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膵臓がんと告知されたお母さんの日記(第20話:「ホスピスは最期を迎えるための場所ではない?」)

「ホスピスは、最期を迎えるための場所ではありませんよ」 と言われ、私も夫もエッ、となる。

2017年12月01日 16時54分 JST | 更新 2017年12月01日 16時54分 JST

不定期でブログを投稿させていただきます、西口洋平です。妻と小学生のこどもを持つ、一般的な38歳男性です。「ステージ4のがん」であることを除いては。

がんだと宣告されたときに、おぼえた孤独感。仲間がいない。家族のこと、仕事のこと、お金のこと......相談できる相手がいない。同じ境遇の人が周りにいない。ほんとにいなかった。

それなら自分で仲間を募るサービスをつくろうと、ネット上のピア(仲間)サポートサービス「キャンサーペアレンツ~こどもをもつがん患者でつながろう~」を、2016年4月に立ち上げました。

こどももいて、地元には親もいる。仕事やお金...... 心配は尽きません。 そんな僕みたいな働き盛り世代で、がんと闘う人たちをサポートしたい。そんな思いから、抗がん剤による治療、副作用と付き合いながら、仕事と並行して、地道に活動を続けています。

キャンサーペアレンツのFacebookページで活動情報をアップしていきますので、「いいね!」をお願いします。

西口洋平

取材記事:36歳の末期がん患者が、娘に残すために始めた「最後の仕事」

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膵臓がんのナオさん。

2015年6月にがん告知を受け、手術や抗がん剤治療を経験。2016年に再発し、抗がん剤、放射線など様々な治療を行うものの、現在は無治療で生活。小学校一年生の息子さんと旦那さんの三人暮らし。

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ナオさんがキャンサーペアレンツに登録したのは、2016年9月。

発信するのは苦手とのことで、キャンサーペアレンツに登録するまではブログや日記などを書いたこともなく。そんなナオさんの日記を、ご本人の了承のもと、これから一つずつご紹介をさせていただきます。

第1話「はじめまして」コチラから

第2話「思い出の屋上」コチラから

第3話「旅行の効果」コチラから

第4話「息子の運動会に、思うこと」コチラから

第5話「放射線治療(一旦)終了」コチラから

第6話「角膜提供の話」コチラから

第7話「医療用麻薬、開始」コチラから

第8話「医療用麻薬、開始 その2」コチラから

第9話「生かされている、私」コチラから

第10話「今年の目標はただひとつ」コチラから

第11話「食欲の出し方」コチラから

第12話「がんになって、生きてる意味がわかった」コチラから

第13話「死ぬときは前のめり」コチラから

第14話「副作用と、生きること」コチラから

第15話「決断、死ぬまで生きる」コチラから

第16話「感謝/息子とがんの母」コチラから

第17話「がんを笑った息子」コチラから

第18話「36歳の終活」コチラから

第19話「死別と再婚」コチラから

※キャンサーペアレンツは、子育て世代・就労世代のがん患者のコミュニティであり、様々な社会的な接点の中で生きています。こども、家族、仕事、地域、普段の生活、将来への不安。がん患者への偏見や誤解など、まだまだ「がんと生きる」ということに対する理解が乏しいというのが実態です。キャンサーペアレンツでは、ここに集う方々の意見を『声』として広く世の中に発信し、がんに対する理解を広げ、がんになっても生きていきやすい社会を実現すべく活動を行っています。

■投稿日

2017年7月26日(水)

■タイトル

ホスピスは最期を迎えるための場所ではない?

■本文

先日、このあたりでは一番有名なホスピス、Y病院の面談に行ってきました。

ホスピスに入るつもりは全くありませんでしたが、闘病が過酷になるようなら息子にそれを見せたくないので、入院するしかないなぁ、という消極的な理由で。

(通院している病院には緩和ケア病棟がないのです)

