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すでに少子化問題は手遅れだけど - 2

2014年07月24日 23時54分 JST | 更新 2014年09月22日 18時12分 JST
Sean Gallup via Getty Images
UNDISCLOSED, GERMANY - AUGUST 12: A 4-day-old newborn baby, who has been placed among empty baby beds by the photographer, lies in a baby bed in the maternity ward of a hospital (a spokesperson for the hospital asked that the hospital not be named) on August 12, 2011 in a city in the east German state of Brandenburg, Germany. According to data released by Eurostat last week Germany, with 8.3 births per 1,000 people, has the lowest birth rate in all of Europe. Eastern Germany, which not only suffers from a low birth rate, also has a declining population due to young people moving away because of high unemployment in the region. Europe as a whole suffers from a low birth rate and a growing elderly population. (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

すでに少子化問題は手遅れだけど - 1

今回の妊娠は今までで一番順調だったのですが、さすがに妊娠9ヵ月になっていろいろ動くのが辛くなってきました。 そういえばこの頃、長男の時は腰痛で激痛が走り10分以上歩けなかったし、次男の時は(臨月に入ってからでしたが)、変なウィルスで咳が止まらなくなりあばら骨付近の筋肉を痛めて息をするのも痛い、早くから前駆陣痛がありしかも吐き気を伴った、など哀れな状況だったなー、と思い出しています。話は逸れますが、東京から帰ってきた直後にしたこのツイートがRT540を超えて驚きました。

それより驚いたのは、東京の電車での妊婦・子連れへの冷たさでした。今までシンガポール・ロンドンでは私が妊娠中であることに気づいた人はほぼ100%席を譲ってくれるので、あまりの違いに唖然。席を譲ってもらえるばかりか、「予定日いつなの?」と話しかけられたり「Congratulations!(おめでとう)」と言われたり、精神的には不安定、肉体的には辛い時期なので他人の温かい言動は心底ありがたいです。

東京都の合計特殊出生率1.09という衝撃的な数字を見ましたが、妊娠・出産が身近にないから社会が冷たいのか、冷たいから産まれないのか、鶏と卵なんでしょうか?

さて前回の続き、子どもを産み育てる当事者としての短期展望の話。 「一番大変な最初の10年くらいやっていけるの?」って話です。

②短気展望

前回、イギリスではワーキングペアレンツは(でも誰でも)柔軟な働き方ができると書いたので、今日は息子たちの通っているナーサリー(保育園)の友達の両親の例をいろいろ挙げます。

A. 我が家(夫:戦略コンサルタント、私:フリーの建築インテリアデザイナー)

うちは息子2人(4歳ともうすぐ2歳)が同じナーサリーに通い、送りを夫が、お迎えを私が担当というのが基本です(夫は8時に送り、そのまま出勤して9時出社。 私は17:40のお迎えに間に合うよう仕事を切り上げる)。近くにデー・ナーサリーがないので片道徒歩で20分かかるのですが、冒頭に書いたように動きにくくなる中、疲れている2歳と4歳を連れて帰るのがほぼ無理な状況になってきました。

歩くのが遅い次男はベビーカー、歩ける長男はスクーター(日本で言うキックボード、こういうの)で通っているのですが、長男が疲れているのと(ママっ子なため)赤ちゃん返りとで帰り道に始終抱っこを要求するようになったのです。

私が音をあげたので夫が上司と掛け合って産まれるまで(産後もしばらく)特別体制を敷いてくれました。私が送り、夫がお迎えを担当するというもので、夫は数ヶ月の間、8時出社で4:45に会社を出ます。 一応、部下も何人かいて責任ある立場で、クライアントがいる戦略コンサルという職種。社内外のミーティング含めて数ヶ月の間4:45までにミーティングを終わらせ、会社を出ることは容易ではないと思うので、本当に感謝。

その他、こんなこともありました。 イギリスでは妊娠中の超音波検査が2回しかないのですが、その第1回と夫のプロジェクトプロポーザルの締め切りが重なったことがありました。 夫が上司に話したところ、上司はクライアントに頼んで締め切りを少し延長してもらい、検査への付き添いに会社を抜けた夫にこうメールで返信してきました。

