よみがえれ有明海 諫早湾開門署名にご賛同を

諫早湾の開門なくして有明海再生は実現できません。 そして何よりも、確定した司法判断に国が従おうとしないことは、権力の横暴が法の秩序を脅かす大きな問題です。
時事通信社

かつて日本最大のシギ・チドリ類の飛来地であった、九州有明海の諫早湾。渡り鳥の楽園であったこの海を閉鎖して行なわれた干拓事業をめぐり、福岡高裁は国に対し、5年間の水門の「開放」を命じる判決を出しました。しかし、その期限を過ぎた今も、政府は裁判所の確定判決を守らず、水門は開放されていません。この異常な事態に対し、諫早湾問題に長く携わってきた市民団体や自然保護団体は2014年9月13日、国に対して義務の履行を求める全国署名を開始しました。

命の海、諫早湾をめぐる裁判

九州有明海の諫早湾は、かつてシギ・チドリ類をはじめとする渡り鳥が飛来する、国内でも最大級の規模と重要性を擁した干潟を持つ、豊かな海でした。

養殖ノリやカキなどの魚介類の名産地でもあった、この恵み豊かな海を全長7キロの潮受け堤防で閉鎖し、干拓する、国営諫早湾干拓事業が行なわれたのは、1989年から2007年にかけてのことです。 その後、干潟とその生態系は失われ、さらに周辺の海域でも「有明海異変」と呼ばれる漁業への深刻な影響が広く発生するようになりました。

専門家による調査の結果、これは堤防で諫早湾の最奥部を閉め切ったことが、有明海全体の潮の流れを減少させ、赤潮や青潮(貧酸素水塊)の発生頻度が高まったものであることが明らかにされました。

こうした指摘に基づき、沿岸で漁業を営む漁業者の方々は、国を相手取った裁判を起こしました。干拓事業が漁業被害の原因であるとして、水門の開放による潮の流れと諫早湾干潟の再生を求めたのです。

この訴えを受けた佐賀地裁、福岡高裁は、ともに諫早湾干拓事業と漁業被害の因果関係を認定する判決を確定。 2010年12月6日には福岡高裁が、国に対し、2013年12月20日までに、潮受け堤防の「排水門」を5年間にわたり、常時開門するよう命じました。

判決に政府が従わない異常事態

しかし、この期限を過ぎた今も、国は福岡高裁による命令を守らず、水門の開放を行なっていません。確定判決を国が守らないという異常事態が、半年以上にわたって続いています。

この深刻な問題に対し、長く諫早湾問題に取り組んできた、国内の市民団体や自然保護団体は、2014年9月13日から、国に確実な履行を求める署名活動を開始しました。

諫早湾の開門なくして有明海再生は実現できません。 そして何よりも、確定した司法判断に国が従おうとしないことは、権力の横暴が法の秩序を脅かす大きな問題です。

今回の署名活動の中心となっている、諫早湾開門署名全国キャンペーン事務局では、インターネット環境も含めた署名運動を展開。一人でも多くの方に、この問題について知っていただき、賛同を募ることにしています。今年12月には、第一次取りまとめをし、提出予定です。

ぜひご賛同をお願いします

WWFジャパンも呼びかけ団体の一つとして署名活動を支援し、諫早湾開門確定判決を守り、諫早湾の水門を開放することを政府に求めています。

ご賛同いただける方は、こちらのサイトより署名にご協力をお願いいたします。

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