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一丁目一番地にするのは「女性」の活躍か

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SHINZO ABE
Bloomberg via Getty Images
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拝啓 内閣総理大臣 安倍晋三様

まずは、衆院選2014、自民党の圧倒的勝利、おめでとうございます。

今年の初夏、安倍総理も出席され、ケネディ駐日米国大使らをお招きして行われた「ウィメン・イン・ビジネス・サミット」に、私も取材陣として参加させて頂きました。そこで、総理は声高らかに「アベノミクスの成長のエンジンは、ウィメノミクスである」「『女性活躍』は経済成長の一丁目一番地だ」とおっしゃっていましたね。私の周りにいた外国メディアの方たちも皆、「日本が本気になった」「今回こそは本物だ」とその姿勢を高く評価するコメントをしていたのを覚えています。私自身もその時からより一層、この女性政策に注目していた一人です。

改めて言うまでもなく、「女性」は、日本経済を活性化させる大切なキーワードです。そのコマを押すことで、ドミノ倒しのように、「雇用」「労働」「GDP」「少子化」「消費」等々、様々なものが動き出す、重要スイッチです。特にこの中でも、「少子化」は国の根幹を揺るがす大変な経済問題であり、最優先で国が取り組まなければならない重要課題です。
しかし、当の女性として、「女性活躍」を謳(うた)う政策を見聞きする度に、なぜか、ふに落ちない思いにかられるのです。

マニフェストを読んでいてつくづく思ったことがあります。女性を指導的立場に就かせる目標を立てるのもよし、女性が希望する就業形態を確保するもよし、自治体での取り組みを支援するもよし、ベビーシッター・家事費用の支援策導入も、保育所・保育士の拡充も素晴らしい。けれど、これらはある意味で、既存の道をそのままなぞることに他ならないような気がするのです。

つまり、「ワーママ」として頑張っている女性達にとって、これらの政策には目新しさが一つもないのです。

保育園も大変だったけれどなんとか入れた、シッターも使ってみた、自治体のサービスも利用している、時短のおかげでテレワークで働いている、結果、短時間で成果を出す生産性にも寄与している。与えられた環境の中で、家庭も守り、仕事も諦めない。既にやってきていることばかりなのです。

さらに言えば、どれもこれも、使えるものは使って、工夫できるところは工夫しろと、女性ばかりが、ただひたすら「頑張れ!頑張れ!」と言われているような気持ちなるのは私だけでしょうか。

その結果、何が起こっているか。それは火を見るより明らかです。

女性は長時間労働を余儀なくされる「指導的地位」への積極的就労を拒否し、半数を超える女性たちが仕事と家庭の両立に困難を感じ、離職を選び、キャリアトラックに乗っていた女性達は、出産後、時短と引き換えにキャリアを捨てる―。

つまり、このマニフェストに書いてある「女性政策」では、全く同じことが繰り返されるだけのように思えるのです。

女性達は「私たちに権利を!」などと声高に叫んだりはしません。ただただ、諦め、黙って、立ち去っていくのみなのです。

問題なのは、この政策の中に、女性活躍を支える「夫像」「男性像」がまるで描けていないことなのではないでしょうか。彼らもまた、スポットライトを当てられるべき人たちではないかと思うのです。

「すべての女性が輝く社会の実現を」ではなく、「すべての働くお父さんが輝く社会の実現を」というようなスローガンにしたら、もう少しは"あるべき社会"の姿に近づけるような気がします。

例えば、同じ数値目標ならば、女性の指導的地位にある者に占める女性割合を3割にするのも素晴らしいけれど、それよりも、主要国の中で圧倒的に低い、日本の男性の家事・育児参加率を上げる目標値を作った方が賢明なのではないでしょうか。もし、この参加率が上がったならば、男性が保育園の送り迎えを担当するなど、女性達のみが時短を選ばなくて済むようになります。また、女性のワーク・ライフ両立の負担を減らせることが出来、離職という道を選ばなくてもよくなります。その他、男性が積極的に家庭の時間を増やす結果、全般的な長時間労働の是正、生産性の向上に繋がるのではないでしょうか。

私達女性は、この「女性政策」によってウーマンリブを訴えようとしているわけではありません。そして何より、私達女性が目指している世界と、政治が目指している社会は一致しているはずです。「日本の未来を担う子どもたちにとって、よりよい社会にしていきたい」、それに尽きるのではないでしょうか。

だからこそ、「女性」の一側面だけに特化したスローガンではなく、「女性」を取り巻く問題や課題をきっかけにして、包括的に社会を改善していける、そんな政策と運営を期待しています。

敬具