Enjoy your scan and have a cup of coffee with your wife after the scan. It is much more important than this c**p. (検査楽しんで、検査の後奥さんとコーヒーでも飲んでから出社したらいいよ。 そっちの方がこのくだらないことよりよっぽど大事だから)

注:結構くせのあるクライアントだったのでc**pという表現になっている

B. 長男の友達Jくん家(パパ:ITベンチャーのマネジャー、ママ:大手通信会社ITマネジャー)

2人とも南アフリカ人のJくん両親は祖父母の協力が得られないという点では我が家と同じ(保育費が高いイギリスでは定期的に祖父母に保育を頼るケースが多く、息子の通うナーサリーでも週1で祖父母が来ている家庭など多い)。 

夫婦2人でほぼ同等に送迎をシェアしているが、ベンチャーで管理部門のマネジャーを勤めるパパの方が、大企業に勤めるママよりも出社時間・在宅勤務など融通が利くそうで、パパの姿をよく見かけます。この9月以降、Jくんが小学校(8:50 - 15:10)に入ってからはより一層、パパの送迎が増える予定だそう。

C: 長男の友達Hくん家(パパ:弁護士、ママ:弁護士)

夫婦ともにハードワークで有名な弁護士のHくんの両親。 Hくんが1歳の時に転職したママは新しい勤務先に「フルタイム(週5日)がいいか、パートタイム(週4日以下)がいいか」と希望を聞かれ、「今は週5日がいいが、小学校に入る頃に週4日以下に切り替えたい」と返答。 ママは週5日のうち週2日を在宅勤務で送迎担当、残りの3日はパパと分担+ベビーシッターでした。 が、最近9月のHくん小学校入学に備えてママは予定通り週4日(うち週2日は在宅勤務)のパートタイムに切り替えました(給料は5分の4に)。

イギリスではこのように育児期にパートタイム(週3日か4日勤務)に切り替える女性が非常に多く(末子年齢5歳未満の場合65%、内閣府男女共同参画局『労働分野における女性の参画』より)、息子のナーサリーでも週5日通う子どもは非常に少数派です。 保育費が高額であることが理由として大きいと思いますが、フルタイム⇆パートタイムの切り替えがしやすいこと、処遇格差が小さいことは在宅勤務のしやすさ、労働時間ではなく生産性を重視すること、とも相まって、父母で一緒に育児をする環境があります。

ナーサリーの送迎の父親比率は4割くらい、今朝、9月から始まる小学校の慣らし保育(のようなもの)が朝10時からあったのですが、父親比率3割くらい(両親が働いているナーサリーと異なり小学校は専業主婦家庭もいるはずなのに、それでも父親率3割)。 平日昼間に時間の融通が利く仕事をしている父親がこんなにも多いのか、と改めて驚き。

こういう環境では育児は男も女もすなるもので「イクメン」などという言葉はありません。 が、女性が育児のために一時的にスローダウンするのは社会で広範に認められている一方で、小さい子どもを持つ男性の大変さはそこまで理解されていないのが現状で、最近はパパの方が疲れてるんじゃないか?という気さえしています(→『イクメンの行方』)。

いずれにせよ、未就学児を持ちながら長時間労働・不規則勤務・出張ありの仕事を夫婦ともにこなすのは、住み込みナニー(メイド)or 泊まり込み可能の祖父母がいない限り不可能です。

人権先進国では住み込みナニー(メイド)は一般家庭には手の届かない贅沢なので、「私の人生捧げてもいいわよ!」という寛大な祖父母がいない人は、周りの助けを借りながら夫婦2人でせっせと家庭と仕事をジャグリングしながら乗り切るし、イギリスでは比較的多くの企業が『家庭の幸せと職場の幸せは分れない』ことを理解していると思います。

「一番大変な最初の10年くらいやっていけるの?」という短期展望に関しては、このへんの社会環境、パートナーの意識が大きく関与しています。

(2014年7月7日「世界級ライフスタイルのつくり方」より転載)