96条改正とは何か、各党の改正案

日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期するとする「憲法記念日」は5月3日。この日の前後1週間ほどを軸に、各党は「憲法」について真正面から主張を発信する。ことしは、憲法の改正手続きを規定した96条の改正にからむ議論が熱を帯びている

日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期するとする「憲法記念日」は5月3日。この日の前後1週間ほどを軸に、各党は「憲法」について真正面から主張を発信する。ことしは、憲法の改正手続きを規定した96条の改正にからむ議論が熱を帯びている。

安倍首相の意志は固いようだ。1日には、訪問先のサウジアラビアで、96条改正を7月に投開票が予定される参院選の「公約のひとつにする」と明言した。憲法改正は自民党の立党以来の「悲願」だ。昨年の衆院選大勝の波をうけて、ここは一気呵成に攻めたいと考えたのだろう。

そもそも、憲法96条とは何か。同条では、改憲発議には衆院・参院の両院で、3分の2以上の賛成が必要、と規定するが、自民党や日本維新の会などは、これを「過半数以上の賛成」に改正することを目指す。積極的な発言を繰り返す安倍首相からは、「手続きの改正」で、改憲への高いハードル下げ、その先にある「9条改正」を射程に入れたいという思いがにじむ。

一方の民主党はどうか。現行憲法は「不磨の大典ではない」と言うのは海江田代表だ。ただし、憲法で守るべきところや足りないところについて国民的な議論がまずは必要で、「その国民的な合意を抜きにして、改正するのに国会議員数が足りないからその要件を緩和するというのは本末転倒だ」と、改憲勢力を牽制する。

「改憲は目指すが、戦時体制を賛美している勢力とは違う」と主張するみんなの党や、「抜本的な統治機構改革を成し遂げるために、憲法問題に果敢に取り組む」と力説する日本維新の会。一般の法律なみの過半数に緩和するのは、「国家による権力の乱用から国民の自由を守るという憲法の根本精神を否定する」と改憲に反対する共産党。公明党は、環境権など時代の変化に伴って、「新たな理念を加えて補強する加憲が最も現実的で妥当」と、96条の先行改正に慎重な立場だ。

そもそも、国民はどう感じているのか。朝日新聞デジタルによると、次のように報じている。

憲法96条を変え、改憲の提案に必要な衆参各院の議員の賛成を3分の2以上から過半数に緩める自民党の主張について、反対の54%が賛成の38%を上回った。9条についても「変えない方がよい」が52%で、「変える方がよい」の39%より多かった。

朝日新聞デジタル 「改憲手続き緩和 賛成38%、反対54% 世論調査」より。2013/5/2 00:14)

各党の主張は、はたして、どれだけ、国民の意思をくみ取っているのだろうか。また、どうくみ取ろうとしているのか。たんに党利党略だけでなく、「国民不在」とならないようしてほしいが、それは私たち国民自身が問われていることでもある。

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