領土と主権をめぐる内外発信に関する報告書、単なる英語の発信ではダメ

2日、「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」は英語による発信の抜本的強化などを必要とするとした報告書をまとめ、山本一太海洋政策・領土問題担当相に提出した。その内容は…

2日、「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」は英語による発信の抜本的強化などを必要とするとした報告書をまとめ、山本一太海洋政策・領土問題担当相に提出した。

この懇談会は、日本の領土や主権をめぐる情勢に関して、日本がより効果的な内外発信を推進していくための研究や調査を整理・検討するために政府に設置されたもの。4月23日の第1回の会合から6月までに5回の会合が開かれ、尖閣諸島をめぐる情勢および竹島問題に焦点を当て、外交・安全保障、国際関係、国際法、歴史研究、対外発信の専門家が集まり議論してきた。

報告書によると、議論のなかでは「領土・主権をめぐる日本の主張は正当であり、関係国の主張には根拠がないという認識が共有された」とされ、発信すべき内容としては、尖閣諸島については「中国が 1971年になって初めて領有権を主張してきたという点」、竹島については「韓国は力によって竹島を奪取したが、日本は平和的方法により国際法に則って解決を追求してきた点」が有効との認識で一致したとされる。一方、発信に関しては他の関係国に比べて日本から第三国向けの発信が圧倒的に不足していると指摘した。

具体的な発信の方法については、現在発信している内容を見直すこと、第三国向けのロジックを利用すること、国民全体がブレることなくワンボイスで発信する必要性などが報告されている。

現在発信している内容については、従来からの政府の公式見解のみを繰り返すのみでは効果が弱く、第三国の関心事から出発して、第三国にかかわりのある論旨を立てて、第三国を関与させるように関心を持たせることが重要とした。

また、第3国への発信の際は、英語での発信が少ないと指摘。また、「単に直訳した文章は訴える力に欠ける場合がある」とも指摘し、英語で発想し、英語のロジックを用いて英語で表現することが理想的とした。

ワンボイスで発信するという点については、「関係国の立場を利するような発言をする日本人も少なからずいる。数多くの発信の努力も、一瞬にして無にしてしまうような言動もある。」という懸念を示しつつ、少なくとも政府・内閣においては「ワン・ボイス」での発信を行う必要性があるとし、また、海外で在住したり活躍したりしている民間人にむけて、簡便に答えられる英語の資料を用意しておくべきとした。

また、国内向けにも、「日本国民が領土を断固として守るという強固な主権意識を共有していることが自ずと示される必要がある。」とし、副教材などの、教育現場で使える資料の充実を図るべきでとした。

産経ニュースでは、安倍首相に報告書を手渡した山本氏の語った内容として、「これが日本の内外発信の第一歩になる。外に対する発信だけでなく、国内に対してもしっかりやっていく」と報じている。山本氏は自身のブログでも、「特に、総理には必ず会って、懇談会の議論の中身を説明しなければならない。幾つか、お願いしたいこともある。領土担当大臣としての重要な仕事だ。」と書いている。

また、この報告書の内容を受けて、島県知事は、下記のようなコメントを発表している。

「報告書の中では、県がその必要性を求めてきた国内外への発信や研究体制の整備について、具体的な戦略が提言されており、評価したい。

この提言に基づき、政府において、国民世論の啓発や国際社会への働きか けなど、積極的に展開されることを強く期待する。」

(島根県「1621 「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」の報告書の発表について(知事コメント)」より。 2013/07/02)

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