トルコ首相、融和姿勢から弾圧へ デモ激化の与える影響とは?
トルコ政府のEU担当相は15日、「タクシム広場にいる全員をテロリストとみなす」と述べ、警察は同日夜にゲジ公園で居残っていたデモ隊を催涙ガスや放水銃で強制排除した。公園に通じる道路なども一部封鎖された。エルドアン首相は16日、イスタンブールで開いた与党の支持者集会で、デモ隊に対する強硬姿勢を改めて示した。
しかし、イスタンブールで始まったデモは、首都アンカラほか各地に広がりをみせている。
トルコの主要労組は16日、警察当局のデモ隊排除に抗議し、17日にゼネストを実施する方針を明らかにした。
海外各紙は、収束に向かうかに見えたデモが激化し、今後も続く見込みとの見方を示している。
【融和姿勢を示した首相がなぜ?】
14日、首相は公園開発計画を国民投票にかけるとの妥協案を示唆し、デモは平和的に解決するかにみえた。デモ支援組織も、首相に歩み寄りの姿勢を示していたものの、一般のデモ隊はゲジ公園での座り込みを続けていた。これを首相は「裏切り」だとみなし、機動隊を送り込んだとみられる。
「(首相は)独裁者だ」「これはゲジ公園だけの問題ではない。10年間の現政府の政策に対する我々の反応だ」というデモ参加者らのコメントを海外各紙は掲載している。
【トルコ政治経済への影響】
しかし、強硬路線への転換は「裏目に出た」ようにみえるとウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じた。各地で政府支持者と反対者が対立。混乱により、トルコの「分断」を加速させる不吉な兆候がみられると指摘した。
同紙はまた、「エルドアン(首相)がつくった亀裂は非常に興味深い。なぜなら教養ある中産階級が政府と衝突するのは初めてのこと。緊張が続けば、不確実性は政治システムや経済に否定的な影響を与えるだろう」という政治学者のコメントも掲載した。
【国民の半分が現政府へ不満】
エルドアン首相は国民の約半分の支持を得ている。もう半分はそれぞれ政治観点の異なる世俗主義者、自由主義者、有識者、少数民族だが、彼らは徐々に「反政府主義」で団結しているとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。
批評家の多くは最近の「アルコール規制強化」や「巨大都市開発計画」に特に怒っているという。その他にも、首相が昨年「女性は少なくとも3人子供を産むべきだ」と発言し、一般国民の反感を買ったことを同紙は指摘した。
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