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沖縄の海を守れ!「やんばる」での赤土防止に向けた協力

2015年07月11日 01時18分 JST | 更新 2016年07月07日 18時12分 JST

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九州南端から台湾にかけてつらなる南西諸島。その海には、世界的にも豊かさが知られているサンゴ礁が広がっています。しかし、この数十年間、開発などにより多くの海域でサンゴ礁は壊滅的な打撃を受けてきました。現在も、陸地から流れ込む赤土は、その大きな脅威の一つになっています。南西諸島の自然保護を目指すWWFでは、この赤土問題を解決するため、現在沖縄の自治体と協力した取り組みを進めています。その現場の一つ、沖縄島北部の大宜味村と石垣島の間で、赤土防止に向けた交流が行なわれました。

「やんばる」での赤土対策

南西諸島の沿岸や河口域に広がるサンゴ礁やマングローブなどの自然。

それは、多くの野生生物にとって大切な生息環境であるだけでなく、漁業を支える基盤であり、沖縄の経済の柱である貴重な観光資源でもあります。

しかし、雨が降ると農地などから川をつたって海へと流れ込む「赤土(沖縄に多い粒子の細かい赤い土)」が、こうした自然を脅かす大きな要因となってきました。

赤土は水を濁らせ、サンゴの光合成を妨げて弱らせたり、河口部などに堆積して、沿岸の生態系に悪影響を及ぼします。

このため、WWFジャパンでは現在、沖縄島北部の大宜味村で、自治体を中心とした関係者の方々と共に、赤土の流出防止に向けた検討を進めています。

大宜味村は、沖縄島北部の亜熱帯林「やんばる」を地元にもつ自治体で、沖縄名産の柑橘類シークワサーの産地としても有名な場所です。

ここは、沖縄県の環境影響に関する監視海域の一つにもなっており、地域のニュースでも、雨が降ると土で真っ赤に染まる川や滝の様子が報道されるなど、赤土問題についての注目度が高く、地元でも対策活動が行なわれてきました。

どうやって赤土を減らす?石垣島との交流

WWFジャパンではこの協働の中で、2015年5月、大宜味村の関係者の方々に石垣島を訪問していただく機会を設けました。

これは、同じく赤土問題に取り組む沖縄県内の他地域と相互に交流し、対策活動の事例を視察し合うことで、今後の取り組みをさらに進めてゆくことを目指したものです。

2000年に石垣島の白保地区で、WWFジャパンが設立したWWFサンゴ礁保護研究センター「しらほサンゴ村」をはじめ、石垣市の関係者や、市が活動に取り組む現場などを訪れました。

「しらほサンゴ村」では、施設の紹介と設立の経緯、そして白保の集落で現在行なっている地域に根差した取り組みについて解説。

さらに、地元のNPO法人「夏花」が、赤土の流出を防ぐため、農地の周辺に植物を植える「グリーンベルト」の設置活動や、海での赤土調査、観光推進事業についても紹介しました。

また、白保の農地を実際に訪れ、「グリーンベルト」の敷設をはじめとする、赤土の流出対策に取り組んでおられる農家の方からも、説明を受けました。

植物を植えて根を巡らせることで、赤土の流出を防ぐ「グリーンベルト」の取り組みは、沖縄の各地でも行なわれていますが、多くの場合、成長の早いベチバーと呼ばれる海外のイネ科の植物が植栽されています。

しかし、石垣島の白保地域では、やや管理に手間がかかりますが在来の植物イトバショウの苗を利用しており、さらにそこで育ったイトバショウの葉などを、伝統的な工芸品などの素材として利用してきました。

こうした例を実際に見ながら、参加者からはグリーンベルトの二次利用や、伝統文化を重視した集落による保全活動の今後の展開について質問が交わされました。

自治体としての取り組み

翌日、大宜味村の関係者の皆さんは、石垣市役所の会議室を訪問。

石垣市が自治体として取り組んでいる赤土防止施策について、さらに、石垣島から西表島にかけて広がる日本最大のサンゴ礁海域「石西礁湖」の保全活動を行なっているNPO法人「石西礁湖サンゴ礁基金」の説明を受け、相互に意見交換を行ないました。

この「石西礁湖サンゴ礁基金」については、研究者とも連携し、行政と異なる視点から専門的な活動に取り組んでいるという点、さらにこのNPOが地元出身ではない方々で構成されている、という点が注目を集めました。

また、これらの要素が、地域の環境価値を正しく認識し、地域が連携する体制構築にもつながっているのではないか、鋭い分析がなされていました。

一方、大宜味の関係者の皆さんからも、農家へ活動を周知する取組み事例を紹介。「赤土ザウルス」など、ユニークな地元の活動についても発表がありました。

「赤土ザウルス」とは、2013年に名護市在住の造形作家住友JINさんが手がけたモニュメントで、赤土と同様、雨などで陸域から海へと流出する流木などを利用して制作されたものです。

大宜味村では、この「赤土ザウルス」を主役にした、赤土問題の深刻さを伝える絵本なども発刊。読み聞かせや歌などを通じた普及活動を行なっており、大きな反響を呼んでいます。

石垣市の関係者にとっても、他地域での取り組み事例を知る、大きな機会となりました。

地域ならではの対策を進めるために

この後、大宜味村の関係者一同は、石垣島の西部、および西北部の農地を実際に回り、農業者の方々から説明を受けました。

中でも注目を集めたのは、赤土の流出防止に積極的に取り組む農家の方が、特注で設置したという改良型のサブソイラーです。

サブソイラーは、固くなった土を破砕する農業などで利用される機械の一つで、これを使って、農地周辺に深さ35~40cmぐらいの溝を引くことで、排水性や水の浸透性を上げ、赤土が川に流れ込むのを防ぎます。

各地を訪れた大宜味村の関係者の皆さんは、こうした事例を実際に視察しつつ、訪問先の方々に対しても、自分たちが取り組む対策について情報を提供。「赤土ザウルス」の絵本を贈呈し、同じ目標に向けたお互いの意見を交換しました。

南西諸島に特有といってもよい赤土の流出問題。その対策は、それぞれの島や地域の環境によっても異なっています。

WWFのプロジェクトでは、地域に合った継続的な赤土防止活動の実施を促進するとともに、こうした地域同士を結び、情報や活動を共有するネットワークづくりを進めています。

世界自然遺産への登録が、現実味を帯びてきた中で、WWFは将来に向けて、沖縄県から鹿児島県にわたる、約 1,200kmの南西諸島の島々で、こうした海の保全活動が相互に協力し合い、拡大されていくことを目指してゆきます。

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