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種の保護から生態系の保全へ!「種の保存法」改正に向けた16の提言

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日本の生物多様性を守る重要な法律の一つ「種の保存法」。その改正に向け、環境省は現在、研究者らが参加する検討会を開催しています。2016年6月以降、すでに3回開催されたこの検討会では、国内の絶滅危惧種の保全や、希少種の流通について指摘や提言が行なわれました。

しかし、8月3日に開催された第3回の検討会では、それまでの会合で示された検討項目が網羅されておらず、その理由も明らかにされませんでした。WWFジャパンは、この点を指摘すると共に、9月15日に開催される第4回の検討会に向け「16の提言」を発表。環境省と各委員に対し、その検討と結果の明示を強く求めました。


日本の自然を守る「種の保存法」の改正に向けて


1992年に成立した「種(しゅ)の保存法(正式名称は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)」。

この法律は日本で唯一、絶滅のおそれのある野生生物を法的に規定し、その保護を義務付ける法律です。

2017年1月の通常国会で議論が予定されている、この法律の改正に向け、環境省は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律あり方検討会」を招集。

研究者らをそのメンバーとして、法改正の在り方について検討する会合を重ねています。

すでに開催された、第1回検討会では、国内の絶滅危惧種について話し合われ、第2回では国際希少種の流通等について各委員が意見を提議。

そして、2016年8月3日に開かれた、第3回では動植物園等の公的機能について議論されるとともに、過去2回の検討会での主な指摘事項が示されました。

しかし、ここで示された、改正の重要な検討項目案には、検討会で言及されていたはずの重要な内容が一部含まれておらず、その取捨選択の理由も明らかにされないなど、検討の進行について、疑問が呈される形となりました。

検討すべき16のポイント


特に、科学的な根拠に基づいた保全を推進する上で重要となる、科学委員会の参画や、その指摘や勧告の受け入れや、保全の現場の課題である地方環境事務所への具体的な支援策、また日本のペット・ビジネスによる野生生物への悪影響を防ぐための制度の強化など、今後の重要な課題についての言及が不足しており、法改正による十分な効果が期待できなくなる可能性があります。

さらに、何より重要であるはずの、これから求められる法律の役割と、そのものの位置づけにも検討項目からもれていました。

「種の保存法」はこれまで、それぞれ単独の野生生物種を特定し、保護の対象としてきましたが、これからはそうした野生生物が生息する上で欠かせない自然環境の保全をも視野に入れた政策の実現が求められることになります。

そのためには、今回の改正で、法律の名称を変更するとともに、食物連鎖や生態系全体を保全・回復することを目的に加えるための検討を行なわねばなりません。

WWFジャパンと、その野生生物取引調査部門であるトラフィックは、9月15日に予定されている、第4回以降の検討会で、これらの指摘を踏まえた16の項目について検討を行なうよう要望。

日本の自然保護に資する法改正に向けた、前向きな検討と、その検討結果の明示を強く求めました。

【重要度・緊急度が高く検討項目に加えるべき提言】

      種という単位の概念から食物連鎖や生態系全体を保全する大きな方向転換の議論をすべき

      生息地等保護区における保全・監視制度の検討をすべき

      科学委員会の法定化検討を再度提言する

      事業者登録制の導入・情報公開と個体等登録の一部を義務化すべき

      国内に生息する国際希少野生動植物種の取引も適正に管理すべき

      違反標本の没収、登録/許可の取り消し等を明文化すべき


【既に検討項目に挙げられているが更なる考慮が求められる提言】

      二次的自然に分布する絶滅危惧種保全の推進に鳥類も加えるべき

      本法での交雑種の取扱いを明確にすべき

      動植物園等の公的機能の一環として国際希少野生動植物種の扱いについて議論すべき

      個体識別制度の対象とするかどうかを登録数の多寡で決めるべきでない

      DNA等による個体識別の具体的な検討の推進をすべき(検討項目への追加が望ましい提言)

      地方環境事務所や自然保護官事務所の機能も含めて保護増殖事業の支援方策を検討すべき

      生息域内保全の土地の買い取りのあり方についても議論すべき

      「対象種であることが容易に識別できる又は対象種であることを謳っている製品」を取引禁止すべき

      広告を出した事業者を明らかにすべき

      普及・啓発・教育について項目を立てて議論すべき

詳しくは提言をご覧ください
http://www.wwf.or.jp/activities/2016/09/1333314.html

【関連情報】

「種の保存法」改正までのNGOの働き

関連サイト:環境省のサイト

検討項目(資料3-5)
WWFジャパンによる提言
TRAFFICによる提言