BLOG

WWFが声明:九州電力管内での自然エネルギー大幅導入は可能

2014年11月12日 23時01分 JST | 更新 2015年01月12日 19時12分 JST

2014-11-12-20141112a.jpg

九州電力を含む電力各社の再生可能エネルギー接続保留問題。この問題をめぐり今、日本の電力系統システムがクローズアップされています。果たして電力各社の言うとおり、既存の日本の電力系統システムにおいて、再生可能エネルギーを大幅に導入することは、本当に不可能なのでしょうか? この問題についてWWFジャパンは、九州電力管内における再エネの導入について、シミュレーションを実施。揚水発電や地域間連系線など活用すれば、現状の系統システムで吸収可能であることを明らかにしました。

再生可能エネルギーの導入は可能?日本の電力系統システムの検証

WWFジャパンは2013年、システム技術研究所に委託し、原発に頼らない、太陽光や風力などの「自然エネルギー100%」の社会を実現するためにまとめた「脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ提案」の第4部「電力系統編」を発表しました。

これは、WWFが2011年から順次発表してきた、日本国内において自然エネルギーを大量に導入できる電力系統について、特に地域間をつなぐ連系線をどれくらい増強することが必要なのか、どれくらいの費用が必要なのかを検証したものです。

今回、九州電力を含む電力各社が再生可能エネルギーの接続保留を表明した問題を受け、WWFジャパンでは、この「電力系統編シナリオ」を元に、特に、九州電力管内における再エネの導入について、シミュレーションを行ないました。

焦点となっているのは、九州電力が接続保留の主な理由としている、「1,260万キロワットの太陽光および既存の再生可能エネルギーの導入が困難」であるという主張の検証です。

ここでは、2013年度の実際の電力需要と、九州電力管内の気象データに基づき、365日1時間ごとの太陽光、風力の発電電力量を8,760時間にわたって検証。

現在経済産業省の新エネルギー小委員会の下に設置された、系統ワーキンググループ(系統WG)で、各電力会社が採用している検討方式よりも、さらに踏み込んだシミュレーションを実施しました。

自然エネルギーの大幅導入は可能

このシミュレーションの結果、九州電力管内に1,260万キロワットの再生可能エネルギーが導入されても、揚水発電や地域間連系線などを活用すれば、現状の系統システムでも、それを吸収することが可能であることがわかりました。

さらに一連の検証の結果、今回、電力会社が行なう接続可能量の検証の方式が、過大に再生可能エネルギーの出力抑制を見込んでしまう可能性があることも、明らかになりました。

WWFジャパンでは2014年11月11日、東京でこの検証結果を公表するとともに、自然エネルギーの普及にブレーキをかけているのが、物理的な制約ではなく、むしろ社会的、制度的な制約であることを指摘。

日本ではいまだに、「自然エネルギーをフルに活用するため系統を運用する」という発想が、十分に育っていないこと、そして、根本的な発想の転換が必要であることを訴えました。

自然エネルギー100%の未来に向けて

今回の接続保留問題に代表されるような、「変動する自然エネルギーをいかにして無駄なく、需給のバランスの中で活用するか」という問題は、すでに固定価格買取制度を導入し、自然エネルギーの大幅導入を果たしてきた国々では、多かれ少なかれ経験してきたことです。

日本としてもこれを、否定的にとらえるのではなく、むしろ制度の改善につながる、必要な過程と考えるべきでしょう。

固定価格買取制度の導入で、自然エネルギーの導入が進んだとはいえ、いまだ日本においては、大規模水力を除いた自然エネルギーの割合は、2.2%に過ぎません。

他の自然エネルギー先進国の成功や失敗例を知見とし、運用データが蓄積できれば、日本でもさまざまな手法で自然エネルギーを活用することが可能になるでしょう。

早計に接続可能量などを設定するのではなく、自然エネルギーの導入に合わせて、運用しながら学んでいくこと。端から「否定」するのではなく、「いかにして可能にするか」を議論する姿勢が今、日本には、求められています。

関連記事

*検証の発表の動画や報告書本体は上記のページからご覧いただけます