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日本の生きづらさはどこから?わたしは“おもてなし”から

 ねぇねぇ日本、疲れてない?

2017年08月29日 12時18分 JST | 更新 2017年08月29日 16時12分 JST

こんにちは。UmeeTという東大発オンラインメディアのライターをやっていますゆみと申します。

わたしが今回書きたいのは、日本の「お・も・て・な・し」についてです。

​​​​​​​みなさんは「おもてなし」にどんな印象を持っているでしょうか?日本の伝統?え、もうとにかく滝川クリステルの印象しかない?

わたしにとっては、おもてなしは、とてつもなく怖いものです。

「なに言ってんだコイツ」って思ってる人と、「若造、あんたが言おうとしてることはだいたい検討ついてるよ...フッ」って人が今いると思うんですけど、ぜひぜひ最後まで聞いてください。

「最高のサービス」の代償

外国人の友達が、日本に来た時に、ほぼ必ず言われることがあります。それは、

「日本の店員さんてめっちゃ感じ良いじゃん、『こんにちは!』ってすげー笑顔で言ってくるんだけど、まじなに、やばくね?こんなんウチの国じゃありえないわ〜」

(2017年に自分のことウチとか言ってて許されるの、新井浩文くらいです。とても好きです。)

でも、そうやって日本を褒めてもらっても、嬉しくなくて、むしろ内心複雑な気分になるばかりなんです。

なぜかというと、日本の「最高のサービス」を生むおもてなし文化には、働く人が本来の仕事以上のことを当たり前のように求められる(しかもあまり感謝されない)という大きな代償があると思うからです。

しかもあまり感謝されないというところもポイントで、このおもてなし文化の中では、「最高のサービス」があまりにも当たり前になりすぎて、お客さんがそのサービスの良さに気づくことすら稀だと思います。

それどころか、「お金を払っているんだから無理な注文をつけてもいい」と思っているような人もいたり、いなかったり......。

私も昔、接客業アルバイトをしていたことがあって、いろいろなお客さんがいました。

閉店時刻に来て、アイス1コだけ買って、アイスに保冷剤つけてっていうから、閉店準備で閉まった保冷剤を掘り起こしてたら「もう遅いわねえ!」って言ってくる人とか。

いっつもペットボトルのお茶一本しか買わないくせに、「一番大きい紙袋三枚重ねてね」って言ってくる強者とか。(心臓に剛毛生えてますね)

もしみなさんが店員だったら、どう対応しますか?

キレちゃいますか?いやキレるのはないとしても、無理な注文を断れますか?

日本のサービスってすごいなあとわたしも思います。お客さんは「こんにちは」も「ありがとう」も言わない人が多いのに、店員さんはにこにこ笑顔で超良いサービスを、提供していて。

最高のサービスを特別な高級店でなくても提供できるのが日本の強みなのかもしれません。「お客さん」には天国です。

日本で働くことはなく常に「お客さん」として何日間か過ごす外国人のお友達が、褒めちぎるのもわかります。

でも、店員として働く立場になってみると、

日本のサービスを外国人の友達に褒められても、

「でしょ!?まじ日本やばいっしょ!良い国すぎ〜!」なんてなかなか言えないです。

ここまで読んで、「でもスーパーでなんか働かないし、僕には関係のない話だわ〜」って思った人

このおもてなしループ(もとい、地獄)は相当手強いです!

他人事じゃない"おもてなし"の怖さ

「他人からの期待以上のサービスを、商品を、提供してあげたい」ていうおもてなし精神は、クライアントがいる仕事なら全部に言えることではないでしょうか。

今年の東大の学祭で、「『新しい働き方』を考える」講演会(詳しくは、東大新聞オンラインを)に行ったとき、総合広告代理店で過労死してしまった高橋まつりさんの遺族代理人を務めた川人弁護士(実は東大の先生でもあります。)は以下のようなことを言ってました。

過労は特定の会社だけの責任ではなく、日本全体にあるクライアント至上主義、「お客様は神様」という考え方も問題になっている。クライアントからの無茶な要求にも応えなくてはという風潮が未だ根強い。

って。(発言そのままではないです。私がメモしたものを元に書いてます)。

「他人の期待を上回る良いものを作ろうとか、良いものを提供しよう」っていう思いに悪気はないだろうし、それが質の良いものを生み出すこともあると思うけど、日本人に根付いた「おもてなし精神」が私たち自身を苦しめているところもすっごいあるんじゃないですかね?

Getty Images/iStockphoto
Accurate 3d render of Japan map

( ねぇねぇ日本、疲れてない?本当、まだいける?)

スーパーとかやっすい飲食店で良いサービスを受けて当たり前って思う人がいるのもわかる。

たぶん、その人たちも自分の仕事の中ではお客様・クライアントに「おもてなし」してるんだろうと思う。

なんか、でもそれってすごい嫌〜〜〜〜〜!

「おもてなし」が当たり前になっちゃってて、一生懸命働いてサービスすることが感謝されないことになってるんじゃ?って思うんです、若造の私は。

おもてなし精神が日本津々浦々に行き届き過ぎちゃってるせいで、

「時給900円でめちゃ笑顔接客」も、

「突然のクライアントからの注文変更に迅速対応」も

本当は感謝されるべきこと・すべきことなのに、それが当たり前のことになってきてるような気がします。

じゃあ、どうすんだ?

