メディア接触の主導権争い、「フェイスブック」の独走に「グーグル検索」が奪回迫る

オンライン情報の接し方が様変わりしている。

「検索」から「ソーシャル」へと。オンライン情報の接し方が様変わりしている。

デジタルパブリッシャー(メディア)のコンテンツと出会うのも、検索エンジンではなくてSNSを介する場合が増えてきている。米国を先頭に大半の国では、検索エンジンはグーグル検索が、SNSはフェイスブックが寡占している。ということは、グーグルからフェイスブックへと、メディアへの影響力がシフトしていこうとしているのかも。

この「検索」から「ソーシャル」への流れがモバイルシフトに乗じて加速化し、2年ほど前に米国では一つの転換期を迎えた。オンラインメディア(デジタルパブリッシャー)への外部トラフィックで、フェイスブックがグーグル検索に追い抜いついたからだ。米トラフィック解析会社Parse.lyが明らかにした。それ以降、両者の差は大きく開くようになり、一時、米メディアへの全流入トラフィックのうちの45%前後がフェイスブックから、35%前後がグーグル検索からとなり、フェイスブックが事実上独走態勢に入ったように思えたのだが・・・。

ところが先週、久々にParse.lyのトラフィックデータを見て驚いた。図1の過去1年間の推移を見ると、この8月に入ってグーグル検索が37%、フェイスブックが39%と、両者の差が一気に縮まっている。

Parse.ly

(ソース:Parse.ly)

図1 米メディアサイトへの外部トラフィックの流入元シェア。過去1年間(2016年8月~2017年8月)の推移を示している。Parse.lyが米国の代表的なメディアサイト(2500サイト超)を対象に計数した調査より。今回の計測では、グーグルAPMからのトラフィックがGoogle検索に含まれていない。

さらに先ほど過去30日間の推移を細かく追ってみた。図2に示すように、2017年8月21日にグーグル検索が43%に跳ね上がり、34%に急降下したフェイスブックを一気に抜き去っていたのだ。8月13日にも瞬間風速的にグーグル検索がトップに躍り出ていた。突発的かもしれないが、「検索」から「ソーシャル」への流れに逆らう動きが出てきている。

確かに昨年後半から今年にかけて、フェイスブックからメディア(パブリッシャー)サイトへのトラフィックが減り始めているとのニュースが頻繁に伝えられていた。フェイスブックによるニュースフィードのアルゴリズム更新で友達や友人家族の投稿を優先することになり、パブリッシャーの投稿コンテンツの露出頻度が減ったせいかもしれない。また流通プラットフォームであるフェイスブックへの依存が高まるにつれ、編集面や広告面でいろいろと制約が課せらようになり、これを嫌って一部のパブリッシャーがフェイスブックへの依存度を下げていこうと動き始めたことも影響しているかもしれない。

Parse.ly

(ソース:Parse.ly)

図2 8月20日までの過去1カ月間における、外部トラフィックの流入元シェアの推移

もともと、メディアサイトへの外部トラフィックの主役はグーグル検索であった。3年ほど前までの推移(図3)を見ても明らである。そのため長い間、メディアサイトもブランド(企業)サイトもSEOに注力し、グーグル検索からのトラフィックをいかに増やすかに必死になっていた。ところがフェイスブックなどのソーシャルの台頭により、ソーシャルメディア対策がより重要になってきた。特にミレニアル世代に代表される若年層ユーザーと接していくには、ソーシャルからのトラフィックを増やしていかなければならないのは間違いない。

Parse.ly

(ソース:Parse.ly)

図3 2012年春から2015年夏までの期間における、メディアサイトへのトラフィックの流入元シェアの推移。

グーグルからすればグーグル検索からのトラフィックに頼るパブリッシャーを増やしていきたい。一方でフェイスブックは同SNSからのトラフィックに頼るパブリッシャーを増やしていきたい。両巨人プラットフォーマーによるメディア接触の主導権争いが、ますます激しくなりそう。

以上は、あくまで米国などの海外での話。日本のメディア環境は違う。日本のメディアは海外ほど、フェイスブックなどのソーシャルメディアにあまり頼っていない。その代わり、外部からの流入トラフィックとしてアグリゲーターに強く依存している。

◇参考

Referrer Dashboard(Parse.ly)

(Buzzsumo)

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