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日本に疑問を感じている日本人が多いワケと私の考え

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どうも、wasabi(@wasabi_nomadik)です。

私のブログでは語学からフリーランス関連、インタビューや難民関連情報、ファッションに食、コミュニケーションまでかな〜り雑多に発信していますが、その中でも「コミュニケーション」関連の記事はけっこう読まれています。

ちょっと前に書いた"日本で「コミュ障」だとしても、海外でもコミュ障とは限らない"という記事はハフィントンポストへの転載をきっかけにバズを起こしてSNSでも色々なコメントをもらいました。

日本で「コミュ障」だとしても、海外でもコミュ障とは限らない | WSBI
http://wsbi.net/disorder

たくさんシェアされた記事に関しては通常、賛同の意見を多くもらい、異議を唱える系の意見もパラパラ見かけるのですが、今回の記事に関しては意外な程に賛同の意見が圧倒的に多くて自分自身ビックリしました。

なぜなら、私はそんな日本のやり方が合わないな〜と思って国外へ出た「日本の中のマイノリティ」であって、まさか、日本国内にいる一定数の人も、どこかしら日本的なコミュニケーションや社会のあり方に窮屈さを感じているなんて意外だったのです。

言い方を変えると、みんなそのことに一応「無意識ではない」ということなんです。

最近気がついた事があります。一方、ベルリンに住んでいるドイツ人で「ドイツ的コミュニケーションが合わない」と言っている人に今まで会ったことがないんです。

私はまだ8ヶ月しかこちらにいませんから、ドイツ人のことをよく分かっていないかもしれませんが、それでもベルリンにいる人の多くは、けっこう幸せそうに見えます。

しかし、どうして日本にはここまで日本的コミュニケーションや社会に違和感を持っている人が多いのか?私なりに考えてみた事をシェアします。

日本人自身の持つ価値観が変容した〜欧米的な価値観との融合


「日本にいて何かおかしいと思うことがあるけど、それが何なのかはっきり分からない」という人に多いのが、意外と自分自身、欧米の価値観を受け入れている部分があることに気がついていないということです。

これはもしあなたが英語を全く話せなくても、海外に行ったことがなくても、海外のメディアに影響されていなくても関係ありません。ただ日本に住んでいるだけでも、十分欧米の価値観に良くも悪くも影響を受けている可能性があります。

例えば近年学校教育でもよく言われる「個性を伸ばそう」とかそれの代表だと思います。日本的な価値観で言えば、「個性」よりも「和」が大切なのはよく知られている事実だと思います。

「個性を伸ばす」ことのメリットも皆分かっている。

でも今の社会はそのような「個性的」な人を受け入れる基盤がない。

だから、理想と現実の狭間で苦しむことになっている気がします。

japan

少し話はそれますが、「日本はグローバル化している」とよく言われます。

こう言われても、見た目には「渋谷に外国人が増えたな〜」くらいで、そこまで何がグローバル化してるかって実際には実感できないかもしれません。

でも、もしあなたが日本的なコミュニケーションに違和感を持っているとしたら、それはれっきとした「あなたの価値観のグローバル化」によって引き起こされている現象だと思います。

そして、こういう現象は何も日本だけで起こっていることではありません。
例えばドイツでは逆に西洋的な考えである「合理性」や「理論」を求めるだけではなく、東洋的なスピリチュアルに関心を持つ人がすごく多いのです。

ドイツの場合、ハイデガーやショーペンハウアーにニーチェという、仏教に近いところで物を考える人がいた影響もあって、東洋の哲学は大変見直されています。

だから、こういう価値観のグローバル化は日本のみならずいたるところで起こっています。
西洋も東洋もお互い影響し合っています。それは良いとか悪いとかそういう問題ではなく、そういうものなのですね。

もうすぐ西洋か東洋かなんてそんな分類が古くなる時代が来るでしょう。今はインターネットの影響で実際そうなってきています。

それでも、ドイツには「ドイツの社会が窮屈だ」と嘆く人は、日本のそれほど見かけません。
何が違うのでしょうか?

