AP通信は13日、米司法当局が昨年2カ月間にわたり、同社の記者らの電話の通話記録をひそかに収集していたと報じた。AP通信のゲーリー・プルイト社長は同日、ホルダー司法長官に抗議の書簡を送り、「大規模で前代未聞の侵入」と厳しく批判した。
書簡によると、司法当局が収集していたのは、ニューヨークやワシントンなどの支局や記者の電話など20回線以上の通話記録。司法当局からの通知がないまま、2カ月にわたって記録が押収されていた。10日午後、AP通信側に事実が明らかにされたという。
産経ニュースは次のように伝えている。
同社幹部によると、米司法省は昨年4、5の両月、米ニューヨークやワシントンなどの3支局や、米下院のプレスルームにある計20以上の電話の通話履歴を収集。同社は今月10日、司法省から、この事実を知らされたという。
(産経ニュース 2013/5/14 10:06)
ロイター通信によると、司法当局は通話記録を押収した理由を明らかにしていないというが、AP通信は昨年5月に配信した記事に絡んで、当局が捜査したものとみている。
AP通信の記事によると、政府は通話記録を入手した理由については明らかにしていないという。
ただ、AP通信は、中央情報局(CIA)がイエメンのアルカイダ系組織による航空機爆破計画を未然に阻止したことを報じた同社の2012年5月の記事をめぐり、司法当局が調査をしていたと指摘。その上で、入手された通話記録の電話番号には、この記事に関わった記者5人と編集者1人が使用していたものが含まれているとした。
(ロイター通信 2013/05/14 08:18)
プルイト社長は書簡の中で、「当局の行動は、我々の合法的な取材・報道活動の権利に対する重大な侵害だ」だと批判。入手した通話記録の破棄や経緯について詳しい説明を求めている。
カーニー大統領報道官は「われわれは犯罪捜査に絡む決定には関わらない」として、ホワイトハウスの関与を否定している、と共同通信が報じている。