そのホスピスは緑深い山の中腹にあり、市街地から車で15分程度。入院できる人数に対して随分広い敷地になっていました。

通された診察室からは広い庭が見え、おばあさんと看護師さんが日光浴をしています。

看護師さんが庭のラベンダーを折り、おばあさんに手渡す。

おばあさんはラベンダーを握りしめてはいますが、医療用麻薬のせいか病気のせいか、ぼんやりとしたままです。

夫と「ザ・ホスピスって感じやねー」「ドラマみたい」と言い合う。

私が今すぐ入院する必要がなかったせいか、医師との面談は簡単なものでした。

しかしそのあとの看護師さんとの面談は非常に心打つものでした。

「人の持つエネルギーは限られているから、頑張りすぎないこと」

「周りの人にきちんと頼って、エネルギーを温存することが大切」

「あなたは何でも自分でやりたいタイプでしょう、ダメよー」

と、言われる。

私はあまり病院では泣きませんが、この看護師さんの前では、普通に話しているだけで勝手に涙がつーっと出てきました。

たくさんの方を看取ってこられたのであろう、いい意味での「慣れ」。

今までどんな看護師さんとお話させてもらっても、みなさん必ず目の奥に「かわいそう」という同情の色がありました。

けど、この看護師さんにはまったくそれがなかったのです。

うまく言えませんが、「死んでも大丈夫だよ〜」という感じ。

プロ!と思いました。こういう方と一緒に最期を過ごしたい。

そしてその看護師さんに

「ホスピスは、最期を迎えるための場所ではありませんよ」

と言われ、私も夫もエッ、となる。

「痛くて苦しくて、医療者が24時間いた方が安心できる。そういうときに短期間、休憩の意味合いで使ってもらえれば」と。

「痛みが取れたらまたおうちに帰って、またしんどくなったり、ちょっと入院したいなと思ったら来てくれればいい」

「それをちゃんと知って帰ってほしいの」と。

これには私も夫も驚きました。

ホスピスは最後の最期に入院する場所だという思い込みがあったからです。

普通の病院のように使っていいんだ、というのは知りませんでした。

(緊急の措置が必要な場合、夜間などは入院できません。予定入院のみ。)

医師の判断ではなく、自分の希望で入院できるとは。

お話を聞きながら、病院内を案内してもらう。

きれいな低層の病棟がふたつに、広いお庭。

面談の日はよく晴れており、ボランティアの方が甘夏を収穫されていました。

お酒も許可されており、ロビーにはバーカウンターも。

基本は個室で、どのお部屋も山の緑がたくさん見える大きな窓があります。

家族のための休憩室や、キッチンもあります。

入院されている皆さんは痩せていたりはするものの、苦しそうには全く見えず、陽の当たる広いホールで、ひとりで、家族で、友人と、思い思いにゆっくり過ごされていました。

よぼよぼのおじいさんおばあさんばかりかと思ったら、40〜50代くらいの方も多くいらっしゃったのが印象的でした。

そっか。

ここで最期だと気負わずに、ちょっと入院しに来ていいのか。

家族が看病に疲れてきたなと感じたら、短期間ここに来よう。

家族も泊まっていいなら、息子も週末はここに来られる。

大きなお庭で一緒に過ごすこともできる。

そんなに構えなくていいのかー、と、すっかりホスピスの印象が変わってしまいました。

末期がん患者が泊まれるホテル、くらいの考えでもよさそうです。

金額も特別な個室、食事などは自費ですが、普通の入院と同じ。高額療養費制度も使えます。

通常お世話になっている市中病院、

通院ができなくなったら来てもらう訪問医、

在宅ケアがしんどくなってきたら一時的に入院するホスピス、

終末期はこの3つをうまく使い分けて乗り切ろう、とプラン変更です。

最期を現在の市中病院で迎えたい気持ちに変わりはありませんが......

夫とも「ホスピスを使えると思ったら、ちょっと気が楽やね」と、少し明るい気持ちになって帰りました。

なんでも実際見て聞いてみないとダメですね。

面談に行って、本当に良かったです。

***

36歳の終活は続いていますが、幸いまだ、そういう場所でお世話になる段階には至っていません。

抗がん剤をやめて、3ヶ月近く。

私の身体の中は今、どうなっているのだろうか。

腫瘍はどこまで大きくなり、どこに転移しているのだろうか。

積極的に調べることをしていないので、わかりません。

知りたいような知りたくないような、です。笑

少しずつ食事量や体力が落ちてきているのは感じますが、身体に大きな不具合はありません。

周りの友人たちからは「顔色がよくなった」「元気になった」と言われます。

髪も生えてきました。あと2ヶ月くらいしたら、脱ヅラできるかも!

私が求めていた『普通のお母さん』。

今、それを満喫しています。

とはいえ、

夫と息子の靴下やパンツ、寝具やタオルを買いだめしたり、

(自分たちでなかなか買わないだろうと......)

息子のお友達に家に遊びにきてもらったり、

(寝たきりになったら、うちには来てもらえなくなっちゃうので)

息子の嘔吐症をなんとかすべく奮闘したり、

(小児科、スクールカウンセラー、私の主治医にお世話になってます)

夫と息子の写真をたくさん撮っておいたり、

(ふたりきりになったら、ふたりの写真が残らなくなるから)

やっていることは、些細なことばかりなんですけどね。

期限付きであるのはもちろん、わかっています。

でも自分で選択したこと。

責任を持って、その役を最後まで全うしたいと思っています!

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(第21話へつづく)

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