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村上春樹ノーベル文学賞落選の一考察

2015年10月10日 23時54分 JST | 更新 2016年10月10日 18時12分 JST

「ノーベル文学賞、今年も残念ながら村上春樹氏落選」と朝からテレビ局がトップニュースで扱っている。

なんて平和な、平和ボケした国なんだろうと、朝から嫌な気分になる。

「村上春樹、落ちたんでしょう?獲れっこないよ。世界を変えるような影響を与えた作品しかとれないんだから」

大学生の長男が言う。

「どっちかっていうと、世界を変えない人を生み出してるって感じだよね。こういうの見てると」

インタビューに酔っ払いながら、「また、らいねーん。」などと手を振る初老のおじさんを見ながら、2人でげんなりする。

世界に目を向ければ、何十万人という、仕事も財産も持たない難民をどうやって支えていくか、ヨーロッパ中が頭を悩ませ、香港では自由をキープしようと10代の若者が巨大勢力と戦っている。

国内に目を向ければ、福島では、20倍とか50倍とかの勢いで子ともの甲状腺がんが増えていると報告され、子どもの6人に一人が貧困で、きちんとした食事をとることも、自分が望む教育を得る事も難しい。

若年層の賃金は減り続け、結婚することは遠い夢であり、労働市場で未だに女性は虐げられ続けている。

離婚をしても8割以上の父親は養育費を支払わず、母子家庭の母親はパート労働を掛け持ちしながら必死に子育てをし、あげくのはてに心身の健康を損なってしまう。

虐待は増え続け、子どもの自殺も多い。痛ましい事件も続く。

待機児童が増え続け、でも、保育園を作ろうとすると「子どもの声は騒音だ」と反対運動が起きる。

少子化はとどまるところを知らない。

財政は破綻している。

「10年後には、団塊の世代が要介護に突入する。どうやったって、明るい未来はないんですよ。この国に。子どもたちにとっては、本当にかわいそうだけど。」

グローバル企業の幹部がつぶやきを漏らす。

大手ファストフードチェーンの失態のニュースがテレビから流れてくる。

子どもが小さいころは、あんなに輝いていいたのに・・

「こんなに失敗しているのなんでCEOを変えないんだろうね。あの人になってからどうしようもない感じだけど」

毎週、おまけのおもちゃを楽しみにしていた長男がいらだった口調でいう。

アメリカから送られた女性CEOになってから、可哀想なほど悪いニュースが続いている。

「出来る人は、勢いのある他の国に優先してままわしているんだよ、きっと。あのチェーンにとっては、既に日本は終った市場なんだよ。」

日本は終った市場なんだよ・・・

テレビから流れてくる

「村上春樹 今年もノーベル文学賞逃す」

のお祭り騒ぎと、今の日本の、世界の現状のギャップ

このお祭り騒ぎをやり続ける限り、村上春樹が受賞する事はないだろう。

ハルキニストが、本当に彼にノーベル文学賞を与えたいと思うのなら、彼の小説を読んで、何をするか?

私たちの行動が問われているのである。

「また、来年と言って、クラッカーを鳴らしました。来年の楽しみが増えました」

テレビから流れてくる、少し陽気で興奮した声。

社会課題から目を背けて、クラッカーを鳴らそうとしてしても、ノーベルはお見通しなのだ。