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山本幸三議員のアフリカ蔑視発言について

「何であんな黒いのが好きなんだ」と発言し、その真意を問われマスコミ各社から報道されました

2017年12月08日 16時04分 JST | 更新 2017年12月08日 16時04分 JST

自民党の山本幸三・衆議院議員が、11月に行われたセミナーの場で、アフリカ支援活動を行う同僚を評して「何であんな黒いのが好きなんだ」と発言し、その真意を問われ「アフリカが『黒い大陸』『暗黒大陸』と表現されたことが念頭にあっての発言で、黒人を指して言ったわけではない」と説明したことがマスコミ各社から報道されました(朝日デジタル11月26日付記事「「何であんな黒いのが好きなのか」 自民・山本幸氏、アフリカ巡り発言」)。

山本議員の一連の発言には多くの批判が巻き起こりました。私の所属する日本アフリカ学会の太田至会長をはじめとする有志は、この発言について反省を求める抗議文を山本議員に送付しました。このことも多くのマスコミが報じていますが、抗議文は全文がインターネット上に公開されているにもかかわらず、その参照元を記した記事は少ないようです。そこで、以下に全文へのリンクを掲載します。

「山本幸三・衆議院議員のアフリカ蔑視発言に反省を求めます」(日本アフリカ学会有志による抗議文)

関係者によると、この抗議文はすでに山本議員のもとに配達されたそうですが、12月5日時点では先方からの反応はないとのことです。

私もこの抗議文に賛同します。ただし、個人的には、これを受け取った山本議員がほんとうに反省することはないだろうなという気がします。

しかし、では抗議に意味はないかというと、そんなことはありません。こうした発言を「スルー」してしまうと、いつしか「このくらいなら許されるのだ」というような社会的合意がなんとなく形成されてしまうおそれがあります。声を挙げることが大切だと思います。

ところで私は、報道に触れてふたつの感想を抱きました。ひとつは、差別と無知は切っても切れない関係にあるということです。もうひとつは、日本では差別主義者と言われることがたいした不名誉ではないのだな、ということです。

山本議員は最初の発言には差別する意図はないと釈明しようとして、「アフリカが『黒い大陸』『暗黒大陸』と表現されたことが念頭にあっての発言で、黒人を指して言ったわけではない」と発言しました。私はこの報道をみて、ほんとうに口をあんぐりとあけて呆れてしまいました。抗議文にもあるように、「黒い大陸」「暗黒大陸」という表現自体がアフリカへの差別にもとづく蔑称だったからです。恥の上塗りとはこのことです。

結局、山本議員は無知なのです。アフリカのことを何も知らないから、なんとなく差別してしまうのです。おそらく、ご自身には自分がアフリカやアフリカ人を差別しているという意識はないのでしょう。自分のアフリカ観が差別的であることも、自分の発言が差別発言であることも、知識がないからわからないのです。

私自身のことを反省してみます。少し前に問題化した「保毛尾田保毛男問題」について、このキャラクターが人気だった当時は、私も楽しんでいました。しかし、問題となった放送を目にしたときは、「え、いまこれをやるの?」とびっくりしました。過去と今の私のものの見方の違いは、時代とともに変化した常識になじんだというだけでなく、セクシャルマイノリティに関してそれなりに学び、知識を得ていたからだと思います。私自身の道徳心が高まったから、ではないと思います。

それに対して、番組を作っていた人たちは、そうでなかったのでしょう。しかし彼らは自分たちが無知ゆえに無自覚に差別を行ってしまったことを理解し、謝罪文で今後「正しい知識を身に着け」たい、と述べています(ハフィントンポストニュース「保毛尾田保毛男騒動、フジテレビが謝罪文【全文】」)。

差別が無知から来るのだとすると、差別発言をした人をただ糾弾するだけではなく、同時に正しい情報を伝えてゆく必要もあります。国権の最高機関である国会の議員が無知でいいのか、という問題はありますが、抗議文の内容は十分にインストラクティブなので、ぜひ多くの人に読んでいただきたいです。 また、アフリカで研究や実践活動を行っている私たちが、もっと日頃から、アフリカのありのままの姿をに紹介してゆく努力も必要だと感じました。私もこれからもっと積極的にそうした取り組みをしたいと思います。

さてふたつめの感想です。上記朝日デジタルの記事では、暗黒大陸云々、の部分は事務所を通じてなされたコメントとなっていますが、数日前に私は山本議員ご本人がカメラの前で同じことを話している映像を観ました。その映像の中で山本議員はやや笑みを浮かべながら、「黒い大陸という意味で言ったので、差別の意図など全くありません」と話していました。

映像から得る印象は受け取る側によって違うと思います。しかし、少なくとも私はその態度を「軽い」と感じました。そして何より、上に述べたように釈明はまったく的外れで、釈明自体があらたな差別発言になるという、ひどく雑なものでした。

私は海外の事情にさほど詳しいわけではありませんが、欧米で国会議員がこのような差別発言をしたら、下手をしたら議員辞職につながるのではないでしょうか。差別主義者の烙印を押されるということは、それくらい不名誉で恥ずべきことだと思います。

山本議員のこれまでの対応は、自分が差別主義者だとみなされることに対してあまりにあっけらかんとしていると思います。無知から失言をしてしまったことは仕方がないとして、その後は、釈明するにせよ謝罪するにせよ、もっと真剣に対応すべきではないでしょうか? なぜ山本議員がそれをしないかというと、おそらく、しなくてもなんとかなるからでしょう。しばらく黙っていればみんな忘れてくれる、そう思っているのでしょう。それは、それだけ日本社会が差別に寛容であることを示しています。

国会議員、それも国務大臣まで務めたような人が、アフリカに対してこのような差別発言をするというのは、国際的な恥だと思います。もし、それが「なんとかなってしまう」としたら、それはもはや山本議員ひとりの不名誉ではなく、日本社会全体が国際社会から不名誉な評価を受けてしまうことになります。

釈明が恥の上塗りだったことに懲りたのか、その後山本議員からのあらたな発信は報道されていません。しかし、ご自身の名誉を回復し、国会、そして日本社会の品位を保つためにも、ぜひ抗議文を真摯に読み、何らかの対応をしてほしいと思います。しかし、上にも述べたように、ご本人にはあまりそれを期待できません。そこで、山本議員の支持者の方、そして失言の場に居合わせた三原朝彦・衆議院議員には、ぜひ山本議員が自ら反省することを後押ししてほしいと思います。