【似顔絵捜査官のスケッチ】「美しい自分」に気づかせる

女性は自分の姿を、他人が見た場合より過小評価しているのかもしれない。ユニリーバによるパーソナルケア・ブランド「Dove(ダヴ)」が展開する広告キャンペーンは、似顔絵捜査の手法を使って、その証拠を提示している。

女性は自分の姿を、他人が見た場合より過小評価しているのかもしれない。ユニリーバによるパーソナルケア・ブランド「Dove(ダヴ)」が展開する広告キャンペーンは、似顔絵捜査の手法を使って、その証拠を提示している。

Doveのキャンペーンでは、年齢や経歴の異なる7名の女性たちに、米連邦捜査局(FBI)で訓練を受けたForensic Artist(目撃証言から犯人の似顔絵を描く専門家)のギル・ザモーラ氏に、彼女らが自分で説明する顔の特徴を元にして、彼女らの似顔絵を描いてもらった。

キャンペーンのために作成された上の動画を見ると、女性たちは「大きな顎ねって母が言ってたわ」「私の顔はまん丸いの」「おでこがすごく大きいと思う」といった表現を使っているのがわかる。

「何が行われるのかまったく想像できませんでした」とビデオに登場したキーラ・キャブラレス氏は「HuffPost Women」の取材に対して語った。彼女は40歳。技術科の教師でデジタルアーティストでもある。「私は彼らから、自分のことを説明するように求められました。中立的な言葉を用って、『事実に基づいて』説明をするように、と」

この日、女性たちは事前に、別に呼ばれていた見知らぬ他人としばらく時間を過ごすように言われていた。その理由は、彼女らにもその人たちにも明かされなかった。その後、その見知らぬ人たちは1人ずつザモーラ氏のいる部屋に呼ばれ、ザモーラ氏が先ほど似顔絵を描いた女性について説明するよう求められた。それを元に、ザモーラ氏はもう1つの似顔絵を描いたのだ。

でき上がった同じ女性の2つの似顔絵を並べてみれば、その違いは一目瞭然だ。キャンペーンのキャッチフレーズはこう述べている。「You are more beautiful than you think」(あなたは、自分が思うよりもずっと美しい)

キャブラレス氏(左側が自己イメージ、右側が他者イメージ)

ダブがユニリーバのブランドであることは注目に値する。ユニリーバが展開する男性向けブランド「AXE」(アックス)は、製品を売り込むために、顔全体が女性の胸になったキャラクターや、「男性に気がある素振りを見せる女性たち」を登場させるなど、女性に嫌われる広告を作ることで有名だからだ。

だが今回の広告は、その商業的意図は明らかだとはいえ、人間の真実を突いている。そして、女性の劣等感を煽ることで製品を買わせようとする多くの女性向け広告に比べて、ずっとさわやかな印象になっている。

「私は必要以上に自分は醜いと思っていたのかもしれません」とキャブラレス氏は認める。「8歳になる自分の娘を見ると、彼女はとても満足そうで自信に満ちていて、自然な美しさをあふれさせています。あの子を見ると、『まったく、私はどんな落とし穴にはまっていたのかしら。どうすればあの子にそんなことが起こらないようにできるのだろう』と思うのです。どうしたらいいのかはわかりませんが、そうできればいいと思っていますし、私は絶対にあの子を守りたいと思っています」とキャブラレス氏は語ってくれた。

[翻訳注:forensic artistは、日本では似顔絵捜査員と呼ばれる。警視庁広報によると、希望した警官が選考を受け、養成講習を受講。最初に写真から特徴をつかんで似顔絵を描くといった基礎を学んだ後、実際に事件現場などで指導を受けながら似顔絵を作成する訓練を経て任命。普段は交番等で勤務しつつ、事件発生により出動して現場で活躍するという。写真と比べると、「こんな感じの人」と伝えることができるので、逮捕につながりやすいとされている。英文Wikipeiaによると、欧米のforensic artistも、日本と同様に警官の副業がほとんどだという]

[US版で2013年4月15日に掲載した記事を翻訳しました]

[Emma Gray 日本語版:佐藤卓/ガリレオ]

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