BLOG

アベノミクスはデフレ脱却の特効薬になるか

2013年05月05日 21時31分 JST | 更新 2013年07月06日 18時12分 JST

昨年の暮れから、「アベノミクス」とも呼ばれる金融緩和と財政出動による景気刺激策が採られ、デフレ脱却と景気回復への期待が高まっています。景気には「気」の側面もありますから、水を差すような指摘は避けたいと思いますが、短期的にはともかく、中長期では負の遺産ばかりが残るのではないかと、危惧しています。

過日の予算委員会における質問で、前回2002年から2008年にかけての時期、つまり過去最長の景気回復期と言われながら、デフレは続き平均給与は下がり格差の拡大ばかりが残った時期とどう違うのか、安倍総理に問いただしました。その答えは、前回は2006年に金融緩和をやめたのに対し、今度はデフレ解消まで金融緩和を続けるというものでした。では、金融緩和を続ければ本当にデフレは解消するのでしょうか。

金融緩和の結果として円安が続けば、その分輸入物価が上昇し、見かけ上、全体としての物価も上昇するでしょう。しかし、こうしたコストプッシュ型インフレでは、賃金やひいては国民生活の向上につながるどころか、むしろマイナス要因にしかなりません。安倍総理もその点は認識しているようで、私の質問に対してさかんに、「値上がりすると思うから、消費や投資につながる」という、いわゆる駆け込み需要論を繰り返していました。

しかし、この20年ほどのデフレ傾向は、値上がり期待で反転させられる性格のものとは思えません。駆け込み需要論は、買いたいと思う潜在的需要と、買おうと思えば買えるという購買力の存在が前提です。この20年ほどの間に、中間層が減って貧困層が増えた上に、中間層の所得も減少傾向にあります。しかも、戦後復興と高度成長の成果として、多くの「モノ」が幅広く国民各層に行き渡っています。最新ではないにしても、多くの家庭に耐久消費財が備えられており、例えば自動車や冷暖房なども、備えられていないとすれば購買力を欠く貧困層に限られるという社会になっています。エネルギーや食糧など、生活に欠かせない輸入物価が上昇する中で、買い替え需要が中心となる弱い潜在的需要を引き出すためには、所得の継続的上昇に対する相当な期待が先行する必要があります。

そもそもこの間のデフレの要因は、人口減少を含め社会の成熟化による需要そのものの減少と、中間層の貧困化という構造そのものにあると思います。成長期とは異なるこの要因に正面から向き合わない限り、同じ失敗を繰り返すのではないでしょうか。