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住みながらのリノベーションは当たり前? ベルリンの住宅事情

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こんにちは。ライターの久保田由希と申します。1年ほどベルリンに住んでみようと2002年にやって来たら、2015年となった今年も未だにここで過ごしています。

思いがけず長い滞在となったのは、たぶんこの街が肌に合っているからなんでしょうね。日曜日は、どこもかしこもお店が休み。コンビニもない。お金持ちが少ない。平日昼間から、大人たちがカフェや公園でくつろいでいる。ベルリンは、ヨーロッパ経済を支えるドイツの首都、というイメージをあっさりと裏切る街でした。忙しい東京からやって来た身には、そんな生活が人間の生理に合っているように感じたのです。

住環境の魅力も、ここに滞在し続ける理由の一つです。家賃の水準は上がり続けていますが、それでも東京よりはまだ安く、しかも広い。

ベルリン中心部の住まいは、5〜6階建ての集合住宅が基本です。築100年以上から新築まで、建物の築年数は幅広いのですが、多くは1900年前後に建てられたもの。その時代のアパートは天井が高く、室内は優美な装飾が施されていて、賃貸・分譲ともに人気があります。

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1900年前後に建てられたアパート

もちろん室内は時代とともに整備・改装されているので、築100年以上でもセントラルヒーティングや、ちゃんとお湯の出るバスルームがあり、快適に暮らせます。

たとえ賃貸アパートでも、入居時は棚もカーテンレールもない状態が普通なので、ドリルで壁に穴を開け、設えなくてはなりません。この程度の作業は、自分でやるのが当たり前。当然ながら、電動ドリルドライバーは一家に一台の必需品となり、否応なしにDIYに勤しむことになるわけです。

面倒だなぁと思われるかもしれませんが、自分仕様に設えることができるのですから、使い勝手は最高。壁を好きな色にペイントしたり、きれいな壁紙を張るのも自由です。これもプロに頼まず、自分でやる人が多いです。

さて、この程度ならいたって普通なのですが、間取り変更を含む大がかりなリノベーションを、自分たちでコツコツと行っているカップルがいます。

「アパートを買った」

そう聞いたのは3年前のことでした。築100年以上のアパートの、同じフロアで隣り合わせに並んでいた2世帯分の住居を両方とも購入した彼らは、自分たちで理想通りにリノベーションすると言います。節約のため、自分好みに仕上げるため、作業そのものが苦でないため、プロに頼まず自分たちでやるそうです。

カップルの男性は建築関係の仕事に就き、女性はクリエイターなのでそう考えるのもわかりますが、160㎡もあるアパートをどうやって2人でリノベーションするというのでしょう。しかも着工は入居後だというのに。

そんなこちらの心配とは裏腹に、彼らは工事現場と化した新居に住みながら、最初にバスルーム、次に寝室と、ひと部屋ずつ完成させては次の部屋に着手するという方式で、徐々に住まいを造り替えていきました。

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キッチンのリノベーション

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物置のリノベーション

私が半年に1度ぐらいの割合で見に行くたびに、空間はゆっくりと、でも確実に変わっていくのがわかりました。各部屋の壁や床、天井ごとに自分たちの好みと意図を反映させており、質問すると細かく解説してくれます。

入居から3年以上が過ぎたいま、コツコツと続けて来た2人のリノベーションは終わりに近づいてきているようです。ごく一部を除いて、本当に自分たちの手でやり遂げたことに驚くやら、感動するやら。

これは稀なケースですが、ドイツ人の住まいにかける情熱を垣間見た思いでした。正真正銘の「マイホーム」、きっと愛着もひとしおでしょう。


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歩いてまわる小さなベルリン」(大和書房)

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