海外に住んで分かった、日本の保育園はやっぱりすごい

日本の認可保育園の高品質、かつ、低料金、は世界でも珍しいのではないでしょうか。

日本の保育園の制度をどう思いますか。

私の日本の保育園に対する考え方は、海外生活を経験して大きく変わりました。私が今になって気づいたこと、2つ紹介します。

1. レベルが高い

日常生活の中でのしつけはしっかりしているし、外遊びや室内遊びはバラエティ豊か、季節の行事や歌もたくさんあります。

イギリスにいた時、イギリスのいくつかの保育園に子どもを預けた経験がある日本人のお母さんからこんな話を聞きました。

「2人目の子を日本で出産した時、上の娘を日本の保育園に預けていたのだけれど、すごくきめ細かく先生がみてくれて、驚いてしまったくらい。日本は違うと思ったわ。お姉ちゃんになる子どもの精神的ケアもしてくれて、至れり尽くせりという感じだった」

確かにイギリスにもオランダにも、立派な施設で、先生が熱心な保育施設はありますが、こんなにきめ細やかなものではないように感じます。日本で私の子どもが保育園に通っていた時、保育園の連絡帳の細かさといったら、クラス全員の子どもにこれだけのコメントをいつ書いているのだろう、と不思議にさえ思いました。どんな遊びをしたとか、食事をよく食べたとか、どの絵本が好きとか、誰とどんな関わり合いがあったとか。

イギリスで私の子どもが通っていた保育園にも、連絡帳のようなものはありましたが、基本的に「元気に過ごしていました。大丈夫!」というようなコメントが多かったです。私が心配症で子どもの様子を知りたがっている、と思われたのかもしれません。文化の違いなのでしょうけれど、日本の保育園のきめ細かい先生とのやり取りが懐かしく思いました。

2. 保育料が安い

日本の保育園が安いってそんなことない、と思われた方も多いでしょうか。確かに、認可保育園では所得によって費用が変わりますし、子どもの年齢が小さいほど保育料も高くなります。認可外になれば、認可保育園より高くなります。

かつて私が住んでいたイギリスは、共働きが多いイメージがありますが、保育園の費用は概して日本より高いです。3歳になると公的補助として週15時間無料で保育を受けることができ、3歳の子を受け入れる公立の保育園もありますが、それまでは私立の保育園かベビーシッター(ナニー、チャイルドマインダー)に預けます。

私立の保育園で週5日フルで子どもを預けるとしたら、1ヶ月の保育料は15万円くらいはかかります。より良い園を選ぼうとすればもっと高額になります。所得の低い人などには手当もありますが、かなりの負担です。

オランダは福祉が充実した国で共働き家庭も多い、と言われていますが、実はオランダにも公立の保育園がありません。4歳から無償で学校教育を受けることができますが(義務教育は5歳からです)、それまでは、私立の保育園かベビーシッターに預けることになります。

私立の保育園の場合、保育料は、週5日フルに通うと、月20万円程度になります。イギリスよりも高い印象でした(ただし、政府から託児所補助金が支給され、自己負担額は少なくなります。労働時間や所得によりますが、日本の認可保育園よりは負担が重くなりそうなイメージです)。

日本の保育園はすごい、でも

日本の認可保育園の高品質、かつ、低料金、は世界でも珍しいのではないでしょうか。

日本では、ヨーロッパの充実した育児支援制度が紹介されていると思いますが(北欧やフランスが紹介されることが多いでしょうか)、私は日本の保育園制度の方がすごいと思っています。そもそも、北欧諸国、フランス(イギリスやオランダもそうですが)は、程度には差があるものの、日本より税金が高いのです。そういった国の制度を取り入れるには国民負担もマネしなくてはならなくなります。

ただ、日本の保育園の最大の問題点は、数が絶対的に足りません。

イギリスもオランダでも、妊娠中から保育園を決めて、長い期間順番待ちをするという話はよくありますし、数が足りているわけでもなさそうですが、子どもを預ける場を、保育園ですべてカバーしようとは考えていないようです。ヨーロッパではベビーシッターを希望する親が多いということもあるかもしれません。

将来的には、日本でもベビーシッターがもっと普及するかもしれません。

日本で働くすべての人に保育園を

結局は、親の働き方というもっと大きな問題にぶつかるのだと思います。

イギリスは、高い保育料を払ってでも働きたい人だけが働けばいい、と突き放されても、日本よりも雇用が流動的で、一度子育てのために仕事を辞めてもまた仕事を見つけられる可能性は高いし、管理職の女性も多いので、高い保育料を払ってでも仕事を続けた方がいいと考えられるかもしれません。

オランダはそもそも週5日フルタイムで働くことが必須、と考えられていません。同一労働同一賃金で、男性でも女性でも

「これから週5日でなく、週3日勤務に変えたい」

と、会社の都合ではなく個人の希望で変更するそうです。

在宅勤務やフレックスタイムも当たり前。夫婦交代で子供の面倒をみれば、毎日保育園に子どもを預ける必要がありません。実際に、週5日保育園を利用する家庭は少ないそうです。

日本だったら、働き続けていた会社を辞めるのは「もったいない」と思います。長く勤めるほど、現職と同じ待遇の仕事が見つからない可能性は高くなります。短時間勤務であっても残業する人が多く、それを仕事が回らないから「仕方ない」と諦めることも珍しいことではありません。

このような働き方が必要な限り、高品質、低料金の保育園は働く親みんなに必要だと思います。

野口由美子(ブログ Parenting Tips

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