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CNN「年間6400人以上の子どもが性犯罪被害」は本当か?

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CNNが1月31日、「日本で広がる『JKカフェ』暗い側面」という記事を公開した。この記事は、秋葉原を中心に日本では依然として子どもの売買春が増えている、という内容だ。そして文中には、こう書いてある。

警察庁が発表した14年の白書によると、虐待の被害にあった子どもは11〜12年にかけて20%増加。13年には、6400人以上の子どもが性犯罪の被害に遭った。この中には児童ポルノ関連1644件と児童買春709件が含まれているという。(太字加工はPlatnews編集部)

年間で6400人、つまり1日に20人近くが性犯罪の被害に遭っているという。しかし、本当だろうか?「援助交際」という言葉が流行語入賞となった1996年(20年前)であれば別だが、今でも1日20人近くが性犯罪の被害に遭っているというのは違和感を覚える。

そこで実際にソースとなっている警察白書を見たが、確かに2013年度の福祉犯の被害少年数は6412人となっている。だが、「福祉犯」には未成年者飲酒や喫煙、労働基準法なども含まれており、ソースとしては適さないだろう。

また、福祉犯は被害少年数の数字を引っ張ってきているが、「児童ポルノ関連1644件」は検挙件数で引っ張ってきており、実際の被害者数646人とは大きく異なる。福祉犯の検挙件数は7687件で、いかに児童ポルノや児童買春が多いかを伝えようとしたと思われる。

しかし、近年増加傾向にあるのは事実のようだ。2012年に1002人だった児童ポルノ・児童買春被害者数は、2014年には1212人に増えている(約20%増)。ただ、2011年は1219人、2010年は1355人、2005年は1750人と全体としては減少傾向にある。むしろ2012年だけが少なくなっている(本文の趣旨とは関係ないが未成年者の喫煙が大幅に増えており、2007年の約20倍=91人から1105人になっている。おそらくそれだけ取締りが厳しくなっているということだが)。

誤訳の可能性も考えて一応英語版の記事も見たが、内容は同じものであった。

確かに日本は「子どもの権利条約」に批准しながら里親や特別養子縁組の取組みが遅れているなど子どもへの人権意識が弱く、児童ポルノ漫画などが問題視されているのも事実だが、このように英語で虚偽内容が広まり、日本のイメージが悪化するのはソフト・パワーが重要になっている現代において大きな痛手であろう。

昨年には国連特別報告者が記者会見で日本の女子生徒の13%が「援助交際」を行っていると発言し、日本政府が抗議したが、今後はこういった取り組みがより重要になってくる。

日本は海外からの情報や発言に弱いが、闇雲に信じるのではなくきちんと内容を確認するよう心掛けたい。

(2016年2月4日「Platnews」より転載)

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