国会議員になって知事の時にはあまり接することがなかった分野のことを勉強する機会が増えたと思う。
例えば外交や防衛の分野が代表そうだが、東日本大震災からの復興についても国会議員になってみて触れることがかなり増えた。国として東日本大震災からの復興の加速化に全力を挙げているから、とも言えようが、復興はまだまだだからと言うことかもしれない。
先日、自民党の東日本大震災復興加速化本部総会に出席して、改めてその感を深くした。
これまで4次にわたって政府に対し自民党及び公明党から提言を行って来ていてそれに対する政府としての対応状況についての説明がメインだったが、政府の説明に対する各議員からの反応は総じて厳しいものだった。
それぞれ地元で生の声を聞いているだけに、政府の通りいっぺんとも聞こえるような説明では全く納得してもらえない。
「平成27年度が集中復興期間の最終年度であるということでそれまでに原則全額国費で行ってきた復興事業が28年度以降は自治体の負担を入れていくことになる」と言う内容とも取れるような先日の大臣の発言に対する強い反発があったり、食料品の放射性セシウムの基準値を100ベクレルと厳しくしたところ、逆に首都圏の消費者などからは「規制が存在してるという事はやはり危ないと言うことではないか」と言われてしまっている、というような話、また、常磐道がこのたび開通したのは喜ばしいが、荷主の中には、その道路を通ることに対しやや抵抗感を示す人もいたりする、という話など風評被害がまだまだ残っていることを痛切に感じた。
人手が足りない、建設関係者だけでなく、病院関係者も介護の関係者も、さらには自治体の職員も足りない、と言う超・人手不足の状況も切実だったし、宮城県内の一部の被災地ではアパートの不足が目立ち家賃が高騰、仙台市よりも高い家賃のところまで出てきているとも言う。
このほか、原子力発電所事故のために避難を余儀なくされている住民の方の中には避難先でも市民としての位置づけが欲しいと言う声もあるようだ。あたかも避難先の行政サービスにただ乗りしていると言う誤解があるようなのだ。このことに対しては「二重市民を認めてしまうと、選挙権をどうするのかという問題まで出てきてしまいます」というのが国の担当者の説明だったがそれに対し「そんな問題じゃないんだ」とテーブルを叩いて悔しがっておられる議員の方の姿を拝見していると、こちらまで同じ思いになった。
たしかに復興が進んでいるのは政府の説明の通りだと思うのだが、一方で4年かけても進んでいない部分と言うのは、これからも進むのが難しいように思う。
かつてなかったような災害の復興の局面なのだからこれまでの延長だけでものを考えないようにしなければ、と深く思った。
(2015年3月31日「週刊yasushi」より転載)