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ビールを蒸留すればウイスキーになるのか? マッコリを蒸留すれば焼酎になるのか?

2015年05月11日 19時02分 JST | 更新 2016年05月10日 18時12分 JST

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韓国伝統酒研究所併設の工房で7年間、お酒を造ってきたチェ・ウテクさん(32歳、研究員)は、ある日突然「ビールを蒸留するとどんな味がするのか? マッコリを蒸留するとどんな味がするのか?」という好奇心にかられた。

もちろん研究者7年目の彼は、ビールを単に蒸留するだけでは、ウイスキーの味がしないということ、マッコリを単に蒸留するだけでは、焼酎の味がしないということはわかっていた。では、どんな味がするのか。ちょうど研究室という空間もあり、蒸留器もあった。5月6日、韓国伝統酒研究所で「蒸留酒試飲会」が開催され、私は蒸留酒についての講師やウイスキーのテースターとして参加した。

本題の前に、基礎的なことを少し。酒は、特定の酵母が糖をアルコールに発酵させてつくられる。もっと簡単に具体的に言えば、特定の酵母が糖を食べてアルコールをフンとして出す。ビールは酵母が麦の糖を発酵させてできる。ワインはブドウの皮にある酵母がブドウの糖を発酵させてできる。マッコリは麹の酵母が米にある糖を発酵させてできる。しかし、この「発酵」だけでは高い度数の酒は作れない。発酵が進み、アルコール度数がある程度高くなると、発酵を担う酵母は活動を止める。自分のフンに自分が窒息してしまうのだ。では、どうやって高い度数の酒を作るのか。

それが「蒸留」だ。アルコールの沸点の78度になると、酒の中にある液体のアルコールが蒸気となって分離される。100度まで上がると、酒の中の水分も蒸気となる。つまり、78度から100度の間で発生するアルコールの蒸気を集めて冷却させると、純度の高いアルコールが手に入る。もちろん、この過程で純粋なアルコール・エタノールだけが抽出されるわけではない。まず、78度より少し低い温度では、アルデヒドとメタノールを筆頭とした様々な発がん物質と毒物などが発生し始め、78度からエタノールと、また様々な物質が発生する。単純な「気化」だけでない様々な化学変化も発生する(ウイスキー蒸留器の内部には、これらの化学変化を促進するための銅触媒がついている)。

蒸留の初期に出る蒸気を冷却させたものを「初留」と言い、終わりに出る、水に混じった蒸気を冷却させたものを「後留」と呼び、飲むことのできる美味しくて安全な部分を「中留」と言うが、初留の中でも上澄み部分は出来るだけ捨てたほうがいい。特に、他の発酵酒に比べてメタノール含有量が比較的に高いワインを蒸留して初留を濾さずに飲むと、失明や死亡などの深刻な結果を招く。初留と後留は味が良くないので危険な部分は捨てて、再び原液に混ぜ、再蒸留の原料として使ったほうがいい。参考までに、最も有名な蒸留酒「ウイスキー」の原液は2、3回、70度から80度の間で蒸留される。

では、コンビニエンスストアやスーパーで売っている普通の韓国産ビールを蒸留すると、ウイスキーと似た味がするのだろうか。ビールもウィスキーも麦芽から作られる。普通の韓国産マッコリを蒸留すると焼酎に似た味がするのか。マッコリも焼酎も米から作られるからだ。チェ・ウテク氏は好奇心と衝動にかられて蒸留実験をしたあと、蒸留した酒の試飲イベントも開催した。結果はかなり興味深かった。

蒸留されたビール:インスタント麺を煮た湯に、焼酎、ビールを混ぜた味がする。

なぜウイスキーの味がしないのだろうか。まず、私たちがよく飲む「スコッチウイスキー」は、オーク樽で最低3年以上熟成されたものだ。化学的なレベルで、ウイスキーの味の70%は熟成の過程で作られる。その70%の過程を経ず、熟成していない蒸留原液の味がウイスキーに似ているはずがない。また、国産ビールの場合、約60%の麦芽と30%のでんぷん、10%の「その他」で作られていると推定される。国内酒造メーカーは正確な成分含有量を明らかにしていないが、メーカーが発表した穀物購入関連資料とブランドのラインナップを考えると、ほぼこの程度だろう。

