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感情的な上司とのつきあい方

2014年08月10日 15時21分 JST | 更新 2014年10月08日 18時12分 JST

「人は感情の生きもん」であるから、企業においても人と人の衝突は不可避である。

例えば「展示会に出品する」というプロジェクトがあったとする。あなたを含めてメンバーは5名。外部から専門家も招いて話を聞き、ようやく企画書を作り上げた。それを上司に持っていくと、開口一番

「こんなんじゃダメだよ。もっと女性のコンパニオンを積極的に使って、華やかな感じにしないと」

と言われてしまった。

苦労して作った企画なので、当然皆は反発する。「なぜダメなんですか?コンパニオンがいることで、なぜ展示会の成功が成功するのか教えてください」と聞く。

上司はそれに対して、

「いや、なんとなくだよ。なんとなく、去年女性のコンパニオンがいたブースは華やかでよかったし」

と言う。

皆、困った顔をしている。上司の言っていることが理解できないのだ。

「なんとなくって・・・なんかやりたいこととか、根拠となるデータとかあるんですか?」

「そんなのあるわけ無いだろう。なんとなくだよ。イメージの問題だ。まあ、私のこだわりだな。」

「・・・わかりました、では何人くらいがいいと思いますか?」

「それを考えるのが、君たちの役割だろう。あとはよろしくな。」

このような上司のもとでの、プロジェクトメンバーのやる気は推して知るべしである。

「感情」というものは理由を付ける必要が無いため、上司がこれを持ち出すと結局は「権力」によって事が決定することになる。

「~さんが言っているから」であるとか、「なんとなく」だとか、「イメージで」という言葉は、担当者が使うには問題ないが、上司がこれを使うと部下は非常に困る。

 

 

 

同じように家族の中でもこれと同じようなシーンは存在する。

例えば、子供から「なぜ勉強しなくてはいけないの?」と聞かれたとする。

感情的に答える親は、子供に、「当たり前だろう。学生は勉強するものだ。お父さんは勉強してよかったと思う。」と答え、また、「常識だ」と子供に告げるだろう。

子供はそれが納得行かない。

「別に勉強なんかしなくても立派になった人はいくらでもいるし、こんなものが将来役に立つとも思えない」と反発するのもまた自然である。

しかし、このような親のもとでは「勉強しない」ということは許されない。

親が怒れば、一時的に子供はしぶしぶ勉強するかもしれないが、親は信頼を失う。

 

 

 

「常識」であるとか、「感情」が通じるのは、その人が部下や子供から、「信頼に値する」と思われている時だけなので、大体の場合はうまくいかない。

上司や親の立場になった人はよっぽどのことがない限り、「感情的に、理由も伝えずに、常識を押し付ける」のはやめたほうが良い。大体の場合、禍根を残すことになる。

 

しかし、現実には大抵の場合上司や親は選べない。部下や子供は一定の確率で「感情的な人」と付き合わざるをえない。

そんな時どうやって彼らとうまく付き合うか。

一番効果的な選択肢は、「会社を辞める」であるとか、「家を出る」という選択肢だが、これは常に選択できるわけではない。経済的事情がこれを許さないこともあるだろう。

したがって、次善の策として、「うまい付き合い方」を知る必要がある。

 

経験的に、「感情的な上司」は論理的に反論されることを最も嫌う。

したがって、論拠やデータを提示せよ、ということは怒りに油を注ぐようなものなので、それはやめる。どうせ議論したら100%こちらが勝つのだ。勝ってはいけない。

だから、一旦「はい、はい」と聞いておこう。

その人の論理ではなく、感情を受け止める。私にはわからなくとも、すくなくともその人にとっては「ダメ」なのだ。そしてしばらく喋らせる。

感情が収まるまで喋ってもらわないと、怒りがエスカレートする。しゃべることで本人は冷静になり、「いや、やっぱりどうでもよかったわ」というように意見がひっくり返ることもしばしばある。

また、その場の気分で意見をいうこともあるので、一旦受け止めて、黙殺、忘れたふりをしているのもよい。本人も言ったことを覚えていないこともよくある。

私が前職だった頃、10歳位年上の社員の方が、こう言っていた。

「そういう人に依頼された仕事は、しばらくほっておくことにしている。何も言われなかったとしたら『やらなくてよかった仕事』だから。」

 

上に上げたような状況になるのは不幸なことだ。

しかし、「とにかく意見を聞いてあげる」ことで、その人の気持ちはかなりの部分収まる。

それを知れば、「論理的に弱点を攻めてくる上司」よりも、「感情的な上司」のほうがむしろ、扱いやすくはあるので、思い切って気持ちを切り替えてしまおう。

そういった人々の感情を理解することは、様々なシーンで得になることもあるのだから。

(2013年12月26日 Books&Appsに加筆・修正)