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坂之上洋子 Headshot

黒石写真コンの「波風を立てない方がいい」について

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内定一転 最高賞取り消し/黒石写真コンテスト、被写体に自殺中学生

このニュースを見た時に、私、条件反射のように反応してしまいました。
「波風を立てない方がいい」ってなんなの。と。

撮影した人は被写体を全く知らず、最高賞になった後に分かったこと。
生きていた時の娘の写真が最高賞に選ばれたことをみんなで喜んだ家族。それなのに賞取り消しの知らせ。

家族は突き落とされた気がしただろうと安易に推測できます。それは、まるで、もう一度いじめに遭っているような。失礼すぎる。親の気持ちを考えるとやるせない気持ちになりました。

そういう親「個人」の痛みを優先せずに、「村」「社会」?を乱さないことを優先する風潮が嫌だ。そんな感じがこの記事からして身震いし、思わずSNSに、投稿しました。「これなんなの?」と。

でも、なぜか私はこの記事のことが頭から離れず、夜遅くまで考え込んでしまいました。

黒石市は3万人少しぐらいしかいない地域のようです。そういう中で、中学生が自殺する。きっと地域で、かなり大きな事件です。

近所でも学校でも職場でも、それこそ、あることないこと全て語り尽くされているでしょう。

そういう中で、自殺した女の子の近くにいた同級生たちの何人かは
「どうしてあの時に、自分は一言、声をかけられなかったんだろう」「自分はどうしていじめている子にやめようと言えなかったんだろう」いう罪悪感でさいなまされているかも知れません。

いじめの言葉を発した子に至っては、きっと一生忘れることができない何かを背負ってしまっていると思います。そんなつもりはなかった、とか、あなたは悪くないと言われても、自分たちの言葉で人を死なせてしまった事実は消えません。

どう気丈に振る舞っていても、11歳、12歳、13歳。。。です。

私は、祖母が自殺しているので、自殺した人がいる家族の気持ちが痛いほどわかります。その悲しみは世代を超えて伝わります。

同時に、自殺の原因になった可能性があると思われている人が、人生が狂うほど、きつい思いをするのもわかります。。裁判で裁かれないかもしれないけれども、罪は消えない。制裁はもう受けていると思う。そしてこれからも受け続けるのだと思う。

その写真は、撮影者の男性は生徒と面識はなく、偶然8月15日に撮影。生徒は同25日に亡くなったそうです。写真も亡くなる前に応募したんだそうです。そしてそれが最高賞。まるでドラマのような奇跡のような偶然です。

それが奇跡であるほど、もう一度街の大きなイベントの最高賞という形で、騒ぎになると、なぜ死んでしまったの?なぜ止められなかった?と先生や学生、周りの人たちも、精神的に追い詰められてしまうかもしれない。

私自身も反射的に、取り消しは変でしょうと思ったからこそ、伝えたかったのです。

自殺した人は苦しい。そして残った家族はもっと苦しいです。そして同時にまわりにいた人も苦しいんです。そして最後の苦しみは、限りなく見えにくい。

だから今回の判断、考えれば考えるほど私にはわからなくなりました。

(追記*市の記者会見見ました。なんだか色々ため息でますね。。)

ただ、それでも、私はまるで審判員のように正義を振りかざしSNSで、波風を立ててはいけなかったんだと思う。

反射神経で何かを言うことは、いじめをする子と同じだと思った。
短くても言葉は暴力になるから。

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(2016年10月18日「犬も歩けば どこかにあたる」より転載)