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「唯愛」「碧空」「奏夢」、今年人気のキラキラネームは読める? 親が「名前負け」ネーミングをつけてしまう理由を専門家が指摘

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今年の名前1位は「大翔」と「葵」

今年も「子供の名前」調査の結果が明治安田生命保険から発表されました。最も多い男の子の名前は2年連続で「大翔」。そして、女の子も2年連続で「葵」が1位となりました。

特徴的なところでは、男の子の名前に、「圭」「航平」などスポーツ選手の名前が増えた点。プロテニスプレーヤーの錦織圭選手の「圭」は、昨年は878位でしたが、今年度の活躍が影響してか60位にランクアップ。また、リオオリンピックに出場した体操・内村航平選手の「航平」も312位から41位に。

女の子の名前では、「葵」「さくら」「花」などが上位にランクインしており、自然や植物を想起させる名前が人気のよう。また、女の子の1位の「葵」が、男の子のベスト10にも入っており、同じ名前が男女のベスト10に入るという変わった結果も出ていました。


2016年年間キラキラネームランキング1位は

一方で、キラキラネーム。

最近はみかける機会が減ったと思っていたのですが、スマートフォン向けアプリ「赤ちゃん名づけ」を提供するリクルーティングスタジオが「2016年年間キラキラネームランキング」を発表。同ランキングは、年間でアクセス数の多かったキラキラネームを発表したものです。

気になる1位はと言いますと、「唯愛」(いちか、ゆめなど)となりました。数年前の「ナウシカ」「ピカチュウ」などに比べると、いくぶんブレーキのかかっている印象です。他の名前を見ても、2位「碧空」(みらん、あとむなど)、3位「優杏」(ゆずなど)、4位「海音」(まりんなど)、5位「奏夢」(りずむなど)などに。とはいえ、このように変わった名前を付けようと思う方は、少なからずいるようですね。

「他の子供と同じ名前にしたくない」、という親御さんの気持ちは理解できるものの、あまりに尖った名前を付けるとキラキラネームと言われてしまいます。また、その間をとって、「前向き過ぎる名前」もまた、お子さんを苦しめるのではないかと危惧しております。そんな「名前負け」について、命名研究家の牧野恭仁雄さんが自著『子供の名前が危ない』で、詳しく語っています。

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「名前負け」しそうな名前を付けてしまう理由

例えば、「正」という名前について。「正」という漢字は、最近はあまり使われませんが、昔から好まれたものの一つ。

「正しく生きてほしい」という願いを込めたのでしょうが、全員がそのように生きることはありません。この漢字を使った犯罪者がいなかったといえば、そうでもありませんよね。そんな「名前負け」のからくりを牧野さんが分析。

「正」という子供の名前を考える時には、2つの心理状況があります。一つは、「きっと自分の子だから、正しい生き方をしてくれるのだろう」という気持ち。そして、もう一つは、どこかやましい心当たりがあり「何かまちがったことをしでかすといけないから、正の字をつけておこう」という気持ち。前者はポジティブで、後者はネガティブ。

後者の場合は、名付け親が不安を消すために子供に「正」という字を用いているのです。すると、この不安の方がより実現してしまうことも。というのも、不安があるということは、「心当たりのある環境や親の性質があるから」と牧野さんは指摘します。

これは珍奇なネーミングをつけてしまう心境にも通じるものがあります。個性的でユニークな名前は親としても、「してやったり」とした気持ちがあるでしょう。しかし、その反面、劣等感や欠乏感、孤独感を持ち合わせていることを忘れてはいけません。


根底にある『自分はこうでありたかった』という気持ち

「珍奇ネームにこだわる人の心のなかには、『自分はこうでありたかった』『自分にはこれがない』という無力感が働いています。その結果、ことさら名づけの基本を無視して脱線し、『世の中の常識なんかに左右されない』『自分の個性を発揮して名づけをしている』という逸脱した形をとることになるのです」(同書より)

珍奇なネーミングをしてしまう背景には、「人のつけない名前をつけて目立ちたい」という思いがあるようなのです。それは、周囲の評価や人の目を過剰に気にしている状態と言えるでしょう。自分に足りていない部分があるからこそ、それを補うために「自分は常識とはちがうことをしたい」という発想になるのです。

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「名付けこそ、自分が主導権をもって行った証であり、なおかつめずらしく見た目もよければ、自分の心が満たされることにもつながります。だからそういう名前をキラキラネームと呼びたくなるでしょう。言いかえれば『主導権がない』という欠乏症、『力がない』という無力感が、珍奇ネームを生んでいるのです」(同書より)

専門家の指摘に「なるほど」と思うことばかりです。やはり、名前を付ける親が親としてしっかり成長していることが大切。

「自分はこうでありたかった」「自分にはこれがない」といった、若かりし頃の葛藤とうまく向き合って、また、整理できている大人になることが、良い名前付けの近道となりそうですね。いかがでしょうか。