BLOG

自然欠乏症候群

2014年11月21日 16時19分 JST | 更新 2014年11月21日 16時19分 JST
Inti St Clair via Getty Images

前回のエントリーは、子供の「安全」だけに目を向けて少しでもリスクのあることを規制する余りに結果として子供の「健康」や子供らしい「経験」を奪っているのではないか?という話でした。

私が子供だった頃を振り返ってみると、楽しかった記憶は外で遊んだ記憶ばかりです。 空き地に段ボールで隠れ家をつくったこと、近所の土手でよもぎを摘んで家でよもぎ餅にしたこと、小川の脇にある木の枝にぶら下がってターザンごっこをしたら枝が折れて川に落ちたこと、しろつめ草のネックレスなら今でもつくり方を覚えていること・・・

夫も私もたいしたアウトドア派に育った訳ではありませんが(旅は大好き)、子供には小さい頃は自然の中で五感を鍛えてほしいと思っています。 イギリスでは数年前"Nature Deficit Disorder"(自然欠乏症候群)という言葉が話題になりました。 きっかけは2005年にアメリカで出版された『Last Child in the Woods: Saving Our Children from Nature-Deficit Disorder』(邦訳:『あなたの 子どもに自然が足りない』)という本です。

「自然とほとんど意味のある接触がなく育った現代の子供たちは身体的・精神的な問題を抱えやすい」と警笛を鳴らしたこの本は衝撃を与えました。 現代の子供たちは近所にある川の土手や林のことは何も知らないけど、アマゾンの熱帯雨林のことは(知識として)知っている、と・・・ イギリスでは1970年代以降、肥満児・自傷に走る子供・鬱病を抱える子供が増え続けています。 その子たちに自然の中で学ばせると症状が良くなるという結果が出ているそう。

The Telegraph: Does your child have Nature Deficit Disorder?

The Guardian: Back to nature

ナショナル・トラストのレポート(お勧め!)→National Trust: Natural Childhood

ところが現代は親が意識して環境を与えないと何も身につかない時代。 近所の子たちと勝手に近所の森に行って木登りや昆虫獲りなどしてくれるわけではありません。 幸い近くに森林はたくさんあるので(『公園は誰のもの?』の④)できる限り、次の2つの方法で自然の中に出すようにしています。

1つめは"Forest School"と呼ばれるもの。 北欧で生まれイギリスにも各地にありますが、自然の中で五感を使って体験することで学ぶクラスで、日本では「森のようちえん」と呼ばれて紹介されているようですが、小さい子に限らず大きな子供の方が火を使ったりサバイバルスキルを習得したり、できることが増えます。 学校が休みの時期(スクールホリデー)に長男が行き始めました。 私が小さい頃に近所にこんな教室があればぜひ行きたかった!

2つめは家族で自然の中に出かけること。 子どもに「外に出ろ」と言いながら親が家の中でパソコンに向かってばかりでは全くお手本になりません。 とはいえ、森に出かけても何をしていいかわからないという情けない親なのでこんなものを見つけました。

英国ナショナル・トラストが「12歳までにしておくべき50のこと」をまとめています(National Trust : 50 things to do before you're 11 3/4)。 その全てが自然の中ですることで"Adventurer"(冒険家)、"Discoverer"(発見者)、"Ranger"(レンジャー)、"Tracker"(追跡者)、"Explorer"(探検家)それぞれのカテゴリーで10個のアクティビティーがあります。 例えば・・・

「2. ものすごく大きい丘を転げ落ちる」、「8. 網で魚を捕まえる」、「12. 枝で方向を示したトレイル(小道)をつくる」、「17. かたつむり競争をする」、「24. 裸足で散歩に出かける」、「26. 化石や骨を探しに行く」、「27. 星を見に行く」、「38. 蝶を育てる」、「43. いかだをつくる」、「47. キャンプファイヤで料理する」

などなど、このリストを基に子どもと一緒にやると楽しそう! 

こちらがリスト→ "50 things to do before you're 11 3/4″

スマホ用アプリで進捗をアップデートできたり、アクティビティーができる近くの場所を探せたり、ヴァーチャル探検家で遊べたり、とツールがあるところが現代風。 本当はこんなリストがなくても日常生活に組み込まれていればいいんですけどね・・・

放っておくとiPhoneでニュース記事を読んでばかりいる夫のお尻を叩きながら、寒くなってきた秋のロンドンで家族で森に出かけています。 "Forest School"発祥の地スウェーデンの次の諺を呪文のように唱えながら。

There is no such thing as bad weather, just the wrong gear.

悪い天気なんてものはこの世にない、間違った服装があるだけだ。