエラ

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