価値観が変容しているのに社会の対応するスピードが遅い


私は、この問題はこれに尽きると思っています。
ドイツ社会だって、問題が全くないわけではもちろんありません。その証拠にドイツでは日本よりも頻繁にいろいろな問題に対してすぐデモが起きます。環境問題、DV問題や女性の権利を訴えるデモ、動物愛護に政治関係まであらゆるジャンルで問題提起をする人がたくさんいます。

ここで私が日本との違いを見るのは、デモや問題の呼びかけが社会的な影響力を持っているということです。例えば昨年10月に行われたTTIP(日本で言うTTP)へのデモは25万人ものベルリン市民が集まりました。

それでもドイツ政府はまだTTIPを締結したいそうですが、ここまで国民の意識が高いと政治の透明性を大切にしなければならず、秘密下に締結するとしても政府はかなり動きにくいのです。こうなればメディアも市民も一応政府を監視する役割を果たしていると言えるのではないかと思います。

こうしてTTPという日本でも同様にあった同じ政治テーマに関してもドイツの市民が出した反応は全く違います。

また、ドイツは移民の多い国です。色々な価値観が共存する社会なので、社会もそれに合わせて多様化して、いろいろな価値観や信条を持つ人が共存できる社会に近づこうと対応しています。

私が一番それを身近に感じるのは、やっぱり食です。ドイツのベジタリアン対応には目を見張るものがあります。

ドイツと言えば皆さんもご存知の通り「ソーセージとビール」という、もともとはかなり肉食な国のはずなのにそこは柔軟に対応できているのです。

でも、それはドイツが"親切にも"多様性に対応したというよりかは、必要に迫られてのことであった部分が大きいと思います。ベジタリアンメニューがなければ事実として客が入らなくなるからです。

日本に住む在留外国人はわずか1.7%と少なく、人口を占めるのはほとんど日本人です。そのため、「日本人自身の価値観がグローバル化」しているだけではその事実も見えにくい上に、実感もしにくく、社会の対応スピードは圧倒的に落ちます。

先程も言ったように、日本人はこのことに「無意識」ではないと思うのです。
無意識というのは、日本的コミュニケーションや社会のあり方が良いか悪いかという尺度で考える事さえしません。

ここで大切なのは自分が良いと思っている価値観をもっと周りと話し合ったり、シェアすることだと思っています。

日本の社会の空気感ではこのような話を友達とすることさえタブーなのかもしれませんが、私の記事への反応からも分かるように、案外同じように疑問を感じている人って多いのではないでしょうか?

そうやって、一人一人がその違和感を「意識」して、共有していくことで社会全体でそのことについて「無意識」ではなくなると思います。というか、「無視」できなくなるのです。

今の段階では、個人レベルでは意識していても、社会全体では空気が出来上がっていないので、多様性を尊重することや、従来のやり方を変えなければいけないということを「無視」してしまっているように見えます。

私が言いたいのは、日本が完全に西洋化すれば良いという難しい話ではなくて、皆で「良いとおもうものは良いと素直に良い、悪いと思う物は素直に悪いと意見交換する」ことが、社会の空気を変えて行くのに大切なのではないか?ということです。

と、またまた長くなってしまいましたが・・・。

私はそうしていつも、西洋と東洋の良いところをうまく取り入れて生きていけたらいいな、と思っています。
今は簡単に地球の裏側の価値観や社会のあり方を覗き見して、参考にできる良い時代だと思います。せっかくより善く生きることができる世の中なのに、社会の空気感でそれが押しつぶされたらもったいない。

そんな風に考えるきっかけをくれたのは、私が勝手に大尊敬する科学者清水博さんのこちらの本です。

生命知としての場の論理―柳生新陰流に見る共創の理 (中公新書) | 清水 博 | 本 | Amazon.co.jp

少し難解ですが、氏の人柄の良さが分かる柔和な口調で語られており、こうした話題に興味のある方はきっと得るものがあるとおもいます。

また、ドイツ哲学と仏教の関係、特にニーチェのニヒリズムと仏教的な「無」の関係を読み解きたい方にはこちらの本もかなりおすすめです。私もまた読み返したいなぁ。

ニヒリズムと無―ショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明 | 橋本 智津子 | 本 | Amazon.co.jp

参考URL:
http://www.theguardian.com/world/2015/oct/10/berlin-anti-ttip-trade-deal-rally-hundreds-thousands-protesters
http://www.reuters.com/article/us-trade-germany-ttip-protests-idUSKCN0S40L720151010
http://www.euractiv.com/sections/trade-society/german-government-hits-back-after-ttip-demo-318464
http://newsphere.jp/national/20150303-imin1/

(2016年1月4日「WSBI」より転載)

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