このおもてなし地獄ループからどうやって逃ればいいんでしょうか?

正直、わたしもまだまだ模索中です。解決策が思いつかないせいで、接客業笑顔ほぼゼロなエストニアで卒業後働こうとエストニアでの就活も試みていました。

ゆみ

( 写真: エストニア首都タリンの旧市街。今年の2月に行きました。)

「働き方改革」とか言ってるけど、日本から過度なおもてなし文化がなくなるのはまだまだ先だろうし、わたしが働く頃にはまだクライアント最優先みたいな風潮が根強い気がして、日本で働くことに不安を感じていました。

が、悲観的になっていても何も生まれないので、気を取り直して、

わたしなりに思っている解決策を初級編、中級編、上級編に分けて紹介させてください!

暫定解決策

初級編:「ありがとう星人」になる。

良いサービスを受けたら、ちゃんと感謝を伝えてみたら良いと思います。「これは当たり前じゃないんだ、すごい良いサービスなんだ」って意識してみるということです。

すると、「サービス」と「本来のお仕事」を線引きできるようになるはずです。

スーパーの店員さんがめちゃくちゃ優しかったら、「ああこの人のお仕事は本来レジをピッとすることなのに、優しさというサービスまでしてくれてる」って線引きしてみてください。

これは結構簡単ですが、自分でやってみるとわりと効果があると感じています。

中級編:すんばらしいサービスじゃなくても苛つかない。海外だったら?と考える。

いくら日本といっても、まあまあのサービスに出会うこともありますよね。でも、その時に「海外だったらイラつくか?」って考えてみるとどうでしょうか。

多分ほとんど苛つかないんじゃないですかね?日本人の対日本人のサービスの期待ってものすごく高いと思います。外国の人が同じ態度でもイラつかないのに、日本人だと「態度悪!こっちは金払ってるのに!」って思うのは何でなんでしょうね。

......ここで手厳しい読者の方から「当たり前のことばっかり言ってんじゃないねえよ」って声が聞こえてきそうです。おもてなしへのモヤモヤはすごいあるんです、でもそれにどう具体的に対抗していけばいいのか、正直わたしもまだ模索中です。こういう策があるよって人はどしどし教えてください!

最後に、

上級編:わがままになることです。

これはおもてなし受ける側、じゃなくて、自分がおもてなしする側の話ですね。過剰なおもてなし・サービスをお客様/クライアントが当たり前のように求めてきたら、「いや無理っす!」って断っちゃうこと。

おもてなしが当たり前じゃないって主張したいです!

いらすとや

( 「No」と言える人になりたい)

でも、これ、難しいですよね。

私はこういう時にわがままになれてしまう人がすごい好きで尊敬します。例えばインターン先で「それだけの仕事量を頼むなら時給上げて下さい」って上司に食い下がって時給が一気に1000円上がった友達とかすごい尊敬してしまう。「私にはまだ無理だ...そのレベルには達せられない...!」って思いますが。

でも、初級編と中級編の解決策では不十分だとも思っています。

他人からのおもてなしに対して感謝できるようになっても、自分がしたおもてなしがお客様/クライアントから感謝されるようになるとは限らないからです。

むしろ、もっとイライラしだすかもしれない。

サービスと仕事の線引きをするようになると、「自分が仕事だと思ってやってたことって、大部分が、本来やる必要はなくて、もしやったとしたら感謝されるべき、"おもてなし"じゃん」って思うようになるからです。

「私は自分の仕事以上の事をして"おもてなし"してんのに、お客さんは感謝もしてくれないし!」っていじけだすと思います。

自分だけじゃなくて、自分のお客さんもサービスと仕事の線引きができてないといけないんですよね。

そうです、だからこの記事書いてるんです。

全ホモサピエンス、特に日本在住の人たちがおもてなしを当たり前だと思わないようになればいいと願って!

それで、おもてなしが当たり前じゃなくなったあかつきには、今は相当の猛者ではないと不可能だと思われる、上級編の「断る!」っていう解決策も、使える人が多くなると思います。

え?なんだって?「そんなこと皆がしだしたら、良い仕事ができなくなる」!?

でたな、妖怪、タニンヘノ・キタイ・タカスギン!

いらすとや

(オニ科オニ属、妖怪タニンヘノキタイタカスギン。特徴:他人への期待が高すぎる)

仕事以上のサービスを他人にも要求して、その人の幸せよりも良い仕事を優先したい人は、もう1人で仕事して下さいよ、お願いしやす!巻き込まないでっ!妖怪は妖怪同士でつるんでおくれ...

でも、ここまで書いてて思ったんですけど、こんなにもおもてなしが嫌な私の方こそ、妖怪だったりして............。

そういえば梅雨になると、頭の皿がよく潤うんだ。

好きな色が緑だったのも、もしかしてそうゆうこと......?

いらすとや

( こうゆうこと。)

以上、『妖怪はあなたの側に......?』でした。<おしまい>

じゃなくて。

オチは何にもないんですけど、若い私たちの世代から、「"おもてなし"やめていかね?」っていうクールでナウな(死語)提案でした。

とりあえず、店員さんに「ありがとうございます」って言うとこからはじめてみませんか?

(2017年7月19日「UmeeT」より転載)