育児中の私が周りの人に絶対されたくない質問

育児は論理だけで解決できる代物ではないと思う。
Suriyapong Thongsawang via Getty Images

もうすぐ一歳半になる息子の育児に関わる中、親せきや友人から何度も同じ質問をされ、その度に「ああ、またこの質問か」と心の中で呟いてきた。それは、息子が泣くと、「なんで泣いているの?」とか「何泣き?」とか、聞かれることだ。その時は適当に「眠いのかな」とか「そろそろご飯の時間だから」とか返しているが、本当なら「わかりません!」と大声で返してやりたい。でも、そう返せば、「あなた親なのに知らないの?」と思われるのも嫌だから、適当な答えを作るしかないのである。

四六時中、育児に携わる人なら誰でもわかるはずだ。乳児が泣く理由なんて、私たちが考えうる理由の数を遥かに超えるだろうということは。言葉がまだ話せない彼らにとって泣くという行為は、数少ないコミュニケーション方法の一つであり、音や風景、匂いなど、少しの環境の変化にも敏感に反応し、泣くことがる。だから、「なぜ泣くのか?」を考えることは大事だとは思うが、毎回毎回、正しい答えを導き出すなんてのは不可能だ

「いつも一緒にいるのにわからないの?」と思う人もいるかもしれないが、逆に一緒にいるからこそわからなくなるのだ。3日前の息子の夜泣きはひどかった。午後10時半ごろ始まり、添い寝しても、体をトントンしても、抱っこしても、どんな体勢にしても、叫び続ける。動画を見せるのは、発育に良くないと言われているが、仕方なく最終手段として「はらぺこあおむし」の動画を見せると一時的には泣き止む。でも、寝付いてくれない。30分以上見せるのは嫌だから、動画を消すと、また大泣き。「もう、朝まで一緒に起きていようか?」と話しかけて強がってみせるが、全くの逆効果で、さらに泣く。

仕方ないから、午後11時半、大雪の中を車に乗せてドライブ。運転すれば、チャイルドシートで寝てくれることが多いのだが、なぜかこの日は寝てくれない。30分続けてもだめ。12時に家に入り、リビングルームのソファでテレビを見せながら、息子の横で私は布団を被って横になる。ようやく、1時ごろ、就寝してくれた。この2時間半の間、私が「なんで泣いているのか?」と考えたら、頭がパンクしてしまう。オムツは変えた。ご飯は食べた。眠くないはずがない。でも寝ない。じゃあ、なぜ泣き続けるのか?保育園に預けられることを嫌がっているのか?私の日々の接し方に不満があるのか?それとも、実の母親を生後22時間後に亡くしたことを悲しんでいるのか?父親が育児するのがダメなのか?と、いつのまにか自分を責め始めてしまう。だから、「なぜ泣くのか?」なんて考えたくもないし、聞かれたくもない。

「なぜ?」と尋ねる代わりに、「うんうん大変だね」「怖かったね」「パパがそばにいるから大丈夫だよ」などと、息子の不安に共感してもらうことの方が、こっちはよっぽど気が楽になる。今の妻と結婚に至ったのも、結婚前、泣きじゃくる息子を前に、彼女が決して私に「なんで泣くの?」と尋ねなかったことが大きい。「なんで?」と考えることは大事だが、人間関係上起こる問題と同じように、育児は論理だけで解決できる代物ではないと思う。