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ニホンウナギの資源保護をめぐる国際会議閉幕

2014年09月29日 15時11分 JST | 更新 2014年11月28日 19時12分 JST
時事通信社

東京で開催されていた「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第7回非公式協議」が閉幕しました。この結果、乱獲により資源の枯渇が懸念されている、ニホンウナギ稚魚の「池入れ」を20%削減することや、国際的な養鰻管理組織の設立が合意されました。いずれも、資源の確実な回復を約束するものではありませんが、これまで実施されてこなかったニホンウナギの国際的な資源管理がスタートしたことは、今後の保全に向け、大きな意味を持つものです。

日本、中国、韓国、台湾の関係者が集まった会議

2014年6月、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)に、ニホンウナギが絶滅危惧種(EN)として掲載されました。

その最大の原因は、日本をはじめ、中国、台湾、韓国などの生息域で続いてきた、稚魚(シラスウナギ)の乱獲です。

シラスウナギは捕獲されたのち、ウナギを養殖する養鰻場に入れられ、生け簀で育てられ出荷されます。これらは通常、「養殖うなぎ」として流通していますが、完全な養殖ではなく、天然資源に頼っているのが大きな特徴です。

また、中国や台湾での養殖うなぎは、日本向けにその大半が輸出されており、世界でも最大のウナギの消費をまかなっています。

ニホンウナギの資源の激減が指摘される中、2014年9月16日、17日の両日、日本政府が呼びかけ、中国、台湾、韓国が参加した「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第7回非公式協議」が開催されました。

これは、生息国におけるニホンウナギの調査や資源管理を行なっていく上で、関係国が協力して対処していく必要があることを受け、開かれたものです。

成立した合意

この協議では、大きく2つのことが合意されました。まず、漁獲し、養鰻場に入れている(池入れ)ウナギの稚魚の量を制限し、直近の数量から20%削減すること。そして、その実施のための国際的な養鰻管理組織の設立が合意されたことです。

もっとも、これらの施策は、現時点で資源回復や適切な漁業管理を約束するものではありません。

20%の削減は、科学的な根拠のある目標ではなく、また設立が合意された国際的な養鰻管理組織も、あくまで各国の養鰻管理団体だけで組織される任意団体であり、法的な拘束力を持つものではありません。

ニホンウナギの絶滅を防ぐためには、漁業管理や生産量の調整はもちろん、生息域の改善や放流の効果の調査などを含めた、実効性のある資源回復計画を実行し、予防原則に従った、より厳しい漁業管理を推進してゆく必要があります。

スタートラインに着いたニホンウナギの保護管理

それでも、過去にこうした取り組みが存在しなかったことを顧みれば、今回の合意には重要な意味があるといえます。

今後、取り組みの成果を客観的に検証してゆく上で、行政や研究者、NGOなど多様なステークホルダーが参画しつつ、法的な拘束力のある国際的なルールが設置されてゆけば、ニホンウナギの資源管理は前進することが期待できます。

ニホンウナギの利用について、WWFおよび、野生生物の国際取引を調査、監視するトラフィックでは、特に以下の3点が必要と考えています。

  • 1)稚魚・成魚の漁獲・養殖の記録・報告の徹底
  • 2)稚魚まで遡ることのできるトレーサビリティの確保
  • 3)科学的知見に基づき、予防原則に従った資源回復計画の策定

ニホンウナギは日本の食文化にとってなじみ深いものであるのみならず、東アジアの海と川の自然をつなぐ、特異な生態を持つ野生生物の一種でもあります。

WWFとトラフィックは、ニホンウナギの保護と持続可能な利用を目指していくために、生産や小売、消費者に、ウナギについての理解を深めてもらいながら、流通関係者との意見交換や、ウナギの取引量・供給量に関する調査を実施していく予定です。

関連情報

より詳しい情報はこちら(トラフィックイーストアジアジャパンのサイト)

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