トヨタがコージェネで農業?夏の節電と「クールシェア」「コージェネレーション」などの新ビジネス【争点:エネルギー】

沖縄を除く全国で、夏の節電期間が1日スタートした。節電が求められる中、「コージェネレーション」や「クールシェア」など、省エネの新たな側面をビジネスにうまく取り入れている企業がある…
Yellow and red bell pepper isolated on white background.
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沖縄を除く全国で、夏の節電期間が1日スタートした。節電期間は9月30日までで、政府は企業や家庭に対して、数値目標こそ設けないものの、土日祝日とお盆(8月13〜15日)を除く日の午前9時〜午後8時までの時間帯に対し、節電を呼びかける。発電所の事故などにより、どうしても電力不足が避けられないとなった場合は、政府は電力不足地域を対象に「需給逼迫警報」を発令し、電力使用を極力控えるよう求める。

節電の夏3回目となった今年も、各社が節電に対して様々な対策を取っている。

京王電鉄やJR九州は、鉄道車両の屋根に塗ると断熱効果が増すという特殊塗料を利用拡大することにするとしている。

東京都と神奈川県に路線を持つ京王電鉄は一部車両にこの塗料を使い、昨年夏の約1カ月間のエアコン消費電力量を調べたところ、塗っていない車両と比べて約7%少なかった。

(SankeiBiz「京王電鉄、JR九州 屋根に特殊塗料 節電車両」より。 2013/06/26 05:00)

原発が停止する関西電力では、電力供給力の余裕を示す「予備率」が3.0%と、最低限の数字となっている。このため、関西電力管内の企業では、より即応性のある節電が求められている。朝日新聞デジタルは、阪急電鉄の例を報じている。

もっとも需給が厳しいとされる関西電力管内では、阪急電鉄のターミナル、梅田駅(大阪市北区)で午前10時ごろ、1階と3階を結ぶエスカレーター12基のうち4基が止められた。平日、夕方のラッシュ前の午後3時まで休止させる。

(朝日新聞デジタル「夏の節電期間スタート エスカレーター、一部休止も」より。)

エネルギーを上手にビジネスに活用する例も見られる。

サントリーは1日、ノンアルコールビールが無料で楽しめる「オールフリー ひと涼みスタンド」を東京・日比谷シティにオープンした。サントリーは、「外出すると電力は使わない」という点に着目した政府の施策「クールシェア」に賛同。熱い時間に一人でエアコンを使うのではなく、街の涼しい施設などに集まって涼しい空間をシェアし、家庭の消費電力を減らすために、「オールフリー ひと涼みスタンド」クールシェアスポットとして位置づけるという。サントリーのプレスリリースによると、2日からはオールフリーに加えて「オールフリー シトラススパークル」も提供するとのこと。

また、NTTファシリティーズは需給ひっ迫時に「節電お出かけ情報」を配信する。ITメディアによると、「節電が必要になるタイミングで限定利用が可能な割引クーポンなどが入っており、これが新しい動機付けになる」とのことだ。

他にも、自社内で生まれた排熱などを、新たなエネルギーとして利用する「コージェネレーション」に取り組む企業も出てきている。トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)の敷地内では、トヨタ傘下の農業生産法人「ベジ・ドリーム栗原」によって、本格的なパプリカ栽培が始まる。パプリカ栽培には、トヨタ東日本で発生した排熱を利用するとのことだ。河北新報が下記のように報じている。

最大の特徴は、トヨタ東日本の自家発電で発生した廃熱を再利用するコージェネレーション(熱電併給)システムの導入だ。90度以上の温水がハウス内を循環し、冬場でも室温を24~25度に保つ。ベジ・ドリームの高橋誠一郎代表(61)は「エネルギーの有効利用で工場と農場が共存共栄する仕組みを目指した」と説明する。

(河北新報「特集/産消連携拡大目指す/都市近郊型の地域営農推進」より。 2013/06/27)

電気料金の値上げなどもあり、懐にも我慢の夏になりそうであるが、視点を変えるとビジネスが生まれるチャンスとも言えそうだ。

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