蒸留されたマッコリ:ラーメンのような味がする。

なぜ焼酎の味がしないのだろうか。まず、材料を見てみよう。少数の米100%マッコリを除き、市販マッコリの多くはかなりのでんぷんを含んでいる。また、これらマッコリの味は、単に発酵によってできるのではなく、アスパルテームなど強烈な甘味料を添加した酒だ。であれば、麺を思い起こさせるでんぷんの香りも不思議なことではなく、ヒリヒリするのもまた当然のことだ。また、蒸留酒の焼酎は熟成を通じて味を安定させるが、試飲会で飲んだのは蒸留したばかりの新鮮な酒だった。

年をとるだけで大人になるわけではないように、単にビールを蒸留してもウイスキーになるわけではなく、マッコリを蒸留しても焼酎になるわけでもない。蒸留ビールとウイスキーの違いは思っていたよりはるかに大きかった。品質の問題もさることながら、価格面でも悲しくなる。今回の試飲会で、市販のビール10リットル(約2万5000ウォン分)を蒸留して、アルコール度数28度の初留0.5リットル、度数11度の後留0.5リットルを抽出した。度数約20度の蒸留酒1リットルを作ったのだが、もともと酒に含まれていたアルコールの半分程度が空気中に消えたことを意味する(度数4度のビール10リットルには0.4リットルのアルコールが存在する。この酒を1リットルに蒸留した時のアルコール度数は40度になるはずなのに、20度になったということは、約半分のアルコールが飛んだのだ)。このように、1次蒸留した酒を度数40度に2次蒸留すると、約0.25リットルの蒸留酒ができる。0.75リットルの安物ウイスキー1本が2万5000ウォン程度ということを考えると、市販のビールを蒸留して作る「ビールウイスキー」の価格は3倍高い。ビール30リットル、7万5000ウォン分を蒸留すると40度の蒸留酒1本になる計算だが、高級シングルモルトウイスキー1本が買える金額であり、心地よい雰囲気のバーでウイスキーのボトルを飲める。マッコリや焼酎の関係もほぼ同じだ。

では「市販の発酵酒を蒸留してアルコール分の強い酒をつくる」のではなく、「米から焼酎」を作る価格はどの程度か。今回の蒸留実験の結果を通して、二重蒸留でウイスキーボトルの分量(0.75リットル)の度数40度の蒸留焼酎をつくるには、度数10度のマッコリ20リットル程度が必要と推定できる。20リットルのマッコリを作るために必要な米の量は約10kgであり、これはネットショッピングの最安値で3万ウォン程度だ。この量を発酵させるためにはおおよそ、5000〜1万ウォン相当の麹が必要だ。自宅で焼酎のボトル1本を作って飲むために必要な「材料原価」だけで約4万ウォンだ。ショッピングセンターに行けば、蒸留式焼酎0.75リットルを4万ウォン程度で買える。自宅に超大型炊飯器と熟成用の瓶と、その瓶を一定の温度で保管できる冷蔵室と蒸留器があれば、十分に試してみる価値はある。10kgの米を水に漬けて炊いた後、麹と混ぜ、適切な温度が維持できる場所で熟成させて、まず発酵酒を作ってみよう。そうして作った発酵酒を蒸留器で2回ほど蒸留すればできる。

発酵の過程で誤って酒ではなく酢を作ってしまうと、やや残念な結果になる。でも、一度くらい試してみる価値はあるのではないか。どんなに奇妙なことでも、何かを直接作ってみるというのは非常に楽しいことだから。

この記事はハフポスト韓国版に掲載されたものを翻訳しました。